陽光桜 -YOKO THE CHERRY BLOSSOM-

2016
高橋玄 監督・原作・脚本
ベンジャミン・ベドゥサック 音楽
ザ・ブルーハーツ 「終わらない歌」主題歌
笹野高史、、、高岡正明(農業家、「伯方の塩」初代社長)
的場浩司、、、高岡正堂(長男)
宮本真希、、、高岡恵子(正堂の妻)
長谷直美、、、会田キヨ子(恵子の母)
野村宏伸、、、近藤(愛媛新聞記者)
ささの翔太、、、若き日の正明(青年教師)
川上麻衣子、、、近藤静香(近藤の妻)
風祭ゆき、、、高岡艶子(正明の妻)
実在の農業家、高岡正明氏の非戦を願い、世界中何所でも咲く強い品種の桜を生むために格闘する半生とそれを支える為に奮闘する家族の物語をユーモアを交えて描く。
キャストがとても良かった。
桜を生むまでの流れは説得力あったが、もう少し多面性を見せて貰いたかった。
人格のデフォルメは程よいところに思えたが。

愛媛県の山間部にある町が舞台。
「お国のために戦ってこい。このサクラの木の下でまた会おう」
教え子を戦地に送り出したが帰って来た者は半数にも満たなかった。
高岡正明は、世界中すべての戦争をなくすことを誓い、桜の品種改良に余生を費やす。
試行錯誤を重ねる日々。その為にかかる膨大な費用は家族が支えた。
とても噺好きで、自分の思想を一方的に6時間以上も相手かまわず話し続ける人でもある。
息子の嫁が出来た人で、精神面も経費においても助かったが、、、。
周囲の人は宇宙人と揶揄していたが、実際にいつも一緒に生活しているとさぞや大変な事もあったはず。
しかし、奥さんは素晴らしい。そういう旦那を信じ常に彼を尊敬し励まし続けていた。
この姿勢があって成し遂げられた面も忘れてはなるまい。
経理を託されやりくりが大変でも愚痴など全く言わず、いつも明るく接する嫁も同様に素晴らしい人格である。

教え子たちの慰霊の為、そして「二度と戦争をせんように、この花だけは咲かさないかん」
信念と情熱は決して醒めることは無かった(人の噺にも耳を貸さなかった)。
亜熱帯のジャワから極寒のシベリア、世界各地でしっかり咲く桜を研究の末、ついに作ることに成功する。
400もあるとされるサクラの品種からアマギヨシノとカンヒザクラを交配し、1981年に新品種として「陽光」を登録。
国内外~世界各地に苗木を無償で運送費も自己負担で送り続けた。
届いた先々でしっかり「陽光」が咲き誇った知らせも届き始める。
彼の死後、遺族は世界各地から届いたお礼状などを遺品の中に見つけた。
ローマ法王からのお礼の手紙もみつかり。

経費のやりくりで家族が苦労に苦労を重ねた様子が見られたが、「伯方の塩」で有名な伯方塩業の初代社長でもある。
その貯金がお葬式の費用とピッタリであったというのも、、、。
もう少し貯まっていてもよかろうに。
やはり桜の研究に、かなり使い込んでしまったのだろう。
桜への関りばかりで、「伯方の塩」に関してはほとんど描かれていなかったが、そこの経営も簡単なものではなかったはず。
これに関する描写も欲しかった。
寧ろ「伯方の塩」の方が一般的に知名度は高いのでは。

笹野高史と的場浩司さらに宮本真希のタッグは無敵であった。
基本はこのように相手を認め尊重し合うことである(息子は金の面でかなり文句を言っていた時期はあったが)。
そこから偉業(発明や開発、発見など)は生れて来るもの。
変に重くならず押し付けもなく、軽妙に迫るものがあった。
とてもほのぼのと確かな強度を持って。
笹野高史とささの翔太が親子であることを初めて知った。
この親子にとっても大変意義深い作品となろう。

送られた土地では、しっかりその桜が何であるのかアナウンス~表示がなされているだろうか。
桜自体には何の意味も価値も無い。
そこに意味や価値を付与するのは、飽くまでも人間である。
AmazonPrimeにて
この場所の自然環境にはとても憧れる。
寧ろ子供はこういうところで育てた方が良いのかも。
正明は毎日、綺麗な川で水浴していた。
それが元気の源か、、、。
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