チィファの手紙

你好、之華 Last Letter
2018
中国
岩井俊二 監督・原作・脚本・音楽・編集
ジョウ・シュン、、、ユアン・チィファ(妹)
チン・ハオ、、、イン・チャン(小説家)
ドゥー・ジアン、、、ジョウ・ウェンタオ
チャン・ツィフォン、、、少女時代のチィファ/サーラン(妹ユアンの娘)
ダン・アンシー、、、少女時代のチィナン(姉)/ムームー(姉チィナンの娘)
タン・ジュオ、、、ジーホン
フー・ゴー、、、ジャン・チャオ
ビィン・テンヤン、、、少年時代のイン・チャン
フー・チャンリン、、、チェンチェン
ウー・ヤンシュ、、、ウェンタオの母
「ラブレター」の時のようなリリカルな空気に充ちていた。
この結晶質の雰囲気は清々しく心地よい。

わたしが何よりハッとしたのは、イン・チャンが卒業した中学校を訪れ写真を撮っていた時、突然、かつてのチィファとチィナン姉妹に生き写しの、白い犬を連れたサーランとムームーが視界を横切るのを目にするところだ。
時間系の交わりを見たかのような驚き。
まさに奇跡の邂逅に見えたが、それはユアン・チィファが姉の同窓会で彼女の死を伝え損ね、彼女を誰もが姉と勘違いし、姉を愛していたイン・チャンと奇妙な文通を始めた時から、繋がったことだったかも知れない。

確実に直ぐに本人のみに届くe-mailと手紙の違いは思いの外大きいのかも。
手紙は受け取る本人以外の関係者(家族など)が見てしまい、代わりに返事を書いてしまうこともできる。
ゆっくり情報が運ばれ、届いた家で保管管理されている間にあらぬ措置をされ不測の事態に追いやられる可能性もある。
多くの場合はそれはトラブルに繋がるものだろうが、このように亡くなった母とその恋人との間の切実な愛情物語が娘たちにも繋がり母をより深く理解し見送ることが出来るのだ。
勿論、イン・チャンにとっても世代を超えて大切な人に読んでもらえた意味は大きい。
子供のころの淡い三角関係も実りのあるものに広がった。
この遅延が思わぬ多様な創造的関係を生むこともあり得る。

娘たちがこんな形で繋がり循環してゆくのがとても詩的に描かれていた。
岩井俊二監督のいつもの独特のトーンである。
落ち着いた静謐な空間にとても素晴らしい役者が絵作りをした作品であった。
皆、言うことなしなのだが、少女時代のチィナンと娘のムームーを演じたダン・アンシーには感動した。
彼女の流す涙は自然にこちらにも伝播した。

誰かに似ていると思ったら、乃木坂の5期生の井上和に似ていた(わたしの思い過ごしかも。
凄い若手が次々に出てくるものだ。
漸く一息つけた。
良い映画であった。

AmazonPrimeにて

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