ヴァンキッシュ

Vanquish
2021
アメリカ
ジョージ・ギャロ 監督
ジョージ・ギャロ サミュエル・バートレット 脚本
ルビー・ローズ、、、ヴィッキー(元運び屋)
モーガン・フリーマン、、、デーモン(元警察署長、現ギャングのボス)
パトリック・マルドゥーン
ニック・バレロンガ
こういう悪徳警官やギャングや州知事から黒い金を巻き上げ、バリバリ撃ち殺して自分の為に使うぞと、トンずらするストレートな映画は好きだ。
細かい事や複雑な捻りやトリックもどんでん返しもなく、スッキリしている。
ここまであっけらかんとしていると爽快感があって良い。
「映画」としての出来とかは、モーガン・フリーマンが出ていれば、それなりの風格のものになる。
(ただし、もしここに彼がいなかったら商品としては成立しない。もう85歳なんだね。長生きして欲しい俳優だ)。

ヴィッキーは拳銃とバイクが凄腕の、かつて運び屋で名を馳せた女性。
そのためか現在は丸刈りで身元がバレないようにしている。
かつて酷い目に遭った悪党たちも、デーモンのもとにいることで彼女に手出し出来ないことになっていた。
(今は足を洗いデーモンのもとで静かに娘と暮らしていたのだ)。
しかし問題が持ち上がった。彼女はどこの病院に診せても分からない娘の難病でとても悩んでいたのだ。
大金が必要となってくる。
これまでずっと彼女に何もやらせないように庇護していたデーモンであったが、一晩で大金の受け取りを5か所も回らせようとする。
一度、外に出てしまえば、忽ち敵が襲って来る彼女であった。リスキーであることは言うまでもない。
娘がいるため彼女は固辞する。しかしデーモンは娘を安全な場所に移し、彼女に是が非でもやらせる。
銃撃戦は必須であり、バイクと車のチェイスもタップリ入ってくる。
劇中の悪党も言っていたが彼女は、タランティーノ映画みたいに大量の死人を出してそれぞれの集金場所から金を回収して来る。

デーモンはかつては優秀な捜査官として活躍し警察署長にまでなったが、ギャングの報復により車椅子生活を余儀なくされていた。
そして今や裏世界にどっぷり浸かってフィクサーをやっていたが、そんな自分に嫌気がさしていたところだ。
もうこの生活から抜けられないなら、最期に良い事をしようと決意する。そして総括であった。
身の回りの世話をしてくれているヴィッキーが娘に良い病院で検査・治療の出来るようにしてやりたい。
そうおもって彼女に課した周到に計画された悪徳グループからの金の回収プランであった。
ついでに全てまとめて葬ってやろうと、、、。
激しい銃撃戦とカーチェイスを交えてヴィッキーはタフに回収をして来る。
そして5件目が終わったところで、彼は娘をヴィッキーに返し、集めた金を全て彼女に渡して、直ぐに逃がすのだ。
ヴィッキーは一緒に逃げようと誘うが、彼は覚悟を決めており、邸宅に独り残った。

デーモンの差し金でヴィッキーが回収していたことは悪党の残党は皆知っており、当然の如く彼の邸宅に武装して押し寄せて来る。
全て計算の内である彼は連中が集まったところで館もろとも道連れで大爆破(悪党どもの大掃除であろう)。
これで直接ヴィッキーに恨みを持って追いかけて来る輩はいなくなったかも知れぬが、FBIとかはしっかり把握しているだろうし、彼女も手放しで喜べるものではないはず。
最期は、母娘ふたりでスポーツカー(州知事からせしめた車)を飛ばして理想郷に旅立つような絵である。
物凄く解放的でハッピーなエンディングであったが、、、。
大丈夫なのか。
この映画であれば、大丈夫。
娘の難病もせしめた大金で治り、母娘ふたりで幸せに暮らしましたとさ。
である。絶対。こういう噺があって良い。

それにしてもアメリカ映画にはギャングとつるんでいる悪徳警官がよく出て来る。
ここではFBI捜査官もグルと来た。
使ってもバレない裏金も凄いようだ。
或る意味、伸び伸びしているではないか。
Wowowにて
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