二人小町

Two Komachis
2021
日本・香港
曽根剛 監督
平谷悦郎 脚本
芥川龍之介 戯曲『二人小町』原案
ハンナ・チャン、、、黎小町(キャリアウーマン)
エリズ・ラオ、、、黎小町(モデル志望のアルバイト店員)
和泉素行、、、王喜龍(死神)
ウェスリー・ウォン、、、黄(社長)
キコ・レオン
カーク
ベン・サー
原作未読。ベースがしっかりしている為か、アレンジしても面白い。
香港ロケ。そちらでも愉しめるか。
香港ならではの極彩色夜景とかは特になく、観光気分には浸れない。裏通りの世界か。

死神がふたりの小町という女の欲望に翻弄されるよく出来たお噺。
ふたりの主演女優がとても良かった。
何だかやるせない死神も人間臭くてよく分かる。
「運命」を突き付けられた女性の方も、そりゃ混乱し取り乱す。
これから、という仕事もある。どちらの小町も夢が叶えられそうなところにいる。
死にたくはない。
そのじたばたに死神も呼応する。よくこれまで死神やって来れたな。

そもそも死神がふたりの同姓同名の同じ歳の女性に恋をするという奇想天外かどうかはともかく設定が強引で面白い。
死ぬ時期が迫った時に、僕は死神で君はこうして死ぬとわざわざ言う必要もあるものか。
(まあ、これを告白することで、コメディが動き始めるのだが)。
しかも女性にあなたの子供が出来たなどと言われてコロッと騙されたり。
同姓同名で歳が同じなら身代わりも効くということから、ふたりの小町への関りも深まり噺もややこしくなる。
何にしても女性に弱く優柔不断な死神って通用するのか。

女の方はどちらも計算高く強かである。しかも腹黒い。
これはすんなり死ぬような玉ではない。
特にモデル志望のとても率直で可憐に見えた小町がかなりの悪であるのも効いている。
豹変ぶりが怖い。いくら夢のためとは言え、、、。
やり手のOL小町は如何にもという感じだが。
そう執着心か。どちらの小町にも根深くあるもの。生への執着心は勿論。欲望である。
最後、ふたりで死神を拒んだことを後悔していたが、、、。
(運命に贖うことも運命であるか。こうなるとどちらをとっても不幸ではないか)。

死神がやたらと人が良く振り回されやすい男であることでコメディとして成立している。
役者も哀愁があって良い。
そしてヒロインの女優が全くタイプの違う綺麗なオーラを放っていることが魅惑的な映画にしている。
面白かった。

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