SF 巨大生物の島

Mysterious Island
1961
イギリス、アメリカ
サイ・エンドフィールド監督
ジョン・プレブル、ダニエル・ウルマン、クレイン・ウィルバー脚本
ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』原作
レイ・ハリーハウゼン特撮
マイケル・クレイグ、、、サイラス・ハーディング大尉
ジョーン・グリーンウッド、、、メアリー・フェアチャイルド
マイケル・カラン、、、ハーバート・ブラウン
ゲイリー・メリル、、、ギデオン・スピリット
ハーバート・ロム、、、ネモ船長
ベス・ルーガン、、、エレナ・フェアチャイルド
パーシー・ハーバート、、、ペンクロフト軍曹
ダン・ジャクソン、、、ネブ・ニュージェント伍長

カニ、雛鳥、ミツバチ、オウムガイのでかいのが出てきたが邦題の「巨大生物の島」というほどそこに力点が置かれているわけではない。
ストップモーションアニメーターのレイ・ハリーハウゼンが特撮を担当しており、そこはおおいに見せどころではあるが。
確かに見事で魅惑的な造形と動きであった。人との関係も絶妙。
最近のCGとは味わいの異なる、何度も見直したくなる独特なものだ。
この時代、CGもなくこれだけのVFXを見せられる人は、他にはいなかっただろう。

南北戦争で捕虜になった北軍兵士が気球を強奪して逃げるところから始まる。
4日間暴風雨の捕虜となり、空にもてあそばれた挙句、何処ともわからぬ孤島に命からがら降り立つ。
ここから、巨大生物との格闘などワクワクする見どころも多いが、もう少し色々出てきてスリリングに行くのかと期待していたがそれほどでもなかった。勿論、特撮技術は素晴らしかったが。

巨大生物との闘い以外にも冒険~発見があり、何とイギリス貴族の夫人とその付き人が海岸に打ち寄せられたり(つまり美女が突然二人メンバーに加わり味気ない一団に潤いが生まれたり?)、先住民の住居跡を見つけそこに根城を移したり、凶悪な海賊が襲ってきたりと色々な出来事で楽しませてくれる。
特に巨大な動物を倒した後、それを料理して旨そうに食べたり、その皮で服を縫って作ったりとそれが生活を豊かにしてゆくことに繋がってゆく。だんだんこの島を出なくてもよい気にもなってくる。
勿論、脱出のための造船作業は何とか続けているが、捗々しくはない。
しかし道具がなくて困っていたり絶体絶命の危機も何とか切り抜けるが、そこに第三者の関与が漂う。

いよいよ要所要所で見えないところから明らかに誰かが彼らの危機を救ってくれている気配が次第に濃くなってくる。
その誰かが、ノーチラス号で有名なネモ船長であった。
それまでの伏線からの登場はなかなか鮮やかである。またその前に恋仲になったハーバートとエレナが巨大ミツバチに追われて逃げこんだ先で、ノーチラス号を発見しており、その時点でこちらとしては、その誰かは登場人物たちより先に分かることになる。
彼はもう動かなくなったノーチラス号に残り、この島で世界から戦争をなくすための試みの一つとして食糧難の解決のため食材となる動物の巨大化に成功していた。

だが事態は急を要するものであった。
島が火山活動によって海に消えてしまう時が迫っていたのだ。
海賊が乗ってきた沈没させた船を海底から浮上させそれに乗って脱出を図る終盤も二転三転する展開にハラハラさせられる。
見応えが充分であるが、最近のこの手の映画のように人が死ぬことがないところが素晴らしい。
これで最後はハッピーエンドかと思ったが、この流れを作ったネモ船長が脱出に間に合わず噴火とともにノーチラス号もろとも犠牲となる。
助かった兵士たちは、彼の理想を受け継ぐことを誓う。

という流れでとても盛りだくさんで見所も多く、スリリングでしかも穏やかに鑑賞できる名作であった。
わたしにとって、また観てみたいという気にさせる数少ない映画である。
AmazonPrimeにて
