パブリック・エネミーズ

Public Enemies
2009
アメリカ
マイケル・マン 監督・脚本・製作
ロナン・ベネット、アン・ビダーマン 脚本
ブライアン・バーロウ 原作
ジョニー・デップ、、、ジョン・デリンジャー (平田広明)
マリオン・コティヤール、、、ビリー・フレシェット(石津彩)
ジェイソン・クラーク、、、ジョン“レッド”・ハミルトン (石住昭彦)
デビッド・ウェナム、、、ハリー“ピート”・ピアポント (天田益男)
スティーヴン・ドーフ、、、ホーマー・ヴァン・メーター (田坂浩樹)
スティーヴン・グレアム、、、“ベビーフェイス”・ネルソン
ジェームズ・ルッソ、、、ウォルター・ディートリッヒ
ジョヴァンニ・リビシ、、、アルヴィン・カーピス
ジョン・オーティス、、、フィル・ダンドレア
クリスチャン・シュトルテ、、、チャールズ・マクリー
チャニング・テイタム、、、“プリティボーイ”・フロイド
ドメニク・ランバルドッツィ、、、ギルバート・カテナ
クリスチャン・ベール、、、メルヴィン・パーヴィス捜査官
ロリー・コクレーン、、、カーター・バウム捜査官
ビリー・クラダップ、、、J・エドガー・フーヴァー長官
スティーヴン・ラング、、、チャールズ・ウィンステッド捜査官
ブランカ・カティク、、、アンナ・セージ
リーリー・ソビエスキー、、、ポリー・ハミルトン
エミリー・デ・レイヴィン、、、バーバラ・パツク
リリ・テイラー、、、リリアン・ホリー保安官
エド・ブルース、、、ケネス・D・マッケラー上院議員
キャリー・マリガン、、、キャロル
わたしにとって、デリンジャーと言えばリック・デリンジャーなのだが、懐かしい~。
銀行強盗ジョン・デリンジャーとホテルのクローク係のビリー・フレシェットとの恋愛を軸に、メルヴィン・パーヴィス捜査官の迷走と苦悩を絡めて描く(でよいか?)実話ベースの映画。

このふたり、大変危ういが運命としか言えない恋人関係だ。期間は1年に満たない間であったか。
濃密な時間を過ごせればよい。そう思う。薄い辛いだけの人生もある。それも定められた人生か、、、。
考えてみれば、デリンジャーは充分大衆の人気のある時期に射殺されたことで、伝説のヒーローとなり、そのとばっちりが直接の捜査責任者パーヴィスに及ぶ。これもまたお気の毒。彼も一年後くらいに自殺したという。上司に恵まれなかった点も大きいが。
彼女の方は服役はするが、ウィスコンシン州で余生を静かに送ったようだ。
彼女ビリーは、大変目を引く美しい女性だがインディアンの混血という事で差別を受け恵まれた境遇ではなかったようだ。
デリンジャーも3歳で母を失い、父に暴力を受けながら育つ。その為に非行に走り刑務所内で多くの時間を費やし人生を学ぶ。
強盗のやり方はバッチリ身に着けた。

デリンジャーは州をまたいで大胆かつ派手に銀行強盗をして回った。これが彼のライフワークであり、自信に満ちていた。
ブレることなく、次々に警察をあざ笑うが如く犯行を重ねてゆく。
もうこれしかやることないみたいに続ける。
しかし金持ちの金は頂くが庶民からは金をとらないことで人気があったと言うが、銀行の金を盗むのにそんな区別できるの?
フーヴァー長官は、そうした犯行を捜査する機関FBIを提言するが予算がつかず認められない。
憤懣やるかたない。
そんななか、益々デリンジャー人気は上がり、警察はコケにされる。
しかし映画を観る限り、これじゃコケにされるわな、という杜撰さと後追い、そして何で逮捕歴があるのに誰もデリンジャー見ても気づかないの?本物がどんな顔だったか知らぬが、少なくとも映画のようなハンサムなら一度見りゃ忘れないだろうが。
(後半で堂々とシカゴ警察署のデリンジャー対策本部に一人彼が入って行き捜査状況のマップを観て歩くところがある。皆その時ジャイアンツの試合をテレビ観戦していた)。人材いないのね。

「死にゆく眼を間近で眺めた気分はどうだった? 眠れないだろ?」
確かにこうした稼業をしていれば、度々遭遇するシーンとなろう。
勿論、デリンジャーもしこたま経験したものだが、パーヴィス捜査官にとっても彼を捕らえて離さないイメージとなる。
メルヴィン・パーヴィスは苦悩の人である。
何故フーヴァー長官は彼の力を評価し任命しておきながらあそこまで追い詰めたのか。
確かに失態はあったが、部下にも恵まれなかった面はある。
社会の敵であるデリンジャーを仕留めたは良いが、警察組織(上層部)からも、大衆メディアからも批判の的にされることに。
デリンジャーも仲間の裏切りから歯車が狂い始める。
この頃に初めてビリーに対し、君と一緒に年老いて死にたいなどと将来を見据えたある意味、弱気な言葉を口に出す。
仲間内の単なる信頼関係の崩れと言う以前に、銀行強盗自体が時代遅れになったことから来るものだった。
電話を使い強盗より効率の良い荒稼ぎが出来るようになり、アルカポネの幹部フランクはデリンジャーが邪魔となる。
しかもFBIが組織として成立する頃になると自分たちの仕事にも大きな影響が及ぶことが分かり、賄賂で警察官を抱き込みデリンジャーが常客となっている売春宿をマークさせる。

プレッシャーのかかりほうだいのパーヴィスもなりふり構わず売春宿経営者アンナにポーランドへの強制送還をちらつかせて脅し。
シカゴのバイオグラフ劇場でクラークゲーブル主演の男の世界を描いたギャング映画を観る日を確認。
万全の体制で大量の警官を配備する。
映画はまさに彼のすぐ先を予言するような映画であった。
アンナと共に映画館を出てくるところを敢え無く撃たれ絶命する。
”Bye bye, blackbird”これはふたりが出逢った時にかかっていた曲だ。
彼を撃った一人であるウィンステッド捜査官が今わの際に微かに聴き取った「ことば」だ。
何とキザな。
それをウィンステッドはパーヴィスには伝えず、直接収監されているビリーに伝えにゆく。
気丈に振舞っていた彼女の目に涙が溢れた。
終始、スタイルを気にした男である。
ビリーに一目惚れして告白した時のセリフも滅法キザだった。まず普通の人は言えない。
いきなり「俺が好きなものは野球、映画、高い服、早い車、ウイスキー、それに君だ。他に何が知りたい」と来た。
彼女はそのシンプルな押しの強さに参ったものか。いやもっと深いところに同調するものを感じ取ったのだろう。
短くても信念を通した男の濃密な生き様であった。
「17歳の肖像」、「華麗なるギャツビー」のキャリー・マリガンと「グラス・ハウス」、「 ディープインパクト」の リーリー・ソビエスキーがチョイ役で出ていた。何という、、、。
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