閉鎖病棟 -それぞれの朝-

2019
平山秀幸 監督・脚本
帚木蓬生『閉鎖病棟』原作
安川午朗 音楽
K「光るソラ蒼く」主題歌
笑福亭鶴瓶、、、梶木秀丸(元死刑囚)
綾野剛、、、塚本中弥/チュウさん(幻聴に苦しむ元サラリーマン)
小松菜奈、、、島崎由紀(義父からDVを受ける女子高生)
坂東龍汰、、、丸井昭八
平岩紙、、、キモ姉
綾田俊樹、、、ムラカミ
森下能幸、、、ダビンチ
水澤紳吾、、、ハカセ
駒木根隆介、、、テッポー
大窪人衛、、、フーさん
北村早樹子、、、オフデちゃん
大方斐紗子、、、おジギ婆さん
村木仁、、、ドウさん
片岡礼子、、、由紀の母/島崎佳代
山中崇、、、由紀の父/島崎伸夫
根岸季衣、、、チュウさんの母/塚本富子
ベンガル、、、酒井弁護士
高橋和也、、、大谷医師
木野花、、、石田サナエ
渋川清彦、、、重宗
小林聡美、、、井波看護師長
MONDO GROSSOの惑星タントラで斎藤飛鳥の歌うようにこの地上そのものが閉鎖病棟でもある。
わたしもまさしく、そのなかに閉じ込められたひとり。
そのなかで、どうやっていきてゆくのか。
綾野剛が言っていた「嘘のない物語」というものに浸った。
ここでは、見え易くするために出来る限り小さな場所でのドラマに濃縮しているが、、、。

中弥の言う通り、「誰もが事情を抱えている」
主人公三人の過去~記憶は極めて過酷である。
歪でささくれ立った者同士のぶつかり合い。
そのなかで、支え合うことが出来れば、、、
孤独で寄る辺ない相手に、水をそっと渡す。
心配することは何もない、と言って寄り添う。
一緒に陶芸をする。
買い物に行く。
ささやかなプレゼントをし合う。

相手の言葉に耳を傾ける、、、。
本当の家族に恵まれなかった者同士。見知らぬ者同士が家族のように寄り添う。
(精神的血族である)。
ここでは梶木秀丸が皆の父となって、、、。
そう、外部にほとんど興味を覚えない(自分のことで精一杯)の人たちですら、彼のことは気にかけ信頼し切っている。

何かで支えられる相手を見出し、それにより自らも救われてゆく。
そんな過程が流れ出す。
ゆっくりと癒され回復して~自分を取り戻して行けば、、、。
前を向いて希望を抱き生きることは可能か。
だが、痛ましい受難が由紀には待っていた。
ここまで人は踏みにじられてよいものか。
胸が苦しくなる悲痛な現実が又も襲い掛かる。
其れを救うのは、「父」の自己犠牲しかなかった。
彼の存在により彼女は強く生きる覚悟を持つ。
中弥もそうだ。

「その優しさを咎めるか」と突き出された問い。
もはや、善悪の彼岸である。
法や道徳で裁いてどうなるものでもない。
単に不毛である。
由紀の法廷での証言といつまでも待つという涙ながらの訴え。
そして、中弥の僕は退院した、という叫びにより、秀丸も生きる気力を取り戻す。
この強度なのだ。
わたしに必要なのは。
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