猫が教えてくれたこと

Kedi
2017
アメリカ
ジェイダ・トルン 監督
チャーリー・ウッパーマン アルプ・コルファリ 撮影
キラ・フォンタナ 音楽
武者修行に出ていたトラも最近は落ち着いて暮らしているが、刺激に乏しいと感じているのが分かる。
どうしたものか、、、。
野生が疼くみたい(爆。確かにまだ爪を立てて来るし、、、。

トルコのイスタンブールが舞台。歴史を感じる街だが高層ビルも立ち並ぶ。
野良猫と住人たちとの繋がりを描くドキュメンタリー。
家猫はむしろ少なく(猫らしさを失ってしまうから)野良猫、通い猫が圧倒的に多いようだ。
その猫たちの生態が様々で性格も皆異なり、それに接する人間たちもそれぞれである。
海が近いため、冬は海岸の岩の下で暮らしている猫もいるそうだ。
(海の熱で暖かいというのは分かる)。

猫はホントに気まぐれで性格も我儘に見えて人の気を引くのが上手い。
街の誰もが野良猫(通い猫)たちの動向を気にかけている。
忙しくて一日餌やりが出来なかった老人は気が気でないという様子で翌朝サンタみたいな餌の袋をもって様子を窺いに出て行く。
ある男性は、とある一角に住む猫の5世代に渡る家系を知っているという。
名前もしっかり共有されている。
通い猫が誰の家をメインとしその他何軒を回っているかの情報も共有されている。
街全体が猫を介して濃密な繋がりを形成しているようだ。
そして、皆が猫によって救われたと述べている。

わたしも猫とビートルズがいなければ、どうなっていたか分からない。
「もし猫を飼っていなければ、悲惨な少年時代を送っただろう」。全く同感。
猫は違う次元を観ることの出来る生き物だという。
その通りだろう。
猫を通じてそれを観てみたい。
感じてみたいものだ。
少なくともこの人間界~家庭や学校に縛られている必要などなかったのだし。
猫には神聖な音楽の波動を感じる。
そう、女性画家の描いていた猫がとてもよかった。この画家の絵画展を観てみたい。

様々な関り、、、
「もしもあの世があるなら、真っ先にこの子に逢いたい」
まさにわたしもそうだ。
わたしもホキに真っ先に逢う。どういう形であろうと。
これは間違いない。

イスタンブールの街の光景に溶け込んだ猫たち。
誰もが猫の世話をすることで自分を癒していた。癒されている自覚を持っていた。
猫との何らかの関りの中で変化する自分のこころに敏感であるのだ。
いや敏感になったのだろう。
猫とはそうした生き物なのだから。
猫には教えられる。

しかし猫たちと毎日かなりの時間を過ごし、餌やりを欠かさず行っていても、まだ立ち直れずにいる人もいる。
本人曰く、よほど傷が深いのだ。
しかし自分を客観視出来るところまで行ったのだ。質問に答えているではないか。
それは成果であろう。
それまでは塞ぎ込んで外に出れず誰とも口を聞けなかったのだし。

ここイスタンブールの人々は、土地開発がどんどん進み、ビルが増え緑や土が見えなくなり、猫の居場所が失われてゆくことを憂慮している。猫のいないイスタンブールは虚しいと。
猫との共存を模索する必要性を人々が切実に感じていることが分かる。
「猫たちは生きる実感を与え僕たちを幸せにしてくれる」。
そこに住む人々は皆、いい顔をしていた。
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