神さまの言うとおり

2014
三池崇史 監督
八津弘幸 脚本
金城宗幸、藤村緋二 原作
福士蒼汰、、、高畑瞬 (退屈を持て余す高校生)
山崎紘菜、、、秋元いちか (瞬 と同じ高校の幼馴染)
神木隆之介、、、天谷武 (瞬と同じ高校、身体能力の高いサイコパス)
染谷将太、、、サタケ (瞬のクラスメイト)
優希美青、、、高瀬翔子 (瞬やいちかの中学生時代の同級生)
入江甚儀、、、奥栄治
山本涼介、、、平良幹則
萩原みのり、、、田岡由実
大鶴佐助、、、真田ユキオ
高橋直人、、、前田小太郎
村上虹郎、、、吉川晴彦
大森南朋、、、タクミ(引籠り)
リリー・フランキー、、、長髪のホームレス(神)
昨日の映画と一緒にWowowでこれもやっていたので観てみた。
とっても似た感じであったが、こちらは映画自体は成り立っていた。内容はどちらも突然荒唐無稽な無茶苦茶な生き残りゲーム~レースに巻き込まれる点は同等なものか。昨日と同じように白い羽毛も舞っていたし。

ここでは、ゲームの枠はそれと分かるものが用意されるが、ほぼ運と依怙贔屓で切り抜けて行くケースが目立った。
(どう見ても主人公と決められたものが生き残るように組まれている節がある。例えば当たる順番など。これがとても大事なところ)。
余裕綽々の自信家のインテリ少年が初っ端からやられてしまうというのも、どうか。
少しは彼にもそれなりの活躍をさせたい(その方が面白くならないか)。
ゲームは「だるま」→「まねきねこ」→「こけし」→「しろくま」→「マトリョーシカ」→「神」の(しりとりの)流れで行われる。
仕掛ける側も、嘘をつくと一人ずつ殺すと謂い、実は出題者が嘘をついているなど、常にメタレベルから考えて行かないといけない。
如何わしいゲームなので、これは分かるとしても、答える主人公が疋田天功ばりの脱出イリュージョンをやってのけるのだ。
もとは、この彼、無気力でアイロニカルな少年であり、機転を利かしたスーパーマン的な技で瞬時に切り抜ける人には見えなかったのだが。
主人公の切り抜け方がエグイ。

「だるま」では、高校の各クラスに閉じ込められた生徒対象に「だるまさんがころんだ」が実施される。「~こ~ろんだ」の後に動いたら頭が吹き飛び殺されるのだが、後ろを向いて唱えている隙に、後頭部のスイッチを押せばゲームオーバーとなる。
しかしこのゲーム重大な補足が省略されており、押した者のみが生き残れるのだ。ここで貴重な役者、染谷将太がいなくなる。血が赤いビー玉というのが新鮮。各クラスひとり生き残れば成功となりここで数をうんと減らすというより一定の数に絞る主催者の目論みが分かる(何の目的でこんな暴挙に出るのかは、最後まで分からない)。

「まねきねこ」では、クリアした者が体育館に集められ、猫に鈴を付けたらゲームオーバーとなる。
床に貼り出されているようにネズミの着ぐるみを着た者から猫に認識され喰われていくことに気づいた頃には生徒は半減していた。
悉くそうしたゲームなのだ。着ぐるみを脱いだ頃にはもう人間も喰うようになっていた。バスケットのシュートの達人もいたが、猫に手で鈴をブロックされ殺される。猫が背中が痒いと言うので掻いてあげると眠り出す。この隙に鈴を付けようとするが、付けた者のみが助かるのでは、という疑念が生じ仲間割れとなって猫が目を覚まし暴れ出す。最後は、瞬 といちかコンビのシュートで決める作戦に。どちらも布で包んだボールを投げるが、瞬はわざとボールを隙間から見せ、いちかのボールを猫にフォーカスさせたが、瞬の裂けたバスケットボールの中に鈴を仕込んでいたのだ。いちかのただのボールに気を取られた隙に天谷武がここぞとばかりにゴールをアシストする。この時点で生きてた生徒は皆クリア扱い。

