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GOMA28

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越前竹人形

echizen001.jpg

1963年

吉村公三郎 監督
笠原良三 脚本
水上勉 『越前竹人形』原作
宮川一夫 撮影


若尾文子、、、玉枝(遊郭の元女郎)
山下洵一郎、、、喜助(竹細工職人)
中村玉緒、、、お光
中村鴈治郎、、、船頭
殿山泰司、、、善海和尚
伊達三郎、、、長七
浜村純、、、医者
西村晃、、、忠平


竹だけで作られる「越前竹人形」。職人の技に何とも言えない過酷さを感じ圧倒される。

実にデリケートな絵であった。
これほど美しいモノクロ映像もそうはないのでは。
場面場面でかなりコントラストや明度の調整がなされていることは、素人でも分かる。
構図の工夫にも感心する。特にディテールで雰囲気を魅せる。
雪と雷~光がとても象徴的な意味~陰影を産む。
絵作りに細心の注意を払って作られた映画に思えるものだ。

echizen004.jpg

ストーリーもしっかりした原作があってか、説得力も充分。
喜助の父が遊女である玉枝の為に作った見事な竹人形に彼が魅入られるところから噺が始まる。
玉枝は遊女であっても人擦れしていない癖のない健気で美しい女性だ。
喜助の喋る方言の響きがとても耳に優しく心地よい。彼のひととなりを窺わせるような。
普通なら彼が見受けすれば、良い夫婦となり幸せに暮らして行けると思われるのだが、、、。

喜助の留守にお光を孕ませる忠平は実に憎たらしいが、この西村晃という役者はこういう役が上手い。
(後の黄門様ではあるが)。
気を失い倒れた玉枝を救った船頭役の中村鴈治郎には強烈な印象を受けた。
善い人を超えた超越者の風情である。
存在自体で魅せる役者の典型にも想える。
中村玉緒は実に人の良い可愛らしい役であり、この暗く湿った物語に明かりを掲げていた。
登場人物たちは思いの外、悪人は少なく、善意の人が多い。
雪国の田舎町の生活も暗いばかりではないのだが。

echizen003.jpg

しかし玉枝が折角子供の件から解放され、喜助と仲良く暮らして行けると思った矢先に産後の肥立ちが悪く死んでしまう。
人はこれからというときに、あっけなく路を閉ざされることがある。
あのような河原に行きついての流産である。当然、過労と衛生状態も悪く細菌感染による発熱がみられていた。
玉枝が無理を押してそのまま喜助の待つ家に帰って来た気持ちには充分に共感できる。
解放されこれから喜助と思うがままに生きたいという気持ちの表れと謂えるか。

喜助はこれまで、玉枝の客が父であり、玉枝は幾ら惹かれてもじぶんにとって母でしかない。
父を超える竹人形(玉枝をモデルとした像)を作ることで彼女との関係を母以上~以外のものにしたかった。
懸命に憑りつかれたように喜助は竹人形を作り続けた。
その作品は高く評価され、大きな賞も取り、弟子を何人も抱えるようにもなったとは言え、、、。
それでも玉枝との位置関係を崩せずにいた。妻であって妻ではない。
玉枝の風呂場での行水の闇に浮かび上がる白い妖艶な姿を見て葛藤するが、気持ちが乱れるだけでどうにもならない。
だが、玉枝の親友のお光の噺から、父は自分の娘と同様の関係で彼女を労わり支えていただけであり、何の関係も持たなかったことを知らされる。これは単なる方便か。
しかしそこで初めて喜助は玉枝と何の蟠りもない、対等の男女の関係を持つことが可能となった。

echizen002.jpg

つまり父の人形から二人とも解放されたのだ。
皮肉にもその途上の苦難のときに一度だけ番頭の忠平に襲われていなければ、、、
それが運命を狂わせてしまう。
特にこの頃は、中絶など出来ない世であった。
起きてしまったことの意味付けを変えることは、このように命がけとなる場合もある。
だがそういったことはわれわれの現実にも幾つも見られることである。


何よりモノトーンの美しい、感慨深い作品であった。



AmazonPrimeにてKADOKAWA映画。





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