暗殺者たちの流儀

ANATOMIA ZLA
2015
ポーランド
ヤツェク・ブロムスキ監督・脚本・製作
ルディック・ドリザール音楽
クシシュトフ・ストロインスキ、、、ルレク(カロス・Z)
マルチン・コヴァルチク、、、ワスコ
アンジェイ・セヴェリン
ピョートル・グウォヴァツキ
ミハリーナ・オルシャニスカ、、、ハリナ
大変渋い映画であった。
フランス映画に似ているが、どこがどう違うとかは、わたしの手に負えるものではない。
更に乾いた印象を持ったが、、、。
その道の評論家なら色々と指摘してくれそうなところ。
ホントにこれがフランスモノならどんな感じになるのだろう、、、。
興味深い。渋い。

しかしこの雰囲気、トーンは好きだわ。
今、仮釈放でシャバに戻りひっそりと暮らしている老人は、腕の良い殺し屋として名を馳せていたが仲間の裏切りでムショに入っていた。世のモラルの低下を嘆くご老人である。
だが、老後を静かに暮らさせてはくれない。
警察庁長官を殺害せよと言う依頼を検事がしてくる。
アメリカの政治家から来ている危ない件らしい。
ともかくその検事は尻に火が点いているような感じで猛烈な勢いでルレクを脅して仕事をやらせようとする。
さもその警察庁長官が悪者であるような口ぶりで。失敗は出来ないからお前に頼むという。
ルレクもやらざるを得ない状況となる。しかし金は前払いではなかった。
一度引き受けると計画的に機械的に冷酷に彼は動き出す。
確かに一流の殺し屋だわと思わせる人格になる。
殺しのターゲットを狙い淡々と計画と準備を図るところは手慣れたモノ。
面白いのは、老眼でかつての射撃の腕が鈍ったため、アフガニスタンで民間人3人をタリバンと間違え射殺してしまい除隊させられた腕の良い狙撃手を雇い、2人で組んで仕事を進める運びとなるところ。バディムービー風に展開する。

しかし新しい相棒は、殺すには大義が必要という。もう後味の悪い殺しはご免なのだ。
老人の殺し屋もシャバで完全に足を洗うつもりでいた時は、それに同調する感じの姿勢であったが、もう目的は設定しておりブレる様子もない。スウィッチが入り、やるのみモードで動いており、相棒であるワスコも従ってゆく。
ずっと一緒にいるうちに時折ぶつかりつつも良い相棒関係は築かれるもの。
間に入る検事が警察庁長官の泊まるホテルの部屋と愛人との密会の日に300m程離れた向かいのホテルを取って準備する。
丸投げでないところは結構良心的にも思うがこの男もこれにしくじると大変なことになる焦りが見て取れるところ。
犯行もテロ組織がやったように仕組めると。なかなか良い仕事をするなとルレクも評価する。
そして張っていると、愛人が現れ少し後から花束を持った長官も入って来るではないか。
やるぞ、と声をかけワスコも実に手際よく銃の準備をする。
ルレクがガラスに丸く穴を開けて待つと長官が窓を開け煙草を吸う。
そこだ、とばかりに一発で仕留める。しかしオペラ歌手の愛人は仕留めそこなう。彼はやはり大義ないモノは撃てない性格なのだ。

そこからは上手く逃亡するが、成功報酬で検事ともめる。前金支払いを後払いに延ばしたあげく現金では2万だけ、残り8万は口座に送金するというが、この口約束など信用できるものか。ちゃんと作って来たのは高飛び用のパスポートのみ。
そこで結局相手のボディガードと撃ち合いとなり、相手は2人とも倒すが、ルレクも不意打ちを喰らい深手を負ってしまう。
彼の車で、病院に連れてゆく途上で差し掛かった橋から銃を捨てる時にルレクも事切れていたことに気付く。
仕方なく彼も橋から落とし、直ぐに高飛びすればよいものを、、、
そもそもワスコの分け前やパスポートは一切ないのだがルレクは彼への報酬はどうするつもりだったのか。
ワスコは馴染みのコールガールとのんびりしているうちに銃とルレクの遺体が引き上げられ、彼の車を使っていたことでルレクの仲間に狙われナイフで殺されてしまう。
駐車場の門番に高飛びしたなどと余計なことを言ったばかりに。

淡々と時計仕掛けのように物語は進んでゆく。
そして終わり方も良い。
とても心地よい映画であった。
AmazonPrimeにて

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