「こけし」では、すでに学校は関係なく50音で分けられた白い部屋で勝ち抜いてきた高校生が(名前を持った)4体のこけしによる「後ろの正面誰だ」をやり、外した者は殺される。瞬は自分の前に実施されたゲームのパタンを見切り、タイムアップの声を携帯に録りそれを一瞬早く再生させることで、それを受けて決まって反応するこけしの声から配列を確認して背後にいるこけしを特定する。
ここで身体能力に優れた優性思想をもったサイコパスの天谷武も瞬の幼馴染の美女秋元いちかも必ず各自の部屋から勝ち抜いてやって来る。かなり頭の回転も速いやり手であることも窺える。

「しろくま」では、全体が凍った銭湯に集められ、質問に対し、本当の気持ちを答えるというもの。全員が本当のことを答えればクリア。これは、知識ものクイズと異なり、正解は本人にしか分からない。ここでわざわざ命を落とすために嘘を答える者が出るはずはない。しかしシロクマは嘘を言っている者がいると謂い、それに乗った生徒が仲間を責め誰かを嘘つきとして殺させる。これは最初から分かっていたという天谷の言う通り、生徒を減らすためのシロクマの嘘である。それを突いてシロクマが嘘をついたことを確認してクリアとなる(ここで疑心暗鬼になる方がおかしいのだが)。

「マトリョーシカ」では、何故だか夕焼けのリゾート気分の味わえるような海辺の屋敷での勝負となる。日没までに缶蹴りで決着をつけるのだ。籤で鬼と逃げる者を決め、鬼が3人見つけて檻に入れるか、逃げる者が缶を蹴って助けるかである。但し感を蹴った者は缶の爆発により死ぬこととなるルールだ。
鬼になった天谷の優勢であったが、瞬 が納屋で見つけた鎧を着てやって来る。顔を見て名前を呼ばないとならないため(爆破の衝撃も緩和できる可能性もある)天谷が近づいた時、瞬が彼に鎖を巻き付け鎧のまま欄干から外の海へ身を投げる。
天谷が重みで欄干に引き寄せられているうちに瞬が鎧を脱ぎ、海から上がって来て天谷とタッチの差で缶を蹴る。しかし爆発はしなかった。天谷もこれで負けても罰は課せられない。爆破は嘘であり皆が安堵する。
だがその矢先、ご褒美に出されたアイスの棒に「あなたは生きる」「あなたは死ぬ」と印字されていた。ここは究極の運試しコーナーであったのだ。残ったのが瞬と天谷のふたりきり。

「マトリョーシカ」までクリアすれば「神の子」に認定されるようだ。
そうしてどういう待遇を受けるのか、、、。
勝ち残った喜びより戸惑いを隠せない高畑瞬とまさに俺が望んだ世界が到来したと目を輝かせる天谷武。
しかしその他は無残にも皆殺されてしまった。
「だるまさん」から数えれば、何人死んだか分らぬほど、、、。
最後の最後にヒロイン秋元いちかも殺されてしまう。
血が赤いビー玉というのも何とも言えない演出であった。
こうした密室サバイバルゲームは、警察がどうしているのか分らぬものが多いが、この劇では警察や自衛隊が終始騒いでおり、マスコミによる中継も途切れずなされており世間は騒然としていた。そりゃ頭上に巨大なキューブが浮かんでいるのだ(宇宙人騒動になったもおかしくない)。
ふたりの勝ち残り生徒がキューブの外に出ると、長髪のホームレスの姿をしたリリー・フランキーが神と紹介される。それはまるで諸星大二郎の漫画に出て来る神みたいであった。
それなりの説得力がある。
最後、引籠り中年のタクミがパソコンで中継を観て意を決して世直しに飛び出て行くところがあったが、宙に浮くキューブの上で神と対峙する「神の子」ふたりとの間に乱入して来たりしたら面白いのに。
エンドロールに行ってしまったから分らぬが、神をバッサリぶった切りでもすれば良いと思うが。
一体だれがこんなゲームをでっちあげ主催したのか。
何にしても凄いお金がかかっているはずだし、巨大な組織~資本によるものだろうが(テクノロジーから言って宇宙人絡みの)。
Wowowにて
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