多肉植物の恍惚

もともとサボテンはとりわけスピリチュアルな植物として注目されていたが(「サボテンが喋った」(工作舎)など)、サボテン、多肉植物の類は一度関わり出すと、いつも頭の片隅に居座り始めるようになる。
見詰めているとその面白い魅惑的な形態に見とれ時間を忘れてしまうことも屡々である。
底知れない魅力で、どんどん深みに引きずり込まれる、というほどのものではないが、その愛らしく特異な形はいつも気になるし、日に当たって元気にしてるかとか(直射日光に当たり過ぎではないかとか)か雨に当たりすぎたかなとか、葉が覆い茂り、風通しが悪くなって虫とか発生してないか、とか心配にもなったりする。
アーティフィシャルで予想外な綺麗な花をいきなりポッカと咲かせもし、その唐突さと意外性が愛嬌とも言え、特別ななくてはならない存在となってゆく理由の一つだ。
とは言え、忙しいとなかなか詳しくは観れない日が思いの他続いたりする。
多肉植物は水や肥料をあげすぎると、根腐れしてコロっと死んでしまう。
その為もあり、なるべく何もしないでいるうちに多忙に塗れてしまって、季節の変わり目の注意なども忘れがちになる。
時折、しっかり確認すると大変な荒れようで、影で徒長しているもの、苦し紛れに茎の途中から根を沢山ヒゲ状に伸ばしているもの、ちょっと虫の兆候が見え、病気がかっているものなどが、見つかる。
中には暴れすぎて、3つも先の鉢のところまで葉を伸ばして絡んでいるのもいたりする。
気づいたところで、すべて速攻で処理するが、いま夏場は彼ら(彼女ら)の夏眠の時期でもあり、出来れば秋にやりたいところだが、冬に気づいてやるよりはマシなので、応急処置でやってしまう。
眠っていても進行して取り返しがつかなくなることもある。
体力は冬よりはあるが、荒療治は出来ない。
秋や春なら芽が出るが、夏は無理の場合も多い。
やるなら環境の調整がまず前提で、半日陰で2週間は休ませたい。
菌の発生も無いように灰を切断面に塗ったり、根切りも適度にしておく必要がある。
昨日、蚊に食われながら、やることはやってしまったが、今日確認したところでは何とかなりそうだ。
多肉・サボテンは何と言っても根腐れしやすい。まずそこを注意することが肝要だ。
それにしても、多肉の形の多様さ、特殊さ、豊満さ、放逸さ、この過剰な個性にはいつも目を奪われる。
あらゆる形を各々で試してみたかのようだ。
何万種類の仲間たちで。
そしていつも彼らはそれに満足しない。やりすぎる。
根っからの過剰な存在なのだ。
模様の王様は蝶かも知れない。
形では多肉植物だろう。
しかし上品でお淑やかな王女様ではない。
とてつもないじゃじゃ馬である。
可愛いがその花も含めて。
われわれはそこからどれだけの想像力をインスパイアされるかだ。
しかし、インスパイアされる前に恍惚としてしまうのがオチだ。
特に夏は。
共に眠ってしまう。
彼らの時間に絡め取られる快感。
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