自動運転ー2

Googleが何やら自動で走る車をテストしていたときは、その社員たちの楽しそうな様子やわりとあっさりした試作車を見て、まだうんと先の技術を今からワクワクして試しているという感触と、何もないところに道を作るぞ、という開拓者精神を活き活きと感じたものだった。しかし政府に後押しされて公道実験を意気揚々とやっていたところをみると本気だぞ、と思った。
それが、ここ最近2020年までには「自動運転を実用化」するということで、事態は一気に深刻味を増し、世界の各自動車、Intel等の半導体、GoogleをはじめとするIT、そのほか、各機能をより正確・スムーズに連携する技術を提示しているベンチャー各企業がギスギスした感じで一斉にこれに参画している。
日本のベンチャー企業「ZMP」は、車に搭載されたセンサーやカメラの情報を解析し、ハンドルやアクセルなどを最適に制御する技術を独自に開発して注目を集め、すでにIntel下に入っている。
少し前に、Googleが学生の部活のような感じで行っていた(九州工業大、北九州市立大、早稲田大の3大学が丁度そのころのGoogleを思わせるような感じで開発を進めているが)、自動運転がここまで現実味を帯びてくると、流石に雰囲気も重いし暗い。関係者は皆目つきも悪い。無事故の夢を現実に、とか言うものではなく、うちが主導権を握らねば一大事とばかりに激しい火花を散らしている。
どういう形で主導権をとるかの駆け引きがいよいよ激化しているが、Googleの先駆性は否めない。ヒトの生涯運転距離50万キロ走って無事故の実績は大きい。自動車事故0となれば、それにかかってきた医療費も0。その経済効果は凄まじい。「人は自動車運転に向かない」と以前からGoogleは言ってきた。確かにそとおりだ。しかし、各自動車会社はGoogleとの連携・共同開発に対し大変慎重である。主導権を握られることを大変恐れていることが分かる。単なる駆動部分だけつくり頭脳はGoogle(AI)では、もう乗っ取られたも同じ。これまでも車載情報システムではGoogleはスマフォと車の連携を達成してきた。が、それはエンターテイメント部分である。Appleも参入を表明していたものだが、ジョブズ亡き後、生彩が全く無い。車すべてのコントロールを任せるAI搭載はホンダ、日産はきっぱりNoと言っている。どこまで自社開発を推し進められるかがポイントともなる。Toyotaとホンダはロボット技術の蓄積がある。いよいよアシモの活きる時だ。しかしGoogleとノータッチですべて実現できるものとは思えない。熾烈な駆け引きは、実現に向かうに従い激しさを増すはず。
今回の技術開発は、もうかなりのレヴェルまで、Googleが進めてきたとは言え、やはり自動車の駆動ベース、半導体、情報提供のIT、それらの連携をいかに効率的・正確に行うかの制御系技術をもつベンチャー等の優れた技術力を結集する必要がある。完全な自動運転の場合は勿論。だが、交通渋滞、縦列駐車などでは、特殊なITなど用いずベンツはそれをすでに自動化している。まずどの程度の自動化にするかその段階も当面複合的に並列的に実施されていくことになるはずだ。しかし流れは最終的に完全自動化となる。事故時の対応などにおいては、“誰がどのように運転していたか”を記録するイベントデータレコーダが不可欠になるし、その統一規格はどこがつくるかも問題になるだろう。一般の交通法規の適用はあくまでも運転者が主導を取るときだけだ。
今これだけ様々な企業が参集しているが、上に乗る頭脳も幾つかの派閥になるのか?iOSとAndroidみたいに。そうなっていくとこれからの車の価値はそれで決まる。乗るソフトで選ばれる。産業界に根本的な変革が起きる。車のハードは二次的な価値しかもたない。

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