植木屋と車椅子

2001
今野雅夫 監督・脚本・撮影・編集・製作・宣伝
中田康太郎 原作
和田治、中田康太郎 音楽
中田康太郎、、、車椅子の男(脳性麻痺)
和田治、、、植木屋
どちらも本業だという。確かに観たまんまだ。
監督が映画を撮りたいと言ったら直ぐに引き受けてくれた気のいい植木屋さんと、車椅子でもいい人とは限らないと謂う康ちゃん主演で撮られたもの。
脳性麻痺の康ちゃんの日記である『心の詩』をもとに今野監督が脚本を書いて撮ったそうだ。
どんな詩なんだ。
21分もの。
セリフも多いが楽しそう。素朴な劇画タッチの編集(突然絆創膏が貼られていたり、足にギブスが付いていたり)。
芝居だか何だか分らぬやり取りで展開するショートムービー。
和田さんが細い舗道脇の木に脚立を掛けて登っているところに、康ちゃんがやって来てその木切るのと問いかける。
馴れ馴れしくてお喋りな康ちゃんとガラは悪いが人の好い和田さんの絡みは雰囲気的には流れの予想はつく。
康ちゃんの髪を和田さんが剪定ばさみで切ってあげるが、スッキリし過ぎで文句を言うが前よりずっといいぞと言われると調子に乗る康ちゃん。思った通りの基調で、噺は進む(笑。
和田さんを康ちゃんがお礼に自宅に食事に誘う。
しかし思った通り、和田さんが料理をして康ちゃんに振舞う形に。「うちは全てセルフサービスさ」と康ちゃん。
連れてこられた人は必ずそうなるのだ。

そして康ちゃんは人に見せたいものがたくさんある。
「絵」に「音楽」に「詩」だ。
自分(の世界)に喪失・不自由・閉塞感などを抱え持っている場合、どうしても抽象的な表出~表現をしたくなる。
超脱したい。
わたしと似ている(笑。ただ無理やり鑑賞させておいて、やたらと態度がデカい。ここはわたしとまるで違う。
厚かましくも和田さんに無理やり恋文を読ませたりもする(爆。
調子に乗って次々に和田さんに見せたり聴かせたりするが、彼は寝てしまう。
帰り俺の車で送って行くと言い、和田さんに運転させた挙句、和田さんの家に泊まり込む。
飛んでもない奴だ。パラサイトだ。
この後、康ちゃんの悪戯?で和田さんは脚立から落ち、彼も一時的に車椅子(手漕ぎ)を経験する。
「お前人を意のままにする変な力持ってるだろ?」確かに和田さん振り回されっぱなし(笑。
一緒に車椅子生活をしてみて、康ちゃんの大変さも身に染みる。
和田さん治っちゃうからな。僕は一生だよ。
「お前強いなあ」これも和田さんの本心だ。
そして「人に頼っちゃうんだよな」というのも康ちゃんの本心。
すぐ人に期待してしまい裏切られると言う。
でもこれは何にしてもそうだ。
そこから転じて人の役に立ちたいんだよね。となる。
ぼくに何かあったら電話して。こころのドクターに成りたいから。
「そんじゃ、電話してみるか」和田さん良い人である。
でも電話来ないんだよね。

「普段お前何してんの?」
「生きてる」。
「和田さんは生きてる?」
もう友達だ。
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