妖怪奇談

Woman Transformation
2007
亀井亨 脚本・監督・編集
松井建始 原案・製作
主題歌「山茶花」桑田沙織
伴杏里、、、岩崎みひろ(ネイルアート好きのフリーター、KAMAITACHI)
宮光真理子、、、山根美智子(モデル、ROKURO)
市川春樹、、、佐伯まな(中学生、NOPPERA)
桃生亜希子、、、飯岡(ネイルサロンオーナー)
綾野剛、、、真吾(まなの不良彼氏)
手塚とおる、、、大迫(医者)
浅見千代子、、、旗振りおばさん(蛇妖怪)
最初と最後に出て来る児童の登校の旗振り当番のパンチパーマのおばさん。
大変ビビッドで強烈。蛇の妖怪なのか、冒頭では男子児童を丸吞みしてしまったようだが、最後の場面では女子児童も同じ妖怪のようで、決死の闘いとなったはず(このシーンは何のためのものなのか。妖怪は結構この世に潜んでいるよということか)。

3人の女性が妖怪に変化する噺という事で観たが、確かにしっかり練られて作られたドラマではあるが、妖怪なの?
しかもひとり死んじゃうし(妖怪として活躍する前に)。
所謂、フリークスになったと考えた方がしっくりするが。
奇病で次第に身体が変わって行く女性たちの始まりの物語という感じ。
山根美智子は笑顔が作れず皆から虐められるモデルで、首が痛み長く伸びることに悩む。
岩崎みひろは爪が異常に早く伸び、切る事も叶わず鋭い刃になり持て余し混乱して流離う。
佐伯まなは、家庭の放任で淋しく寄る辺ない思いをしながら、顔が無くなって行くことに慄き絶望する。
それぞれ3人の個々のドラマを描きつつ彼女らの交錯・重なりもしっかり魅せる。
上手い作りだ。

美智子は内向的で暗く上手く対人関係が築けないが素直で優しい性格である。
みひろは自分の綺麗なことを鼻に掛けており、ヒトを見下し自己中である。
まなは、寂しさを紛らわすように不良と付き合い幼馴染のみゆきを完全に自分の手下扱いをするなど、情緒不安定で歪んだパーソナリティである。
しかし、上記3人に飯岡も含め、女優陣はかなりレベルは高い。虐められ役のみゆきの女優さんもだ。
綾野剛は、この時期、下積み中であったのか。情けない役をやっていた。と言うか気づかなかった(苦。

そしてとても切なく辛い思いをしながら、美智子はろくろ首となりみひろを助けて死ぬ。死に顔は爽やかで喜びに充ちていた。
みひろは美智子に命を救われた後、長い爪を持て余しかまいたちとなって呆然と夜の街を歩き、のっぺらぼうを発見する。
まなは、自分の顔が無くなって行く恐怖に慄きながらCDの曲を聴いて泣いているところをみひろに拾われる。
これから「かまいたち」と「のっぺらぼう」はどうなるのか?「ろくろ首」はあのままなのか?発見されたらそれはそれでニュースだが。
全体にとても切ない物語である。
彼女らは、周囲から疎外され孤立し居場所を失くして行く。
ろくろ首は死んでかつてない幸せそうな表情をしているではないか。

しかし妖怪となったのならそこからの活躍が描かれないと、これは単なる前日譚でしょ。
(前日譚としてよく出来ていた)。
これでは何も妖怪譚としては始まっていない。
しかも始まる前にろくろ首は死んでいる。
妖怪ってそんな簡単に死ぬのか?そもそも、、、。

宮光真理子と伴アンリは今何をやってるのか?
かなりのオーラを放つ女優だと思う。伴アンリは「リリイ・シュシュのすべて」でデビューしたようだ。
市川春樹も熱演であったが、女優はこの後辞めたらしい。勿体ない。
AmazonPrimeにて

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