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フェリックス・ヴァロットン ~ ボールとは何か?

varotton.jpg

フェリックス・ヴァロットン(1865~1925)
彼はモノクロの木版画による挿絵で有名な画家であるが、時折、印象派や象徴派の画家を集めた画集に彼の油彩画が載ることがある。
家でも「ボール」と「貞節なシュザンヌ」裸婦のシリーズで「トルコ風呂」などは画集の中に見つかる。
彼はナビ派に属していたが、一人だけのスイス人(ローザンヌ生まれ)ということもあってか、疎外感と孤独感に耐えていたという。仲間内からは異邦人と呼ばれていた。確かに異邦人には違いない。
画家としてパリにあって、厳格なプロテスタントの家に生まれるた彼。
妻はブルジョアの生活に浸りきった女で再婚であった。
連れ子が2人いたが、意思の疎通が感じられない食卓の絵が彼との関係を雄弁に物語る。
彼自身何重にも疎外された存在であったことは想像に難くないが、彼はそれを異端という立場に変えて積極的に表現へと昇華している。
実際屈折した面は持ちながらも複雑な多面的なものを見せる人でもあったようだ。

彼は日本の浮世絵の影響をもとに単純化された斬新な手法を見出す。
それは版画に効果的に表され、ヒッチコックのようなサスペンスドラマを感じさせる。
孤独と緊張さらに退廃これがスリラーにまで昇華されている。
それは挿絵として一躍彼を有名にし、時の人となる。

彼は油彩画もかなりの枚数を手がけている。
一種単純化された色面による、無駄のない構図である。
どの絵にしても、この謎を解けと迫る物語を封じ込めた画面が特徴である。
一見ただの裸婦像に見えるものも多い。

それぞれの絵にフェリックス・ヴァロットンの特性が窺えるかも。


ボール
ボールを追いかけながらも
何か宿命的な不穏さから逃げる少女。
この両義性は人間の本性。いや真実か。
森に入ってしまうと
無意識の悪意が襲いかかってくる。
それを知っていても行かざるを得ない。
ボールは転がってゆくのだから。
遠くで少女をそれとなく見つめつつお喋りを交わす2人の婦人。
これから起きる事件の目撃者・共犯者・被害者・加害者のどれかとなる運命はすでに避けられない。

貞節なシュザンヌ
女一人を囲んでふたりの初老の男の密談。
不敵に微笑むシュザンヌと思しき中央の帽子をかぶる婦人。
その何かを企てようとしている怪しい目。
左右の後ろ向きの男たちの生々しい頭部のテカリ。まるで裸電球のような。
伝統的な聖書からとられたこの主題が、こうまで変容されるか。
フェリックス・ヴァロットン以外にここまで悪意と機知に富む変奏は見られまい。
(これまでの絵画であったら、水浴している裸体を人に見られ貞節の危機に慄くシュザンヌが美女と野獣的に官能性をもって描かれるところ。ここでは、その素肌に当たるところが初老の男たちの頭となっており、シュザンヌは被害者の立場ではなく、男たちの支配的立場に居る。)

トルコ風呂
彼は女は基本的に嫌いなようだ。それが生理的に解る絵である。
女たちに対する愛情は微塵もなく、彼女らに個性も生命力もなく体温もとても低い。
形態を単に描きたいのだ。Fetishな次元で。
お尻に対する形態的な偏愛が分かる、相当な執着がみられるものだ。
19歳だかで描いた「臀部の習作」も尋常ではないが。
お尻の画家である面も確実に窺える。
顔よりお尻だ!桃かメタリックなネジ頭でもよかったか?
ともかくフォルム至上主義。
少し、マン・レイを思わせる。
きっと写真をやったら彼のような写真を撮ることだろう。


三菱一号館美術館でいま展覧会が催されています。~9/23まで。
オルセー美術館およびフェリックス・ヴァロットン財団の監修によるもの。
わたしも行けたら行ってみますが、暑くて行き着かないかもです。


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美術館でぜひやってもらいたい事だが、遮光アクリルを作品に被せて欲しい。
今なら被せたことなど全くわからないように技術的にできるものだ。
是非、作品表面の光の反射は無くしてもらいたい。

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Author:GOMA28
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