リザとキツネと恋する死者たち

Liza, a rokatunder
2015
ハンガリー
ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ 監督・脚本
バーリント・ヘゲドゥーシュ 脚本
アンブルシュ・テビシュハージ 音楽
モーニカ・バルシャイ、、、リザ(30歳の女性)
デビッド・サクライ、、、トミー谷(日本人歌手の幽霊)
サボルチ・ベデ・ファゼカシュ、、、ゾルタン(警官)
ガーボル・レビツキ、、、ゾルタンの上司
ゾルターン・シュミエド、、、ヘンリク(プレイボーイ)
ピロシュカ・モルナール、、、マルタ田中(元日本大使夫人)
とても面白かった。1970年代のブダペストが舞台、らしい。それにしてはあり得ない明るさ。
このポップな明るさが日本の妖怪狐~宇宙人の醸す場なのか、、、。
リザという30歳女性が日本歌手トミー谷(幽霊)のファンで、彼の姿が見え、彼と彼の歌を唄ったり踊ったりするのを愉しんでいた。
彼女は、日本語も話せる日本贔屓の女性で、大人しい内向的な人である。
トミー谷もそんな彼女にぞっこんで近寄る邪魔者をあっさり殺してしまう。
いつもノリノリでマイクを持って現れる。
これが始末に悪い。
当然彼女が疑われるのだから。

トミー谷に息を吹きかけられ殺される人間は、「死者」とテロップが出る(笑。
(日本映画の影響らしい)。
マルタ(日本大使夫人、最初の雇い主)
カーロイ(食にこだわる)
ゾルタン(巡査)
ルドヴィク(戸棚に入る男)
ヘンリク(不実なプレイボーイ)
、、、
以上、ちょっとだけすれ違った、居合わせた類の人も含め、、、かなりの死者。

ヒロインが何とも儚げで清楚なミニの白いワンピースが似合う日本人ウケの良い女性。
親近感がある。
日本語が何とも、、、。舌足らずで可愛い。
スンガチとタナエの物語、、、何の事?キツネとか宇宙人呼ばわりされる。
彼女に関わる人が直ぐに死んでしまう為、凄くナーバスになるが、、、。
日本のお伽噺とか読み、純粋で無私の愛により呪いが解けると信じている。
印象的だったのは、、、
夢の中で、那須を舞台に妖怪狐(着物姿)で相手は侍のゾルタン、セリフが日本語の悲恋物語を演じている。
BGM 尺八の江戸の子守唄「ねんねんころりよ おころりよ」が流れ、、、。
ひょっとしてこれしか日本の伝統的な歌知らないのかな。
トミー谷の唄うポップスはちょっと北欧ポップ(渋谷系も)絡んでいて面白かった。

リザに近づく者をトミー谷が次々に息を吹きかけ殺害してしまう。
リザの身辺には死者ばかり、、、。その寂しさと恐怖と不安から彼女にしか見えないトミー谷を呼ぶ(悪循環)。
警察も彼女を逮捕しようとするが、決定的な決め手がない。
ゾルタン巡査を上手くやれば刑事にしてやると言って彼女の家に下宿させ、監視させる。
ゾルタンはいくらトミーが息を吹きかけても怪我をするくらい。
彼女の家の修繕などをコツコツとやっている(無償で)。
リザは、メックバーガー(おまけ付き)に行き、いつもお食事。
プレイボーイのヘンリクが自分にとって運命の人だと勘違いして付き合いだすが、、、
彼は全く不実でだらしない男であった。
不倫を重ねているうちに彼もまた、雇われた殺し屋に殺害されてしまう。
悉く関わった人間が死んでゆき、耐えられなくなった彼女は大量の睡眠薬を飲む。

自殺を図り昏睡状態の悪夢の中にヘンリクが現れるが、彼の言葉は皆信用できなかったことを悟る。
次いでトミー谷現れ、本来の死神の姿を見せる。
彼は、リザが死ぬことで自分のものにしようとしているのだった。
トミー谷の日本語の告白がなかなか味があった。
それを聴くうちに呪いというより歪んだ妄想が晴れてゆき、彼女は悪夢から解放されてゆく。
実は、彼女を守り、陰で人知れず修繕などをやってくれていたのがゾルタン巡査であったことに思い当たる。
その頃、ゾルタンがベッドにぐったり横たわった彼女を助けに駆けつけるのだった、、、。
彼はこれまでの怪我や骨折で満身創痍。
トミーの妨害にもめげずやって来て、「おはようございます」と耳元で彼女に呼びかける。にくいね。

それから10年後、、、日本の那須に娘と三人で旅行。
相変わらずトミー谷は付き纏っていた。
その為、ゾルタンの怪我も絶えない。
だが彼女は生涯の伴侶をみつけ幸せだったとさ、、、である。
エンディングの歌も日本語の歌。
全ての日本語曲がオリジナルだ。
なかなかのもの。いい感じの不思議ポップ映画。
兎も角、良かった。
AmazonPrimeにて
相変わらず状況~環境に何の変化もないが、、、
愚劣な屑どもに対する耐性はもともと出来ている為、問題はない。
自分の世界を堅牢にするのみ。
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