ローリング

2015
冨永昌敬 映画・脚本
渡邊琢磨 音楽
三浦貴大、、、貫一 (権藤の教え子、おしぼり業者)
柳英里紗、、、みはり (情婦、元キャバクラ嬢)
川瀬陽太、、、権藤 (元教師)
松浦祐也、、、繁夫 (権藤の教え子)
礒部泰宏、、、田浦 (権藤の教え子)
橋野純平、、、船越 (繁夫の友人、工員)
森レイ子、、、容子 (権藤の教え子)
井端珠里、、、朋美 (権藤の教え子、芸能人)
杉山ひこひこ、、、黒木(事務所の弁護士)
西桐玉樹、、、野中 (元刑事、事務所顧問)
深谷由梨香、、、隣りの奥さん
星野かよ、、、ジュン (朋美の彼女)
高川裕也、、、広岡 (朋美のマネージャー)

水戸市が舞台。と謂ってもそのなかで特にローカルな部分を切り取ったような所(笑。
茨木弁とかは特に聴けなかった。
堕落しきった人間の成れの果てをとことん見せるシュールな映画。
重くならない点がミソ。よくあるオフビートというやつか。乾ききってあっけらかんとしている。
古い日本映画だと情念の沼にどっぷり浸かり、もがく姿が鬼気迫ったりするが、、、。
女子更衣室盗撮でクビになった元教師に、キャバクラ情婦、隣の奥さん、いつも下らぬ話題でつるんでばかりの教え子たち、、、
売れっ子芸能人になっている女子の教え子の所属する事務所のこれまたズッコケぶり。
お抱え弁護士の悪徳さ加減、、、HDDを店のテーブルに叩き付けて壊そうとする警察OB顧問。
兎も角、敢えてちょっとまともと謂えそうなのは、お絞り屋の貫一くらいか(これも何とも言えぬが)。

ズレたユーモアが随所で異様に光る。
「わたしはこんな姿になってしまいました」というからてっきり鳥の雛になったのかと思ったら、巣の方だった(爆。
まずナレーションが妙にNHKの教育TVみたいな口調でウケる。
タイトルのこけて歪んだレタリングも完全におちょくっている。
BGMもホラーテイストのある効果音として妙にフィットしていて独特な物語のテンポを支えていた。
柳英里紗のコケティッシュな魅力は、これらを見事に包含してまとめている。流石は後の監督。
教師を辞めさせられた男が教え子とバーで呑んでるというのも、神経が分からないがすっ飛び具合は分かる。
「立ち直れ厄介者」というドキュメンタリー番組に突然巻き込まれたり充分シュール。

10年前に盗撮したビデオ映像がパソコンのハードディスクにまだ残っていたところから、撮った当人とかつての教え子たちで結託し芸能活動をしている女子の事務所をゆするという、もう落ちるところまで落ちたまねをする。
(ビデオには朋美がジュンと愛し合っている姿が映っていたのだ)。
そこで200万円をものにするが、すかさずそこの弁護士が怪しいソーラーパネル事業を彼らに持ち掛けてくる。
何かと水戸、水戸というが、水戸愛を持った地元の人は良く思わないのでは、とわたしが心配する事ではないが。

元先生が余りの下衆の為、見限ったみはりは貫一 と恋人同士となる。
これは自然だが、相変わらずこの連中はつるみ続ける。この神経が分からない。
さっさと大金山分けして、他人になればよいものを更に皆で混沌としてゆく(笑。
被害者である朋美がわざわざ訪ねて来て、ビデオのコピーをネット上に流して欲しいという訳の分からぬことを頼んでくる。
理由は彼女の相手のジュンという子が誰の記憶にも残らなかった目立たぬ存在であったからだ。その子を皆に知って貰いたいというのが彼女の理屈である。そんなことをしたら彼女自身が破滅ではないか。
しかしその願いをきいてしまった者が出て、彼等はそろって身の破綻となる。
朋美は芸能界引退、ビデオをアップした者も含め金を受け取った連中は、事務所との契約を破った角で生命保険に入れられることに。損害を強制的に賠償させるのだ。

繁夫はコピーを作った本人だがそれを渡した貫一の仕業と断定し発電機と延長コードを持たせた船越と共に、屋上に貫一を電気ドリルで追い詰める。片手には生命保険の証書を持って、お前も入れとドリルで威嚇し脅迫する。移動する度にコードが抜けてドリルが止まる。船越は延長コードと重い発電機を任され一苦労である。ギャグ以外の何ものでもない(スラップスティック)が、何とも微妙。
そして屋上の手摺に追い詰められた貫一であるが、バッテリーが切れて止まったところで逃げてしまう。
それに怒った繁夫は船越を責めて殴るが、それに逆上した船越にナイフでめった刺しにされ殺される。
何とも、、、。狂気の沙汰である。

最後は一年後、野原で骨になった権藤が貫一たちに葬られる。小さい骨は鳥の巣作りの為に放置することにする。
「鳥の巣ぐらいが丁度いい人だったな。あんな人」と貫一。
「朋美が先生に感謝していた」と田浦は貫一に告げる。「感謝する人がいてよかったね」良い葬式である。
直ぐ隣にも骨が散乱していたが、それがだれの骨か、、、田浦は隣に住んでいた巨乳の奥さんだと謂うが、どうやらみはりのようだ。
まだまだ気になるところはあるが何とも言えない作品であった、、、。
音楽は絶妙。これ程のBGMは、なかなかない。
AmazonPrimeにて
- 関連記事
-
- 書くが、まま
- いぬ
- ローリング
- 惑星のかけら
- ちょっと思い出しただけ