おるすばんの味。

2017
武石昂大 監督
本田七海
平岡まい
小林万里子
片岡礼子.
今わたしの娘たちとの繋がりは、食べ物~料理にあるか。
アニメでちょっと話すネタはあっても、それはとっても儚い。
食べ物も食べてしまえば、それまでだが、唯一愛情の籠められる場である。

味覚が強烈に記憶に残るかと謂えば、あれは美味かったということばに収められ、その味や香りそのものが再現されて来るわけではない。親和的感覚~イメージがことばに纏わりつくとしても。
だが何よりその食べ物~料理に対する愛おしさはどこか残る。好きな食べ物として。
パパのスパゲティは美味いとか。ハンバーグは嬉しいとか。何度も出すと飽きて逆効果となる(レパートリーは必要(笑)。
これくらいだな、繋がりと呼べそうなものは。
ほんの些細なことに過ぎないが、確かな拠り所は、その他にない。
こころのありかたとは、こういったものだとおもう。
暖かく心地よい親和的な在り方も悪意と殺意漲る関係性も。
モノには記憶が畳み込まれている。
(食べ物もそのうちのひとつで)。
この作品では、「カレー」だ。
ヒロインが幼い頃、母子家庭で母が仕事で遅くなる時はいつも作り置きのカレーが鍋にあった。
これたべておいてね、と。
ある朝、母がカレーを丁寧に作っており、幼いヒロインが今日もママ遅いの?と聞くと、そうよ、と答える。
幼稚園児である彼女は咄嗟に、そのカレーを鍋ごと流しにぶちまけてしまう。
それから20年後、幼い娘のいるコンビニ勤めの彼女は、同じようにカレーを作り置きしていた。
母との関係を、今は自分の娘と反復している。
こういったケースは少なくない。

母の日、勤め先の昼食時に、同僚の若い女性が店長から残ったカーネーションを貰ったが迷惑だと、ほっぽって言う。
そして、コンビニカレーを食べ始める。
それにハッと気づくものがあったヒロインは、直ぐに自転車を飛ばして家に帰り、カレーを作って母の仏壇に供え自分も頂きますと手を合わせて食べるのだ。
お昼休みの余裕がある職場には見えなかったが、たまにはよかろう(笑。
深い慈しみと共に、潜み巡って還って来る料理はきっとある。
「お弁当を食べながら」(管野よう子)を思い出した。ヴォーカルは清浦夏実。
曲ははっきりと頭の中に鳴るものだと改めて確認したものだ(笑。
AmazonPrimeにて
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