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嵐が丘 ~ よりによって

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嵐が丘
1938年上映

ローレンス・オリビエ
マーロン・オベロン
ジェラルディン・フィッツジェラルド
のキャストに監督はウィリアム・ワイラー

この映画は物語の後半を思い切りよくカットした映画である。
ヒースクリフのキャシーの死後の壮絶な復讐劇をすべてカットして、2人の恋愛劇としてフレーミングし直した映画である。
嵐が丘を元に、ウィリアムワイラーの描きたかった恋愛映画なのであろう。それだけではなく、嵐が丘のあるヨークシャーの荒れ野、その無慈悲な風雨の吹き荒ぶ、荒涼たる風景が余すところなく描かれていた。
アカデミー撮影賞を受賞している。

原作の忠実な描写、思想の再現ではないが、本人も計り知れない深いところで結ばれた男女の恋の機微は漏らすところなく捉え、表現し尽くしていると思われる。それを演出する陰惨な(時に晴れやかな)風景と共に。

その点の監督制作者の力量は大したもので、2人の間の恋愛感情の微妙かつ繊細で衝動的な揺れ動きついては恐ろしく真に迫った描写がなされていると思う。
究極的な恋愛映画として正に金字塔と呼んで良いものであろう。
この嵐が丘の恋愛映画への影響はどれ程大きなものであったか。

もしかしたら、ワイラー監督は、復讐の部分を故意に霞ませたのは、恋愛をテーマとしてより普遍性をたかめたかったのではないだろうか。

しかし無論、嵐が丘自体は監督が切り取った先へと大きく広がっていく。それが更に2人の究極的な結びつきを逆照射する構造をとる。
とは言え、よくヒースクリフとキャシーの出会い、子供時代から、父(ヒースクリフにとっては義父)の死後の冷え切ったアーンショー家の惨状、リントン家との確執とエドガーの求婚、ヒースクリフの出奔、キャシーの諦観を秘めた平穏な結婚生活、ヒースクリフの出現その激しい波紋、エドガーの妹イザベラを巻き込み最期のキャシーとヒースクリフの超絶的な恋の回帰。そして、彼女の死を看取る彼の崇高な場面まで、よくあれだけの時間で過不足なく描き切ったものだ。一分の無駄も無かったと思われる。

ジュリエット・ビノシュの嵐が丘では、原作との関係など、色々と氣になるところがあり、あまり映画自体に入れなかった。少なくとも感情移入はあまり出来なかった。
日本でも昼メロでドラマ化されていたのは知っており、それをちょいと見た範囲では到底原作やこの映画など見たくもない、といったところが正直なものだったが、早く原作やこの映画は観ておくべきだった。
これは後悔した。

特に、キャシーが死ぬ間際に。
「エドガー、優しくしてくれたわね」
「お願いだから、ヒースの花を取ってきて」と言う。
エドガーは、大慌てで医者を呼びに行く。
その間にヒースクリフが現れキャシーと最期のお別れを交わす。
窓辺に彼に支えられて立ち彼女は幼い頃の丘の城の王妃であった頃を想いつつヒースクリフひとりに看取られて死ぬ。

こういうことなのか、と思い知った。
エドガーとキャシーは所詮、虚栄心を満たすだけの関係でしかなく、エドガーにはキャシーを看取る意志は無かった。所詮そんな強さを持ち得ていない。だいたい今際のときに、その願いもそっちのけで医者を呼びに自ら行くなんて愚行をおかす男がいるか?単なる口実だ。「貴方はひ弱よ」とキャシーに罵倒されたことがあったが、正に彼は優しく接する事以外何も出来無かったのだ。しかも肝心な時は、逃げるしかない。キャシーそのものを受け止める器量など元々無かったのだから。その死などとても恐ろしく正面から捉える事などできようはずもない。もしかしたら、ヒースの丘が何を意味するか察知し、わざと時間を空けたのかも知れない。それはそれでとても悲しい選択だ。哀れな宿命だ。

ヒースクリフは正に来るべき時に現れ、彼女の愛だけははっきり確かめた。あまりに壮絶であるが、それができたことだけは幸運だ。「分かった。死ぬのなら俺をいつまでも呪い続けてくれ。」

真面目に3回は泣けた。


せめて、うんと若いうちにこういう原作及び映画に接しておくべきだった。いい加減な恋愛ものなどを見て侮蔑して、本当の強度をもった恋愛に対しての感性が錆び付いていてはどうにもならない。
それは命がけのものである。
そんな時に、、、
ガメラやゴジラを見てる場合か!

わたしは既に手遅れだ。




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