女霊館

Malicious
2018
アメリカ
マイケル・ウィニック 監督・脚本
ジョシュ・スチュワート、、、アダム・ピアース(数学科教授)
ボヤナ・ノバコビッチ、、、リサ・ピアース(アダムの身重の妻)
デルロイ・リンドー、、、ロナルド・クラーク(盲目の学部長、数学者、超心理学者)
メリッサ・ボローナ、、、ベッキー(リサの妹)
ルーク・エドワーズ、、、ジェームズ・ハーパー(妻殺しで服役中)
イヴェット・イェイツ、、、エミリー・ハーパー(ジェームズの妻)
ベン・ファンダーメイ、、、デイビッド(学生、大学の施設管理者)
うっかりホラーを観てしまった。
というより、単純であっさり観れるのも時には選びたくなる。
およそアメリカ映画らしからぬ出来。詰めの甘い薄い内容。音で脅かす派。
とてもローカル色が強い。というよりも低予算映画特有の匂いが漂う。

怖い顔の年齢様々な女性の霊がテーブルの席に着くシーンがあるが、怖がらせたいのか笑わせたいのか、というものであった。
ちょっとギャグではないのだし、演出には気を遣って欲しいところ。
それからヒロインの妹。
映画でこれほど気に障る役というか女優は見たことない。
役柄がそういう役だからというだけでなく、その存在自体が気に障るのだ。
その態度、立ち振る舞いに表情、、、。
お祝いに変なプレゼントを送ってよこし、遊びに来ては好き勝手に振舞い、霊を見た途端黙って帰ってしまう。
「舐めてんのか?」と思わず言ってやりたい女優だ(いや役なのかな?(微妙)。
という感じで、どうもすんなり観られない座り心地の悪い映画。
いきなり妻を殺害する夫のシーンから入る。
彼は其の凶行の後、もっと早くやるべきだった、と呟く。
どうやら木箱はこの夫婦から流れて来たモノのよう。
たしかにホラーらしい怖いところはある。
まだ生まれてないのに泣き声に導かれてベッドを覗きに行くと、恐ろしい顔の赤ん坊がゴロンとしていたら、そりゃ母も死にそうになるわな。
お陰で流産し、もう子供も産めない体となり、、、。
こんな災難に何で遭わなければならぬのか、と謂えば妹が変な木箱を送ってよこしたからだ。
そこに呪われた悪霊が潜んでいたのだから
そもそも、出産祝いに何で不用品セールで買った如何わしい古い木箱など送ってよこすのか。
その箱を開けてしまったことで起こった禍である。まさか箱を貰って開けない人間はいまい。
諸悪の根源は間違いなくこのプレゼントセンスのない、人を舐めた妹である。
(姉にしても妹は唯一の理解者とか言っていたが、これでは処置無しだわ)。
数学者の夫も、問題は正しい方程式を見つければ必ず解ける、と豪語していたのに、、、。
こちらも呪いに打ち勝つ理性を観たかったのに、あっさり負けてしまう。この不甲斐なさ。
1+1は2とは限らないとかいう愚にも付かない負け惜しみを言って。
それでも数学者か。である。

兎も角、人はやはり視覚・聴覚に訴える表象に弱い。
暖炉の上に飾った絵が少しずつ変化して行ったり、子どもの走る足音や赤ん坊の泣き声、更に各世代が母を呼ぶ声とか、、、。
実際の赤ん坊や少女や思春期の女性や中年女性、老婆などが次々に現れたり(鏡に映った自分の姿が独自の動きをするところなど面白い)、全員そろってテーブルを囲んだりされては、夫も気のせいだとか迷信だと突っぱねてはいられなくなる。
そしてリサに対しそれらの女たちが呼びかけて縋って来る。
クラーク教授によれば、これらは全て流産した娘の各世代の霊であり、それを箱に戻さないとならない、という。
(何で各世代の娘がご丁寧に登場するのか分からぬが)。
クラーク教授のもとで、皆でテープレコーダーで各部屋の音を録り再生して確認する作業は緊迫感があって良かった。
盲目の教授が霊をはっきり見てしまうところなど、なかなかの演出。
しかしここがこの映画のピークか。
この後は、もう呪いに対する理性~知性の挑戦ではなく、呪いを終わらせるには妻を殺して流産した子供を昇天させるしかない、とかいう訳の分からぬ結論に従い話が収束してゆく。
それでは、この奥さんはもう踏んだり蹴ったりどころの悲惨さでは無かろうに。
夫の教授は妻殺しで投獄されそれに面会に行くクラーク教授も何なのか。もうちょっと頑張れなかったのか、である。
この夫、例の木箱はどうしたと教授に聞かれ妻の妹に送ったと答える。それが良いとわたしも思う(笑。
しかし結局、最初の夫婦の惨劇を反復してしまっただけではないか。
空しすぎないか。
他にも変なバザーで古い木箱とかを買って酷い目に遭う映画『ポゼッション』(イザベル・アジャーニ主演ではない方のもの)があった。
その手のモノには何か憑いている可能性あるかも。
買ったりプレゼントはしない方が良いと思う。
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