ある公爵夫人の生涯

2008年
イギリス
ソウル・ディブ監督・脚本
アマンダ・フォアマン「デヴォンシャー公爵夫人ジョージアナ・キャヴェンディッシュ」小説原作
キーラ・ナイトレイ、、、デヴォンシャー公爵夫人(ジョージアナ)
レイフ・ファインズ、、、デヴォンシャー公爵
シャーロット・ランプリング、、、レディ・スペンサー
ドミニク・クーパー、、、チャールズ・グレイ
ヘイリー・アトウェル、、、レディ・エリザベス・フォスター
テーマ音楽が絢爛で空虚な空間を流れとても綺麗でした。
ちょっとプロコルハルムの”グランドホテル”も彷彿させるところでもあり。
このストーリーに人権などの概念を導入するのは、お門違いというものだ。
苦しんでるという観点からは、公爵も婦人も同じだ。
何において?
パラダイムにおいて。
公爵の孤独のうちにじっと耐え続ける苦悩も計り知れないものがある。
世継ぎを(男子)を是が非でももうけなければならない運命。
その地位に縛られた生活。
勿論婦人の苦悩も十分共感できるものだ。
かのダイアナ妃を重ねてしまうところでもある。
しかし、彼らが不幸かと言えば、いつどこでどのような地位で暮らそうが、人に困難はつきものである。
いまと比べ女性の権利がああまりに低いなどというレヴェルの話ではない。
人が最終的に何を選ぶか?
すでに生まれている自分の子供だ。
これは倫理の問題ではなく。
これまで時を共にしてきた自分のこどもといることを選ぶ。
という、単なる普遍的な事実だ。
それを基盤に生活を組織する。
そういうものである。
婦人は夫の不実にも耐え賢い選択をして生きたと思う。
自由に憧れつつも、二人とも耐えて生きた。
一生を振り返れば結構充実した生を送ることができたはず。
さて今のわれわれとどれほど、ちがうだろう?
表面上権利をもっていて、自由に生きているように思えていても運命からはまったく自由ではない。
不可避的に現在を選択してこなかったか?
結局今も昔も同じである。
ただ、彼女ジョージアナがある公爵夫人であったというだけ。
ドラマチックでよい人生だったと思われます。
公爵役のレイフ・ファインズの押さえた燻し銀の演技が光った。
キーラ・ナイトレイは明朗快活で感情の起伏を耐えながらもはっきり示すジョージアナを見事に演じていた。
シャーロット・ランプリングは相変わらずかっこいい、としか言えない。
ロケーションや衣装には充分配慮が感じられた丁寧に作られた映画だと思う。
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