バイオハザード: ザ・ファイナル

Resident Evil: The Final Chapter
2016
アメリカ、イギリス、ドイツ
ポール・W・S・アンダーソン 監督・脚本・製作
ポール・ハスリンジャー 音楽
L'Arc〜en〜Ciel「Don't be Afraid」主題歌
ミラ・ジョヴォヴィッチ、、、アリス・アバーナシー/アリシア・マーカス(ジェームズ・マーカス教授の娘、アンブレラ社共同経営者)
アリ・ラーター、、、クレア・レッドフィールド(アリスの親友、女性戦士)
エヴァー・アンダーソン、、、レッドクイーン(超人工頭脳)/アリシア・マーカス少女期
イアン・グレン、、、アレクサンダー・ローランド・アイザックス博士(オリジナル/クローン)
マーク・シンプソン、、、ジェームズ・マーカス教授(Tウィルス開発者、アリシアの父)
ショーン・ロバーツ、、、アルバート・ウェスカー(どうやら社員)
イ・ジュンギ、、、チュウ司令官(アイザックス直属の部下、武術に秀でる)
オーエン・マッケン、、、ドク(ラクーンシティ廃墟の「ピーク」の生存者を統括するリーダー)
ルビー・ローズ、、、アビゲイル(ラクーンシティ廃墟の生存者、機械担当)
ウィリアム・レビー、、、クリスチャン(ラクーンシティ廃墟の生存者)
フレイザー・ジェームズ、、、レイザー(ラクーンシティ廃墟の生存者)
アンブレラ社がついに掃討作戦に出る。アリスの活躍で予定通りのスケジュールで人類が滅亡しなかったのだ。
48時間後にその作戦は遂行されることがレッドクイーンからアリスに告げられる。
この件をアリスに伝える動機を超人工頭脳に与えたのがアリシア・マーカスがレッドクイーンにアップロードした情報であった。
48時間タイムリミットの息を呑む最終決戦が描かれる。

いくら何でももう飽きたという状況であったが、この最終章は見応え充分。しっかりと締めた。
アリスの出自に関しても衝撃の事実が判明する。それを受け容れアリシアが彼女の為に残す思いが切ない。
これまでの長い闘いや別れを考えても胸に込上げるものがある。
やはりウェスカーの言っていたことは嘘であった。こいつは最低のゲスである。
あのときアリスと一緒に立っていた人々はどうなったのか、今いるのは彼女だけだし、虚しい。
クレアが健在で残っていたのがせめてもの救いか。
そして、アイザックス博士(及び上級幹部)はウェスカーなど及びもつかない悪であった(ウェスカーは単なる社員であったか)。
すでにTウィルス絡みで70億人以上の人間を殺害しているが、「浄化作戦」(アンブレラ上級幹部のみで誰もいなくなった地上を支配する究極の優性思想)が全てに先立って計画されていたことも分かる。
社の上級幹部のみ低温生命維持装置で作戦遂行後に目覚め地上に出てゆき楽園を作るという。
つまりTウィルスの治療とかアンデッドの飼い慣らしなどどうでもよいことであった。クローンは自分をそれとして認識しておらず真の計画すら教えられていない。何とも虚しい。

アリシア・マーカスの登場がここでは大変大きい。
この人の病、難病である「プロジェリア」を父ジェームズ教授が何とか治療しようと開発したのがTウィルスであった。
画期的な有効性を発揮したウィルスであったが、後に致命的な副作用が発見される。
即刻研究を止めようとしたジェームズ教授であったが、共同出資者であるアイザックス博士により暗殺されてしまう。
アイザックスには、これを生物兵器に転用する目論見があった。結果的に彼によってアンブレラ社は巨大(軍事)企業に発展する。
Tウィルスもやはり難病に冒された娘を持つアシュフォード博士により引き継がれ完成される。
娘のアリシアはアンブレラ社の50%の株を持つ共同経営者であるが、病の為、全権をアイザックス博士が握っている状況。
なお、レッドクイーンのホログラフ像は少女時代のアリシア像であり父ジェームズ教授がその姿だけでも残そうと作成したものだが、皮肉にもそれを如何なる非情な手段を行使しても社を守る人工頭脳の姿に仇であるアイザックス博士により流用されてしまった。

そして何よりアリスにとって受け入れ難い真実とは、、、。
自分がアリシア・マーカスのクローンであること。つまりアイザックスに作られたものであること。
確かに彼女はアンブレラ社の警備主任の仕事をしていた以前の記憶を持たない。
これにはアリスも混乱を極めるが、アリシアからあなたはわたしより優れた存在であり誰よりも人間らしいと称賛される。
ずっと闘い続け生きて来た経験こそが現在のアリスを唯一無二の者にしたと謂えよう。
オリジナルかどうかなど問題ではない。
アリスは何とか気持ちを奮い立たせ最後の闘いを宿敵アイザックスに挑む。
オリジナルアイザックスはかつてない強さでほとんど歯が立たない。
戦闘力だけでなく彼には格闘予測ソフトウェアが埋め込まれており、常に先を読んで攻撃と防御が取れる。
アリスも前章でウェスカーにより元の力を戻されたはずであるが、今作においてTウィルスによる超能力など圧倒的なパワーは見られない。これも恐らくウェスカーの策略であろう。
危機に追い込まれるアリスであるが、博士のソフトの裏をかく頭脳戦で辛くも勝利を得る。
そしてアイザックスから奪った一本しかない風媒の抗ウイルスワクチンを撒こうとするが、それを阻止しに現れたのが倒したはずのアイザックスであった。凄まじい回復力である。だが丁度そこにクローンアイザックスが夥しいアンデッドを引き連れやって来る。
そしてオリジナルとの間に激しい争いが生じる。クローンは断固たるアイデンティティを主張し、決してそれを認めない。
そしてクローンにオリジナルは刺殺され、クローンアイザックスはゾンビに噛み殺される。虚しい。

さんざん小賢しいことをやって来たウェスカーは、アリシアに社を解雇された途端、レッドクイーンに重傷を負わされる。
そして爆弾の起爆装置を手に持たされ、命乞いをするが聞き入れられない。こいつただの社員だったのね。上級だったらすやすや眠ってるはずだし。つくづく残念な奴だわ。
装置保持が耐え切れず起動、低温生命維持装置で眠る上級幹部もろともハイブにいる者全て大爆発で死に絶える。
虚しい。
最後は、T-ウィルス感染者を死滅させる風媒の抗ウイルスワクチンが全てを覚悟したアリスの手によって撒かれる、、、
目覚めると彼女は生きていた。
傍らにはクレアが見守っていた。この抗ウイルスワクチンでアリスの体内のTウィルスのみ駆除されただけだと知る。
風に乗って全地表に抗体が行渡るまでまだ時間を要する。
それまでがわたしの闘いだとほくそ笑み、バイクで颯爽と駆け抜けてゆく。

この最終作には、バイオハザードのどの映画にも感じなかった感動があった。虚しくもあったが、、、。
ただ殺戮ばかり延々と見せられていてはうんざりして来ると言うもの。
アリスの切断された指はどうなるのか。Tウィルスが残っていれば再生も出来たように思えるが、それが痛々しい。
監督とミラ・ジョヴォヴィッチには、ほんとにお疲れ様と謂いたい。よく飽きずにやって来れたと思う。
映画も充分な収益をあげたし。
レッドクイーン/幼い頃のアリシア・マーカスは2人の間の愛娘ときた。
これからは、エヴァー・アンダーソン主演映画をお父さんは撮るんだろうな。
また大変だわ。
Wowowにて
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