京都画報 ~ 庭園の愉しみ

エピソード2 - 庭園の愉しみ
2021
京都自体が大きな庭園みたい、、、
この京都巡りは癖になる。
また観たくなった。
妙に心地よいのだ。

庭である。
庭は良い。
特に中庭には以前から興味があった。
かつて足しげく通った個人経営の版画美術館に6畳くらいのこじんまりした中庭があっていいなあと思いながらフルーツティーを飲んだものだ。
ほとんどがらんどうに近いものであったが、その空間が愛おしい。
光と影を観ているだけで何故か満ち足りてくる。
場所も九品仏であったから街自体がお庭に思えたが、、、。

京都の庭は、緻密で整っていて、しかも大規模である、やはり違うねえ。
「平安神宮の神苑」を巡る。本格庭園。「神苑」である。怖い。ここで庭の見方が示される。
常盤さんに庭園を案内してゆく作庭家の小川勝章(12代目)という人の解説が細かい。良く喋る。
彼の先祖の七代目 小川治兵衛という日本庭園の先駆者の手になるものである。
成程ね。と思いながらこちらもついて行く感に。
リモート時代のお庭散歩にはよい、、、丁度暑くて外には出られないし。
何と言っても川である。清らかな水の流れである。
琵琶湖疏水の引き入れによる流れる水によって形作られる庭園の趣深さ。

お庭の囁きに耳を澄ませば、、、自ずと分るもののよう、、、
ちょっとゾクゾクするではないの。
饒舌な小川さんが常盤さんにヒントを出したりして進むのだが、まあ噺が細かい。
きっとこの庭はせせらぎを横切って貰いたいのでしょう。作り手の意図が感じられます、、、。
ハイハイこっち歩きましょう、、、。
そ.れにしても、、、木漏れ日によって生まれる小路の表情が愛おしい。
見晴らし石があり、ここからお庭が見てもらいたがってます、、、成程。
しかし作者7代目の仕掛け~意図にはやはり感心する。
ここからしゃがんで観ると大きな渓谷が現れます。その通りだ。
自然を手本にした「崩れ石組」の手法で、時間を掛けて強固な組み方になって行きます。勉強になるわ。
この調子で進む。

そして川の流れを見て、この庭の物語を考えると、川上に向けて歩むのが理想かも知れません、、、
「順路」とは何か?そしてお庭の横顔とか正面とか、それぞれの趣きを確かめ、沢渡に使われた石の由来も面白い。
「お庭の正面を探していただくとお庭と親しくなれます、、、」。
お庭を歩むって深いねえ、、、。
そして常盤さんご指摘のように「借景」が見事に活かされていた。
日本文化は借景が配慮されてないと。
自分の住処を作る時に、良い景色のところ、とかではなく何処を借景とするかを決めてから選んだという。
そんなとこに住みたいわ。
次いで、妙心寺塔頭の退蔵院。

「見立て」の美学が堪能できる。
狩野元信の作った庭園である。つまりバリバリの狩野派絵師が作った庭。
石を如何に使い配置するか、だな。「よい景色」というものが腑に落ちる。
動いてする禅が掃除であるというのもまさに。管理が肝心である。うちの娘にも是非その精神で掃除をさせたい(無理。
床の間とはこういうものを謂うのだと、初めて知る。なるほどねえ。主がもっとも大切にして来た景色が分かる。
枯山水の“禅の庭”。
しっとりとした老舗和菓子屋を訪れ、中庭を堪能。主は季節の移ろいをここで感じるそう。
京菓子の芸術性も堪能。「余白の美学」である。最後にお客様が完結させるという。
あんまり難しいこと考えながら食べるのはキツイが。
いい加減なタレントの食レポなどでは到底用をなさない。

寺町通の名店「スマート珈琲店」で締め。
常盤さんお気に入りだという。
太秦御用達みたい。
古いドイツ製の焙煎機で代々淹れているそうだ。
創業当時の味を守り続けている。
旨いコーヒー飲みたくなった、、、。
最後に「余香苑」という昭和に作られたお庭も探訪。
小川氏の蘊蓄をしこたま聞いて、精進料理店「阿じろ」で景色を見ながらのお食事、、、
精進料理ってこんなに豪奢なの?で、お開き。
わたしもこのペースに馴染んで来たような。
AmazonPrimeにて
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