落下の王国

The Fall
インド、イギリス、アメリカ
2006
ターセム・シン 監督・脚本・製作
ダン・ギルロイ、ニコ・ソウルタナキス 脚本
カティンカ・アンタルー、、、アレクサンドリア (山賊の娘)
リー・ペイス、、、ロイ・ウォーカー (黒山賊)
ロビン・スミス、、、 ルイジ(片足の俳優)
マーカス・ウェズリー、、、オッタ・ベンガ(氷配達人)
ジートゥー・ヴァーマ、、、オレンジ摘み / インド人
レオ・ビル、、、ダーウィン(病院職員)
ジュリアン・ブリーチ、、、オレンジ摘み / 霊者(ミスティック)
ジャスティン・ワデル、、、エヴリン看護師 / エヴリン姫
ダニエル・カルタジローン、、、シンクレア / オウディアス総督
キム・ウィレンブローク、、、医者 / アレクサンダー大王
エイダン・リスゴー、、、アレクサンダー大王のメッセンジャー
ショーン・ギルダー、、、ウォルト
エミール・ホスティナ、、、アレクサンドリアの父親 / 黒山賊
グラント・ブレット・スワンピー、、、オーガスティン司祭
ロナルド・フランス、、、オットー
ニコ・ソウタルスキ、、、ホラス
カメラアングルとか、撮影がなかなかアートしていた。
「絵」に拘りがある。所謂、映像美の追求がよく分かる。そして何と言ってもベートーベンの交響曲第7番である。
ここぞというときにかかる。まさに感動もの。
(ベートーベンの交響曲の中では一番好き)。

映画の撮影中に脚を骨折し彼女にも去られたスタントマンが自殺するために、腕を骨折して入院中の少女に即興で作った叙事詩を聴かせ、病院の薬を持ってこさせようとする。
弟の仇をとるためにオウディアス総督を殺しに行く勇者6人。その中に進化論のダーウィンもペットのサルと共にいる。
序盤は皆強く頼もしい英雄譚となっているが、、、少女が見舞いに来る度に断続的に何日もかけ続いて行く。
しかし肝心のモルヒネは、粒が足りなかったり中身が砂糖に代えられていたり、彼女が棚から落下して零れてしまったりで、結局、3回の自殺のチャンスは皆ダメになる。と謂うより命が救われる。
自暴自棄の彼の話す大叙事詩も終盤に向き、どんどん悲劇の極みとなってゆく。
結局、皆死んでしまうのか、、、。

ロイ・ウォーカーとアレクサンドリアの2人だけになってしまい、ロイ・ウォーカーもオウディアス総督に殺される一歩手前までくる。
だが、アレクサンドリアが泣いてどうか殺さないで。死なないでと懇願する。
スタントマンのロイもそれを受け容れて、生きることにする。

この映画も叙事詩に出て来るキャストは皆、ロイの映画関係者か病院関係者である。
ひとり二役で頑張っているのだ(笑。
叙事詩の思い切りビビットな舞台とくすんだ病院の日常が交差しながら進んでゆく。
こういったタイプの映画はよく観る。
ただこの映画は、撮影効果や衣装、美術に力を入れていることがしっかり伝わってきた。
(特に衣装はすっ飛んでる)。
こなれたアニメーションも無理なく入って来る。
絵的に惹き付けるものだ。
ベートーベンの第7番の入るタイミングも良し(笑。

そしてこの映画の肝は、ヒロインの5歳のアレクサンドリア演じるカティンカ・アンタルーである。
近年稀にみる庶民的な女優である。
看護師と姫役であるジャスティン・ワデルは綺麗な如何にもお姫様役向きの女優であるが、カティンカはピザマンみたいなギャグアニメキャラの娘である。
ただし、物語はちょっとこの歳の女の子には過酷な内容となっており終盤はシンドイ。

この想像力を解放した強調単純化された極彩色の遠慮ないストーリーはホドロフスキー監督にも通じるところ。
しかしその分、極普通の幼い女の子には負担が大きかった気がする。
最終的に生きる希望を見出して退院したことは、良かった。
少女はまた骨折の原因となったオレンジ農場に戻り元気に暮らしており、スタントマンは、相変わらず派手で危険な落下技を銀幕に存分に披露していた。
最後に続けて観られるモノクロフィルムは、まさにお宝級。
The Fallであった(笑。

やはりロケ舞台の抽象性も凄いが衣装が圧倒的なインパクトであった。
WOWOWにて
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