ブレア・ウィッチ・プロジェクト

THE BLAIR WITCH PROJECT
1999
アメリカ
ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス 監督・脚本
ヘザー・ドナヒュー 、、、ヘザー・ドナヒュー(映画学科学生、監督)
ジョシュア・レナード 、、、ジョシュア・レナード (映画学科学生、撮影)
マイケル・C・ウィリアムズ 、、、マイケル・C・ウィリアムズ (映画学科学生、録音)
昨日のドキュメンタリータッチの深遠で静謐な格調高い映画とは真逆の学生のお手軽なノリで作ったような映画である。
この作品の存在は知ってはいたが特に観る気は起きずにいた。
モキュメンタリー映画の先駆けとなった作品だそうだ。
低予算と謂ったらこれの右に出る映画はないはず。
(こういうのもやれば出来るんだという良い例とはなったはず。だが未だにここまでお金をかけない映画はないのでは)。

モンゴメリー大学映画学科に所属する3人の大学生が、1994年に“ブレア・ウィッチ”という魔女の言い伝えのあるメリーランド州ブラック・ヒルズの森に入った。そこで怖い映画を撮ろうという軽いノリであったみたいだが、、、(よくある心霊スポットにちょっと肝試しに行ってみる的なものか)。
この森では18世紀から50年ほどの間隔で、忌まわしい大事件が少なくとも3回起きているという。
7人の子どもの内臓を取って殺したなどという禍々しい手口で、犯人は年老いた女の幽霊~ブレア・ウィッチに操られてやったらしい。
折角、事前に取材したのだし、もう少しそれを活かしてもよかったかと、、、。
(特にあのおばあちゃんの興味深い噺とか、バカにせずに)。
中盤にはもう道に迷ったと子供じみた喧嘩になる。
準備もそこそこで来たとはいえ、コンパスと地図があってもどうにもならないのか。
(コンパスと地図をしっかり使えば、出られないなどということはないはずだが、富士の樹海じゃあるまいし)。
仲間荒れが始まり、怒ったり拗ねたり泣いたり、大学生と謂ってもまだまだ子供である。
もっと綿密な計画とシナリオもしっかり作ってクルーも厳選しないと、こうなってしまうか。

そして石を積んだモニュメント風のものや木を組んだブードゥー教の儀式で使うようなものを観ればそれは不安も強まる。
こういった状況となると、夜の闇が殊更怖い。
感覚的にも過敏に成る分、様々な音が不気味に聴こえてくる。
実際、あり得ない声などが複数聴こえていたようだ。
寒さで余計に心細くなる。
何に対しても、過剰に反応してしまう。
朝目覚めるとテントの周りに何者の仕業か、石が積まれている。これは何とも不吉。
しかしそれ目当てで撮影隊を組んでわざわざやって来たのだからどんどん撮れるだけ撮るべきだろう。
神経質になり、仲間との関係にも深刻な影響を及ぼす。
不安と恐怖の募る困難な状況となれば、相手のせいにしたくなる。
お互いを詰り、攻撃し合う。映画を撮りに来たのにカメラをまわすなと怒鳴りまくる等々。
そしてワザと地図を捨ててしまったり、破滅的な行為をするようにもなる。
不信感が募る。
夜毎に物音が不穏さを増す。
死の恐怖に苛まれる。
そして、途中で消えたジョシュアの歯と思しきものを見つけてしまっては、パニックになるのも無理はない。

忌まわしい場所に自ら入ったとはいえ、出られなくなり絶望するとこうなるんだろうな、、、という感覚的、感情的なものが分かる。
しかし特に女の子の激しい感情表現は、クールな対応すべき時に厳しいものだ。
終盤はもうギャーギャー喚き通しで一緒に行動は遠慮したくなると言うもの。
いよいよ終盤に来て、女の子がわたしのエゴで皆を巻き込んでしまってごめんなさいとビデオに撮っているところが健気。
それもそれぞれのおかあさんに謝っているのだ。
最後のボロボロな館で、背を向けて立っているヒト~マイケル?の後姿(違う人か)。
カメラが地べたに落ち、ここで全てが途絶える。
これは、なかなかのもの。唯一怖く感じられたところである。こういったシークエンスは後の映画にも活かされたのでは、、、?
結局、8日間も3人はこの森を彷徨っていたのか。
ところで、このビデオだけが数年後発見されたのね。3人は消息不明でも。
3人のゴタゴタの活躍ぶり(更に彼女の謝罪)が残せたことだけでもよかった。
この映画には驚異の記録がある。
全世界興行収入2億4050万ドルというのだ。びっくり!この製作陣、監督たちはこの後何も作ってはいないそうだが、、、
この一本だけで、ずっと暮らせる。これを資本に何か事業でも始めてもよいだろうし。実際どうしたのだろうか。
(ちなみに、主演の3人の報酬は1000ドルであった。ケチ。製作費も6万ドルとか)。
全く別のスタッフで続編があると謂うが、、、観る気は微塵もない(笑。
Wowowにて
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