物置のピアノ

2014
似内千晶 監督
斎藤三保 脚本
原みさほ 原作
丸山朋文 音楽
芳根京子、、、宮本春香 (女子高生、ピアノが得意)
小篠恵奈、、、宮本秋葉 (春香の姉、東京の女子大生)
渡辺貴裕、、、会川康祐 (疎開してきた高校生、トランペット担当)
西野実見、、、斎藤加奈子 (春香の親友)
平田満、、、宮本賢一 (春香の父親)
赤間麻里子、、、宮本恵子 (春香の母親)
織本順吉、、、宮本正賢 (春香の祖父)
神田香織、、、木島冴子
佐野史郎、、、会川康二 (康祐の父)
長谷川初範、、、小林健司 (ブラバン顧問)
東日本大震災から1年が過ぎた2012年7月夏休みの期間。
福島県桑折町の桃農家が舞台。
物置に置かれたピアノを巡る対照的な性格の姉妹の葛藤を中心に描く。

春香はピアノが好きでピアニストになりたい夢は抱いていたが、率直に言い出せずに進路希望も出せずにいた。
一方、姉は快活な社交的な性格で、自分の要求は何でも臆することなく言うことが出来、上京先から帰ると直ぐに留学希望を切り出す。
しかし実家である桃農家が風評被害などで全く出荷出来ず売れなくなり、祖父は塞ぎ込み認知症も発症する。
2人の姉妹には弟がいたが幼い時の川遊びで事故死していた(大震災ではなく)。
この件もずっと尾を引いていた。

この地に父息子でやって来た会川の存在が春香の心を揺さぶってゆく。
姉もいつまでも内向して籠り続ける妹に業を煮やす。
失った者~幼い弟や祖父の桃作りなど失われつつあるものに囚われ続け前を観れないでいた春香。
物置で祖父がタバコの不始末から出火してしまい、ピアノは音が出なくなってしまう。
漸く親しくなった会川は、父の就職口が東京で見つかり夏休みのチャリティーコンサート後には上京してしまう。
お別れである。
祖父も入院したり、、、
姉とは険悪になってゆく。元々要領の良い外交的な姉と散々比べられそれがトラウマになっていた上に、、、。

要するに過去の思い出から吹っ切れることである。
それが何のきっかけでもよい。
ふとしたことでそれが解かれることもある。
それを受け容れれば、手放すことが出来るだろう。
ここでは、忽然と現れた蛍がそれを導く。
もしかしたら弟の導きかも知れない。
蛍についてゆき、音の鳴らなかったピアノを弾き始める春香。
そこに姉、秋葉も現れ仲良くパッフェルベルのカノンを連弾する。
これで相転換となった。

春香は、姉のアドバイスも受け、両親に東京の音大進学を頼みこむ。
それによって姉の留学は今年は見送られることになったが、姉は妹のため了承する。
会川が父と東京に発つ時、ホームで大事なキーホルダーを渡す。「じゃあ」とだけ言って別れる。もう恐らく会うことは無いだろう。
役所勤めの父、賢一は定年後本腰を入れて桃農家を切り盛りしてゆくことを決意する。
姉の大学の農学部の学生たちが、研修を兼ねてボランティアで働きに来てくれるなどし、祖父は見る見る元気を取り戻す。
こうして全てが前に動き出してゆく。
春香が音大の実技試験を受けるところでエンドロール。

芳根京子女史がしっかりピアノを弾いていた。素晴らしい。
今TVの連続ドラマで、いくちゃんと共演中だが、ふたりは同学年だという。その上ピアノが上手とくれば噺も合うのでは、
同じく同学年のお友達、エライザ女史の方が(デモーニッシュ~ディオニュソス的で)面白いとは思うが、このひととも仲良しになれるはず。
バナナマンの番組で二人で食べ歩いていたし。
(とてもよく食べていた)。
AmazonPrimeにて
