スポンティニアス

Spontaneous
2020
アメリカ
ブライアン・ダフィールド 監督・脚本
アーロン・スターマー『Spontaneous』原作
ジョセフ・トラパニーズ 音楽
キャサリン・ラングフォード、、、マーラ・カーライル(17歳の女子高生)
チャーリー・プラマー、、、ディラン・ホヴメイヤー(マーラの彼氏)
テヘイリー・ロー、、、テス・マクナルティ(マーラの親友):
パイパー・ペラーボ、、、アンジェラ・カーライル(マーラの母)
ロブ・ヒューベル、、、チャーリー・カーライル(マーラの父)
イヴォンヌ・オージ、、、カーラ・ロゼッティ捜査官
レイン・マクニール、、、ジェンナ・ダルトン(ジョーの妹)
クライヴ・ホロウェイ、、、ジョー・ダルトン(ジェンナの兄)
ブハーン・ローデン、、、ハーパー・ウィー
クリス・シールズ、、、スピロス
チェラー・ホースダル、、、デニス・ホヴメイヤー(ディランの母)
気持ちいー映画だった。
悲惨なのに清々しい。キャストの魅力のせいかも。
キャサリン・ラングフォードはクールだ。
これからどんどん出て来そうな女優。
相手役のチャーリー・プラマーもどんな俳優となるか楽しみ。

ハイスクールで、ただ急にいきなり、友人や彼氏が爆発して逝く。
理由も何も分からない。
それが続けて突然、何度も起きる。
爆発する度に周囲の生徒は皆血塗れだ。
そのショックも大きい。何度も起きるからと言って慣れる訳にもいかない。
政府機関が乗り出し、原因の究明しようとするが、全くダメ。
生徒を隔離し検査を重ね、何を確認しても事件~病に繋がる決め手は見つからない。
取り敢えず対症療法の薬をトライエラーを続けながら開発する。

こういう時の恋愛とはどういうものだろう。
当然寄る辺なき者同士の同情と共感、明日をも知れぬ身である不安もあり、結ばれるべき人は時を惜しんでそうなる。
いつ自分が爆発するか分からぬ大きな不安を抱えながら、惹かれる人と貴重な~大切な時間を過ごしたい。
切実である。
濃密な時でもある。
常に自分の死ばかりでなく相手の死を気に掛ける関係。

戦時中の激戦地での若者(高校生)カップルといったところか。
しかし最後の最後まで生き残った彼氏も敢え無く目の前で爆発。
その瞬間、来るな、と思ったら案の定。
勿論、こちらとしては若いカップルに感情移入しており、それはやめとけと思ってはいたのだが、、、
来ることは充分に予感していた。
そしてこの学校の生き残った生徒は皆その死の不安に怯えながら生きている。
だが、彼女はここで最も恐れていた愛する者の喪失を経験したのだ。

そして一体、何人が爆死したのか。
巷では、マーラの関わった生徒が必ず死んでいると言って彼女を呪われた魔女みたいに噂する向きもあった。
すっかり意気消沈して彼女はアルコールに逃避する。
そうこうするうちに卒業式を迎えた。プロムも殺風景なものであった。
暫くすると政府の開発した薬が効果を見せたようで(どうかわからぬが)、人体爆破が収まる。
彼女は大学に行くために家を離れるが、かつてディランの乗っていたミルクバンを運転して行く。
マーラと親友のテスは生き残り、以前からの約束だったビーチで二人水タバコを吸いながら裸足で寛ぐ。

普通は、最終的に科学者が原因を探り当て、これだという解決策が講じられることが多いが、この映画はその爆発が何であり、原因とその治療~解消策も何も提示されず仕舞い。
ただ、”Spontaneous”に踊らされるばかりであった。
しかし現実は悉くこのようなものである。
不安で掴みどころがなく物悲しい世界。
BGMが終始、不穏だが繊細で哀愁ある美しい調べであった。
最後のミニマルな畳み掛ける荘厳な調べに至ってはかなり響くものがある。
ヨハン・ヨハンソンを彷彿させるところもあったが、この作曲家注目したい。
WOWOWにて
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