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GOMA28

Author:GOMA28
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静かなる叫び

Polytechnique001.jpg

Polytechnique
2009年
カナダ

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督・脚本
ジャック・ダヴィッツ脚本
ブノワ・シャレスト音楽

カリーヌ・ヴァナッス、、、ヴァレリー(学生)
セバスティアン・ユベルドー、、、ジャン=フランソワ(学生)
マキシム・ゴーデット、、、殺人者(学生)
エヴリーヌ・ブロシュ、、、ステファニー(学生、ヴァレリーの親友)
ピエール=イヴ・カルディナル、、、エリック(ヴァレリーの恋人)
ジョアンヌ=マリー・トランブレー、、、ジャン=フランソワの母


ブレードランナー2049」、「メッセージ」、「プリズナーズ」、「ボーダーライン」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の初期作品。
超大作「DUNE/デューン 砂の惑星」の公開が待たれる。

Polytechnique002.jpg

モノクロの無機的な光景が広がる。
轟音が唸っていても、ヒヤッとする静謐さの内にいる。
実際、セリフは少なめ。狂言廻しがいない。特定の人物~主人公の視座に絞らない。この主体が場所そのもの、場所の特異性を描き出すような形式になっている。
外は一面の雪白の世界。
BGMと相まって格調高い映像が実現している。
血は溢れ出ているも概念的なものへ昇華され即物性がない。
1989年、モントリオールの理工科大学が舞台。実話ベースであるという、、、。

Polytechnique004.jpg

フェミニストに対する憎悪の念を抱く青年が刻々と銃乱射テロの準備を(遺書を書きつつ)進める過程が他の学生の生活と並行して描かれてゆく。時間軸の交錯もあり鋭い構成。
このクロスカッティングはとても巧妙に不安と緊張を高めるものだ。
彼は受験の失敗を女子学生のせいにしており、フェミニストの粛清という強迫観念に完全に取り込まれ発狂状態にある。
彼の極度の緊張が物語の基調となって流れ出す。
大学の喧騒の中、学生ジャン=フランソワが不意に壁に掲げられた「ゲルニカ」の絵に惹き付けられる。
無意識に予兆を捉えたかのように、、、
エントロピーに関する講義が延々と続く中、ついに意を決してライフルをもった彼が乗り込み女子学生を狙い撃ちしてゆく。
壮絶な光景だが、乱射事件は全体には伝わらず(直ぐに波及せず)構内に局所的なパニックを繰り返して進行する。
ジャン=フランソワが要請した警察の救援はなかなか来ない。
鳴り響く銃声。その度に女子学生がどこかで絶命する。
大学構内が一様に静まり返ってゆく、、、エントロピー増大の一途を辿る。

Polytechnique005.jpg

ジャン=フランソワは、犯人がまだ立てこもり犯行を重ねているにも関わらず、自ら構内にとどまり、怪我人の応急処置をして回った。犯人と鉢合わせしてしまい危うく射殺されそうにもなる(余程のことが無ければ男子学生は狙撃されないが)。
彼が独りで懸命に怪我人の看護を細々としていると、やっと救急隊が入り担架でヴァレリーをはじめ、まだ息のある学生が運びだしてゆく。
まさにゲルニカの現場である。
結局、女子学生ばかり14人が射殺され、犯人もその銃で自殺する。
外は何も変わらぬ一面の雪。

Polytechnique003.jpg

そもそも表向きは(遺書から)フェミニストを狙った犯行のようだが、結果的には女子学生を無差別に殺害しただけである。
事前に、こいつとこいつは憎むべきフェミニストというマークをしていたのではなかったようだが、、、。
だとすれば、フェミニスト云々は方便であり、女子にもてない腹いせレベルのことだってあり得る。
結局、どうであったのだろうか、、、。
(銃乱射事件は向こうではしょっちゅうある為、何とも言えぬが大方詰まらぬエゴから出ているものばかり)。
殺された方はたまったものではない。


その後、怪我が治り希望通りの航空関係の仕事に就いているヴァレリーと、かつて彼女にノートを借りたジャン=フランソワは、その事件後もPTSDに悩んでいた。それは当然だろう。あれだけの惨劇の最中にいて、恐怖に逃げ惑う経験をしたのだ。
それでも妊娠を嫌がる職場で、出産を迎えようとする逞しいヴァレリーに対し、ジャン=フランソワは、車に排気ガスを引き込んで自殺を図ってしまう。

Polytechnique006.jpg

そう、その現場を生き延びても、あの厳然たる記憶の後遺症~不可逆性に多くの者が悩み続けるのだ。
生の危うさと過酷さ、、、しかしこの大自然のもとでは、何もなかったかのよう。雪白の世界が広がるのみ。




AmazonPrimeにて




おまけ。




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