モダン・ラブ

2018
福島拓哉 監督・脚本
トルコ石 河原弘幸 音楽
稲村梓、、、ミカ
高橋卓郎、、、テル(ミカの恋人)
芳野正朝、、、シゲ(ミカの仕事の同僚)
今村怜央、、、バード(バーのマスター)
佐藤睦、、、高山
ヤン・イメリック、、、セルジ
川瀬陽太、、、前田教授(ミカの理論物理学ゼミの教授)
評判がやたら良かった映画であることは覚えている。
だが特に観ようとは思わずに来た作品。
ブルーロックを観る時に目に付いたので観ることに、、、(それにしても「ブルーロック」はメッチャ面白い)。

劇中のBGMのセンスが大変良い(ライブステージのバンドも歪んだグルーヴ感がすこぶる良い。まるで”スミス”みたい)。
奇しくも昨日のSFみたいに階層的な並行世界が描かれる。
並行世界が階層的構造にあってもそれぞれが閉じて安定していれば、各々完結した生を送りそれでおしまいだが。
(元々干渉し合う関係性などないはずなのだ)。
ここでは、エマノンという惑星が突然現れその影響でそれぞれの世界線が交わってしまう、という設定のよう。
(ちょいと違う)ミカが3人一つの系に出現してしまう~ドッペルゲンガー。
異常気象も問題とはなっているが、これはいつも問題となっていてどうこういうほどのものでもない。
ミカの身にデジャビュが頻繁に起こり、自分の時間系がループしていることを知る。
世界線の交わりと一つの系の時間ループは別物であろうに、何やらエマノンに押し付ければよいと謂うところか。
(太陽系に新惑星である。こりゃなんでもありかも)。

そもそもそれが起きたきっかけが、ミカのアルバイトで務める旅行会社を訪れた客が「アガルタ」に行きたいと謂うがその土地が分からず適当なツアーを紹介する。だが当人はそこを訪れたみたいで、東京に戻ってからミカに感謝の徴と土産をプレゼントしてくれる。
それが脳の模型なのだ。
脳内平行宇宙の象徴とでも、、、。
物々しくちょっとわざとらしい。
それを律義に部屋に飾っている(笑。
「起きてないことはすべて、起こり得るってことだから。」
これは参った。流石は理論物理学者である。
こう言っておけば間違いないが、ホントにそうだ。
このことばが活き活き感じられる説得力を覚える。最後には。

ミカトリオは、それぞれまだテルと付き合っているミカとテルが失踪してテルの声と対話しながら(幻聴に親しみ)自堕落な毎日を送るミカとテルが自殺してもういない世界のミカである。基本、自堕落ミカの時間系に他の2人が出入りする形で、3人で集合もした。
(昨日の映画「あやつり糸の世界」ではないが、一番上位にいるミカの脳内幻想が自堕落ミカであり、そのミカの脳内幻想がテルと付き合い中のミカということだ。ハイパーな階層構造ね)。
ミカが一堂に会し、どう考えてもわたしたちは世界線が交差して妙な現象が起きている。そしてこの系がループしている、、、。
これでもかというほど、ループを見せつける( 涼宮ハルヒの「エンドレスエイト」みたいに少しずつ変化はしないのね。微分的に)。
こちらも確かにうんざりさせられる。
ここを抜け出さないと何も変わらない、もう逢えないけど頑張りましょう、と結論を出す。
壁の向うに出るのよ。
「行けるところまでいくつもり」。
ということで、自堕落ミカは荷物をまとめて一大決心する。

この最後の壁の向うに出る為の旅ではミカはそれまでと違い、実にスッキリ爽やかないでたちで出掛けてゆく。
人との話し方も客相手でも親しいもの相手でもない、何やらリセットした爽やかなもの。
爽健美茶のCMにそのまま出て来そうな健康美。
しかしスペインのカタルーニャ州の「アガルタ」という立て看板のあるところでテルが地元のスペイン人となっていたのには、こっちも驚く。こうする他なかったそうだ。何で?
ミカ同様、そうなんだ、と受け取る以外にない(ミカも他に2人出て来たし。全て現実であれば受け容れる他あるまい)。
テルはミカを好きになり過ぎて離れることを選んだのだという。何で?
このロマンス部分~Loveの理論も平行世界に負けず強引で難解でありながら一種の浮遊感も感じる。
ここにRockが加わると何やらわたしらも既視感のある世界となるが、、、。
(かつてのフラワーチルドレン~サイケデリック~ネオサイケとか、、、)。

ミカはこれからテルから吹っ切れて爽やかに生きてゆくのだろうか。
存在感ある稲村梓という女優さんを知った。
SF映画に似合う人だ。
バード役の俳優さんも何でも冷静に分かっちゃってるところが味があって良かった(笑。
それから劇中のサウンドは飛び切り良い。
ロック感覚のある監督さんだと思ったらエンディング曲、もうちょっと何とかならなかったのかな、、、これかなり厳しい(苦。
ともかく、吹っ切れた感覚になれる。
これは一度は観てよい映画だ。
AmazonPrimeにて
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