不良少女 魔子

1971
蔵原惟二 監督
長谷部安春 黒木三郎 脚本
鏑木創 音楽
夏純子、、、魔子(不良少女)
戸部夕子、、、ユリ(不良少女)
美波節子、、、春美(不良少女)
原田千枝子、、、オカズ(不良少女)
太田美鈴、、、早苗(不良少女)
宮野リエ、、、リエ(不良少女)
小野寺昭、、、徹(不良)
岡崎二朗、、、洋次(不良)
清宮達夫、、、秀夫(不良)
相川圭子、、、ナナ(安岡組コールガール)
宍戸錠、、、安岡(安岡組組長)
深江章喜、、、内海(安岡組幹部)
藤竜也、、、田辺(魔子の兄、安岡組幹部)
今日もあっさり観られそうなものを選んだ。考える必要のなさそうなもの。短くまとまっていそうなもの。
短めでテンポが良ければ言うことなし。
昨日、一昨日のように30分単位で必ずその中に山場のあるものなど、全体として長くとも観易いものだ。
やることが多すぎるときはこういうのに限る。

兄が暴力団幹部の魔子という少女を中心とした不良女子グループの無軌道な青春を描く。
絡みで出て来る不良連中も同様に、衝動的で享楽的で、彼女らと馬が合う。
基本、このドラマには、不良少女と不良とヤクザしか出てこない。
不良たちは、ゴーゴーバーやボウリング場が溜まり場で、そこで遊んだ挙句、街角でターゲットロックした相手を締めて金品などを巻き上げる。
他にこれといってやることもないらしい。少女と言うのだが何歳なのか不明。
ノリノリで踊る曲がまた微妙。そのサウンドでどう踊るんだと思うと何やら踊っている。踊れるんだ。
グルーブ感全く無し。

そんなことより、それぞれ主要メンバーの死に様は良かった。
魔子の恋人の不良秀夫は徹の車の煽りもあるが交通事故死する。
魔子を心配する兄が彼女からドスを取り上げようとする小競り合いの中で兄も不慮の死を遂げる。
魔子は、自分たちグループにとっての裏切り者である徹をプールサイドで刺し殺す。
華々しいドンパチで死ぬのではなく、捻りの効いた死に様だ。これもまたテンプレートのひとつに過ぎないのかも知れぬがそこそこスタイリッシュに決まっていた。
それにしても、巷の不良が、暴力団相手に喧嘩を売るものだろうか。
ヤクザの妹にカツアゲされて、それで怒ってやり返そうとしたが、そのまま逃がした(一目惚れか)だけのことである。
その後、仲良くなって魔子と秀夫は恋人同士となり、グループでボート遊びに興じている。
ここだけ見れば普通の若者である。
それでよいだろうに、この不良どもは、安岡組に敵意を持ち~宍戸錠が組長だぞ~財源のひとつコールガールを逃がしてしまい、マリファナのブツも盗んで勝手に金に換えてしまう。
これで怒らぬ組のある訳はない。
この不良連中、素人のくせに明らかに頭のネジが飛んでいる。
ヤクザに命を狙われているのは分かりきっているのにワイワイ不良少女たちと遊んでいるのもどうしたものか。
危機感がないのか、単に後先なく刹那の享楽に身を任せるしか出来ないのか。

しかしヤクザもひっ捕らえた不良連中をさしていたぶるわけでもなく、懐柔して手下に引き込もうとする。
そうなのだ。余り手荒なことはしないヤクザなのだ。
これは銃撃戦などで死体がごろごろという抗争映画ではない。
魔子の兄、藤竜也の語り口がソフトでやたらとカッコ良いのだが。
殺して死体を転がすと言うより、手懐けて上手く利用するタイプなのだ。
(そちらの方が利口に決まってる)。
徹は完全にヤクザに寝返り、薬の売人として出世しようと企むが、他の連中はヤクザにたてをつこうとする。
魔子も兄がいるからと言って、安岡組との関係は断ちたいと考え始める。
魔子に賛同する不良女子も出て来る。
そんななかで上記のメンバーの死が不意に訪れる。
どれも想定された闘いの中で起きるものではない。
ここが狙ったお洒落なところか。

不良少女と言っても少女にはそぐわぬ感じの女優たちであった(苦。
(単に年齢が上と言うだけでなく、フレッシュさが無くケバい。昔の映画によくある)。
小野寺昭がラフな格好でサングラスで出て来た時は、誰だか分らぬ感じであったが、スーツでびしっと決めたヤクザになって如何にも彼らしくなった(笑。
宍戸錠の出番が少ないというだけでなく、何とも情けないヤクザの親分ではないか、、、早撃ちジョーが泣く。
藤竜也がやたらとカッコよかった。ソフトな語り口で、妹にドスで刺されて死んでしまうなんてダンディー。
ヒロインの相手役秀夫の実に能天気な笑顔が、痛かった。
このカップルが上手くいくとは到底思えない軽さ~頼りなさである。
まあ、音楽にその時代を感じた、、、。
AmazonPrimeにて

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