NOPE/ノープ

Nope
2022
アメリカ
ジョーダン・ピール 監督・脚本・製作
マイケル・エイブルズ 音楽
ダニエル・カルーヤ、、、OJ(オーティスの息子)
キキ・パーマー、、、エメラルド・ヘイウッド(オーティスの娘、OJの妹)
スティーヴン・ユァン、、、リッキー・“ジュープ”・パーク(元子役。テーマパーク「ジュピターズ・クレイム」のオーナー/クリエイター)
ブランドン・ペレア、、、エンジェル・トレス(フライズ・エレクトロニックスの技術セールスマン)
マイケル・ウィンコット、、、アントラーズ・ホルスト(有名な撮影監督)
レン・シュミット、、、アンバー・パーク(ジュープの妻)
キース・デイヴィッド、、、オーティス・ヘイウッド・Sr.(OJ、エメラルドの父、ヘイウッド・ハリウッド牧場主)
「ゲット・アウト」と「アス」は観た。どちらも緊張感たっぷりの傑作であったが、とりわけ「アス」の怖さは今でも印象に残っている(幼い頃に観たりしたらトラウマものだろう)。
本作も異様な空気の中、異次元のエイリアンが好き勝手に捕食して、こんなのホントにいそう。
(うちの猫も食うこと以外、特に何をするでもない、ように見える(爆)。
「ゲット・アウト」のダニエル・カルーヤがここでも主演。妹役のキキ・パーマーが大奮闘であった(笑。

終始、音の演出と、何だか分からないが、一つだけ全く動かず半年空に留まっている雲という、謂われなければ分らぬ不気味さの飽和感が何とも言えないものだった。
兎も角、危ないものであるのが分かってから、身を案じて避難するのではなく、その危険な物体の映像を撮りそれで大儲けしようというチャレンジ精神旺盛な牧場経営の兄妹の奮闘が描かれる。
何しろ先代の牧場主の父はその物体の落としたコインが頭を直撃して亡くなってしまう。
メディアには、飛行機からの落下物による犠牲者と発表される。
それまでは、その牧場で育てた馬を映画に出して順調に商売してきたのだが、父がいなくなると、途端に経営難に陥り馬を10頭も手放す羽目となる。そしてお気に入りの主力の馬も手放すことになった時に、その馬を連れて行ったテーマパークにその物体が現れ、パークの人々を皆吸い上げ喰い尽くしてしまった。
ニュースでは、この突然の多くの人々の消滅を鉄砲水による自然災害のように報じていた。
まあ、自然災害みたいなものではあるが。

ホームコメディの撮影現場でチンパンジーの起こした惨劇が挟まれる。
人々を吸い込み、最後にエメラルドの機転で宙に放たれたキャラ風船を食べさせられて爆発したそれが暴れまくった場がこの子役の長じたジュープがオーナーを務めるテーマパークであった。
兄妹は、監視カメラを設置して本格的にこのUFOらしき物体に狙いを定める。
ウマの買い戻しもかかっている熱のこもったプロジェクトだ。
そこに技術屋のエンジェルも加わる。
更に専門家で癖の強い気難しい撮影監督のホルストも引き釣り込む。
彼が最終的に狂ったようにのめり込み、遂にはそれに吸い込まれるがその最中もIMAXカメラで撮影を続けていた。
後で落下したフィルムからは貴重な映像が見られるはず。

雲に隠れたUFOかと思いきや丸ごとエイリアンだったのね。
縄張り意識があって、目が合うと襲ってくる(向うに眼があったかどうか定かでないが)。
何でも食べてしまい最後はヘリウムガスの充填された巨大キャラクタ風船食べて爆発してしまうというお粗末。
これまで色々な金属片とか落下させていたのは、消化出来ないモノを下に落としていただけのよう。
面白いのは、この生物が捕食活動に出た時は、無電状態になり、その周辺の電気は全てアウトとなる。
電動バイクが物凄い速度で走っていたのがパタンと倒れてしまうのだ。
カメラにその姿を収めるにも手回しカメラで撮る。

今思い出したが、この映画、「GHOST」、「CLOVER」、「GORDY」、「LUCKY」と章に分かれていた。
観る時にはそれらを意識しないで観ていたが、未だにその章分けが何であるか分かっていない。
最後にその実体を見せるエイリアン。確かに乗り物ではなく巨大な空に浮かぶ生物である。
なかなか見事なフィギュアだ。OJに“Gジャン”と名付けられたそれは、いよいよ脅威をふりまく。
この映画、広い大地の道脇に「スカイダンサー」が沢山フニャフニャ棚引いているのが印象的。
(これもGジャン観測用のツールとなっているか。電気が切れれば倒れてしまうから)。
最後はOJが囮となってラッキー(お気に入りの馬)に乗りGジャンを誘い出す。

しかし最終的に、電動バイクで「ジュピターズ・クレイム」(例のテーマパーク)にGジャンを誘い込んだエメラルドの大活躍で、この大食いのクリーチャーは滅ぶ。
だがそうなるまでの経緯を彼女は、テーマパークの井戸から上空を撮影するカメラで逐一撮って行くのだ。
最後の最後まで、この何だか分からぬモノを撮ることに執念を燃やした彼らであった。
(ホルストなど完全に命と引き換えの撮影である)。
観終わってみて何だったのかよく分からない。長い映画で、途中知らず寝たところもある。
見逃した部分は、その内観直して確認はするつもり。
この監督特有の質感は堪能した。ドゥニ・ヴィルヌーヴのように、この監督ならではの確固たる雰囲気がある。名匠である。
U-Nextにて

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