小さな情景展 一口大コメ その3
2018
「コンサバトリー」

「湘南幻想青大将」(2007)や「湘南幻想ワニ園午後」(2010)の流れをくむ絵である。ピアノがやけに小振りで中央テーブルが大きくてゴツイ、ちょっとポール・デルヴォー空間でもあるが、長閑な時間の流れが窺える。
日差しと柔らかい菫色の影が気持ちを鎮静させる。こういう絵は描いていても心地よくなるもの。
ここでもポイントは、黄色だ。黄昏の色でもあるが、トワイライト・ゾーンの色でもある。こんな空間、欲しいものだ。
2018
「緑園都市」

ゴッホの「夜のカフェテラス」を咄嗟に思い浮かべてしまった。黄色の独特の筆致からであろうか(ゴッホのような盛り上げはない)。
雨降りの夜景の雰囲気~濡れた煌めきがこの黄色のタッチでよく表されていた。佐橋氏も黄色の画家である。緑の森をよく描くがそのバリエーションとグラデーションは青に対する黄色の絶妙な混色次第で決まる。
お約束の電車も緑と黄緑の4両編成で黄色いライトを放ちながら走って来る。これまでで一番速い!
2019
「SunSetTown」

「緑園都市」と同じ質感である。黄色~トワイライト・ゾーンの刹那。SunSetTownというが、尋常ではない。
滝みたいに道路が上から下へ落ちているこの構図には驚き、よくよく見なおしてしまう(笑。
高架橋を水平に列車(蒸気機関車)が走ってゆく。その対比からも、この道路の角度は凄い。遊園地のアトラクションみたい。
この地形では画面上方を登ってゆくゴンドラをわたしは選ぶ。あの道を登る車は気の毒だ。
2020
「TeaTimeInEnglishGardern]

繊細で緻密な黄色から緑~深緑へのグラデーションが、安定した構図の広がりのなかで、何とも心地よく息づく。
敢えてどっしりとした高架線を中央に置き、その下方にほぼ左右対称に扇型に広がる池を配する。
最初、南禅寺水路閣みたいな水道橋かと思ったが、彼はここにも可愛らしい蒸気機関車を玩具の様に走らせてしまった。
違和感はない。その方が安心できる。絵のサインに等しい。遠くの緑の山から一番手前のテーブルまで、見事な調和と統一感でまとめられている。ここで是非、お茶をしたい。
2020
「農林総合研究センター」

もう緑は名人芸、いや名匠という感じで、これだけで魅せてしまうが、上からはキングサリみたいな藤に似た植物が垂れている。
まさに緑三昧。
そこに白がポイントとなる。しかしこの白は目立ちはするが強い主張や方向性は感じさせない。
誰かの迎えを待っているようにも思える白。緑のなかの秘められたドラマ、、、。汽車に出番はなかった。
2021
「TeaTime]

緑の”TeaTime”だ。恐らく毎日これに近い日々を送っているのだろう。外に張り出したガーデンテーブルみたいな開放的な場所は大変オシャレで、羨ましい限りである。コンサバトリーとは繋がりはなく別のコーナーであろうが、こっちでお茶したり、向こうで花に水やりしたりも良いものだ。ここから見やる緑の多様性も充分堪能できる。特に遠方の緑。とても詳細で濃い。
これは絵画である。一つの画面に沢山の固有時~場が活き活きと共存して響き合っていたらより楽しいではないか。
2021
「八幡山の洋館」

この会場は、この外観で決めたそうだ。ピンクの外壁なのか。庭の青、赤、黄との調和も見られ、、、かなり可愛らしい場所だ。
O君の曲もピアノ生演奏で聴くことが出来る大変贅沢な時間が過ごせる日時が設けられている。
では、まだまだごゆっくり、、、。
佐橋氏が初期作品(佐橋前史)を加えることを検討しているとのこと。
決まり次第、ここでご紹介したい。
- 関連記事
-
- 絵を描く
- 小さな情景展 大盛況のうちに終わる
- 小さな情景展 一口大コメ その3
- 小さな情景展 一口大コメ その2
- 小さな情景展 一口大コメ