ブラックフライデーの恐怖

Black Friday
アメリカ
2021
ケイシー・テボ 監督
デヴォン・サワ
イバナ・バケロ
スティーヴン・ペック
マイケル・J・ホワイト
ブルース・キャンベル
「パンズ・ラビリンス」のヒロインが長じてこの映画のヒロインやっとるとは、、、(悲。
あれは素敵な映画だった、、、。出演作に恵まれていないようで悲しい。

ブラックフライデーに物凄い数の客が大型トイショップに押し寄せていた。
(アメリカでは暴動レベルで商品の取り合いとなるという。店にとってはかき入れ時で、店長はノルマが課せられる)。
その店が開店する直前に地球外生命体らしきものが落下し、客が店に雪崩れ込み、猛烈に買い物を始めると同時にソレも客にとりつき、何やらゾンビのようなクリーチャーと化したものが混乱の中、次々に他の人間を襲い始める。
噛まれたらソレに成ってしまうところはゾンビに等しい。
ただし、仲間を増やすと謂うより、相手を喰ってしまうモノも多いようだ。
とは言え、直ぐにパンデミックでゾンビだらけとなってしまう。
動きが激しいところで、多数派ゾンビとは異なる。

ブラックフライデーの中で、誰もこの真相になかなか気づけない。
だが、店員に犠牲者が出始めてから、ようやく飛んでもない事態に恐怖する。
しかし、今日の売り上げを気にする店長やその腰巾着、表彰を狙う店員もおり、電話も不通で、パニックの中で混乱するばかり。
事態も正確に掴めないが、この噺の中でそれを掴んでいる人間や機関があるとは思えない。
突然降りかかった訳の分らぬ災害なのだ(しかしこういうことはよくあること)。
更にこのゾンビ?は、形態を変え、人が哀れに崩れた感じの表情から大変意欲的なエイリアンみたいな精悍な悪面に豹変する。
もう元が人だなんて思いもよらない、昆虫系の無慈悲な存在と化す。

緊張感なくタラタラ進むのだが、店長含めスタッフがかなりの数犠牲になる。
だが、その犠牲になり方が皆頭がおかしく成って妙な言動を取った末に死ぬ。
独りだけ真面目な頼れるタフガイだけがまともに襲われて死ぬが、、、。
それ以外は、何それと言う感じで死んでゆく。ほぼギャクだが笑う程面白くもない。
見ている主人公たちも、「頭が変になったわ」と言って傍観していた。
こちらも主人公たちと同じく唖然とするしかなかったものだ。

更に次なる変態では、それらが合体してゆき巨大な怪獣と化すのだ。
何たること。大型トイショップの天井を突き破り夜空に向けて吠えているではないの。
これで残った玩具屋の店員たちが立ち向かえるのか、という構図なのだが、、、
その戦い方が全く要領を得ず、どういう動きをしているのかさっぱり掴めない。
何を思い、考えてるのかも分からないが、何やらドリフのコントみたいな思いつきで対抗する。
で、まさかそんなんで効果あるかと思うとしっかり巨大怪獣が怯みその隙に車に乗って逃げるのに成功する。
(一瞬、ドリフのコントへのオマージュか、と思ったが外国の監督がそれを観てることは無いだろうと思い直した)。
しかし、そんなに甘くないと、こちらは次の瞬間を期待するのだが、呆気なくセーフティゾーンまで逃げおおせたみたい。
わたしには、そこがどんでん返しに思えた(爆。

監督はホラーコメディという感覚で作っていると察するのだが、笑えない滑るコントを見せられているに等しい。
ズレた人たちが真面目に変なことをしている面白さを狙っているのか
ブルース・キャンベル演じる店長などその最たるもの。
一番まともなマイケル・J・ホワイトの店員はこの一行の雰囲気とは明らかに異なる為、一番デキル男に見えたが早々に怪物に殺されて退場となる。
後は、変な人たちだけが残り、妙な会話をしたり、本音を言って爆発して、訳の分らぬ喧嘩をしたり、その後で和解してみたり、人間関係を巡るお話の尺がかなり長い。ズレた変なことを長々と話しているが笑えないのだ。
しかしわたしもこんな中にいた記憶が何となく蘇ってくるような妙な郷愁に囚われたりもした(苦。
ホラーコメディエンターテイメントを見ているはずが、自分も微妙な表情で見ていることが分かる。
何というか、、、もう少し思い切った方向に振り切って欲しいものであった。
ハチャメチャな、手を叩いて笑い転げるみたいな。
あの怪獣はその後、どうしたのか、更に狂暴化して暴れ回れば、まさにゴジラ状態であるが、、、。
この噺でゴジラが登場しても収拾がつかない。
Wowowにて
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