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娘の絵―2 タブレットpicture

201409022205541e2.jpg
真っ黒の背景に明瞭に浮かぶ蛙の戦士といった風情の絵。
ハート型の顔から蛙を連想するが、口元を見ると猫を想わせもする。髭もある。
かなり凛々しい姿である。
位の高い戦士と見てよいようだ。
彼女自身、出来栄えには結構満足気であった。

長女の絵である。

彼女はプリキュアを意識したような普通の女の子の絵も描くが、異形系となると頭部はハート型になる。
いつもこうなっていたかは、定かではない。

この絵、一見、黒背景に好きなキャラをポンと描いたように思えて、かなり構成的に成り立っている。
ゴッホも描線がほとんど点に近いものから、少し長めの長方形位の物まであったが、この蛙の戦士(と取りあえず呼ぶ)の持つ鞭は、ゴッホの長い線にあたるような破線で構成されている。
胴体の鎧のような部分は幾つかの向きを持った色線を重層して描かれ、一番上に赤のハートが刻みこまれている。
この複雑な構成が、顔の表情と見合って戦士に威厳を持たせることになる。

さらにプロテクターを付けた腕、大きな手は彼の秘めた腕力の強さを十分に想わせる。
そして、しっかり握られた鞭である。
スターウォーズに出てくるソードを思わせる武器であるが、破壊力は遥かに上であることが分かる。
そこに、鞭に絡むように(鞭の輝きを示すような)、2つの青い3重光。
静かな神聖なる破壊者に時間性が加わる。
平面性に奥行きと広がりが発生する。
動きが予期される。

ここまでなら、まだどこにもありそうな絵だ。
ハート型の顔は、幼児がよく描く形に見られる発達段階的なものでもある。
色遊びも、特に目立つものは見られない。
ただ、色の選択についてはこれまでの経験の蓄積がすでに窺える。
3重光の構成‥に。

しかし、基本的には長女がこれまでに獲得したことば、技法・技術、色の好みと知識の範囲―制限、のなかにあり、何より半ば自動的なシュルレアリスティカルな生成の結果といえる。
このような原型があらかじめ全体イメージとしてすでに在って、それを表現したという訳ではない。
線が次の線を呼び、形体が次の形体を生み、色が次の色を準備する。
まるでビーズ通しをやるように見通しをもちつつ。
このへんはほとんどイメージの思考というより、機械的な無意識で行っている。
パネル上に指が描いたというのが一番ほんとうのところであろう。

しかし、この「蛙の戦士」には、得体の知れない突出といえる部分がある。
しかも異様に目立つ。
生々しい芽生えである。
それは両眼の間に、名状しがたいキノコ状のピンクの突起物として姿を現す。
おできのような覚束ない位置感覚の不条理な実在。

とても彼の身になれば邪魔なところに、非実在的な異物が視界を邪魔して生えている。
内側から何かの養分で外に成長してきたとすれば、その場所も異常である。
またどこからか取って付けたのなら、この人物の一貫性(アイデンティティ)が崩れる。

長女の、この過剰な描写―構成は何なのか?

恐らく最後に付け加えた要素であろうことが分かる。
付け加えずにいられないものであったであろう、それは何か?
この形のはっきりしなさ加減は、核心を持って無意識的でありながら意図的に加えたのだが、彼女自身のことばにない、存在であり、不安な生成を治めることばが見つからないまま、破れ目を作ったところで、終わりにした絵というのが精確なところであろう。

この異物の生成によって、この絵は悪夢となる。
異様さの次元がはっきり変わる。


よく長女は怖い夢を見たと言って、朝バーバの部屋に入り込んで、布団を頭にかぶっていることがある。
入り込んで、はしゃいでいるのがほとんどだが。

わたしとの話の中にも死を織り交ぜた、外へのはみだしが窺える。
自我の芽生え。
実存のさわり。

そう言ってよいものか?
分からない。
ただ、存在の異様さ不気味さに対する感覚は、わたしと同様のものをもっているようだ。
娘なんだから、仕方ないが。


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こういうものについては、腰を落ち着けてじっくり考えてみたいものです。
何時か書いてみたいです。

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