サマー・オブ・84

Summer of 84
2019年
カナダ、アメリカ
フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセル 監督
マット・レスリー、スティーヴン・J・スミス 脚本
グラハム・ヴァーチャー、、、デイヴィー(警官の息子)
ジュダ・ルイス、、、イーツ(デイヴィーの親友)
ケイレブ・エメリー、、、ウッディ(デイヴィーの親友)
コリー・グルーター=アンドリュー、、、ファラデイ(デイヴィーの親友)
ティエラ・スコビー、、、ニッキー(デイヴィーの彼女)
リッチ・ソマー、、、マッキー(デイヴィーの父の同僚警官)
ジェイソン・グレイ=スタンフォード、、、ランドール
オレゴン州のイプスウィッチという小さな町に住む少年たちが連続殺人犯を自分たちで暴き追い詰める噺。
1984年の夏のことだ。ホントにこういう事件が片田舎で起きたのだろう。
(田舎の方が噂も回りやすくパニックも起こりやすい)。
題材になる事件は色々とあっただろうし。
小さな共同体ならではの住み難さも漂う。「わたしこの町を出たいの」(ニッキー)。「ぼくもだ」(デイヴィー)。
町の人は誰でも顔見知りで、誰の家庭が今、離婚危機だとかの情報も直ぐに回ってしまう。
また少年たちの噺を聞いても各家庭の大変さが滲んできており、家庭問題でとても苦しんでいる子供もいる。
デイヴィーの彼女(幼馴染)のニッキーも両親の離婚でこの町を離れることになっている。

そんな重苦しい雰囲気のなか、寧ろだからこそ、少年たちの団結は固く、集まって頻繁に語り合う。
少年ならではの思春期の噺も勿論登るが、しかしここではもっと深刻な話題に事欠かない。
何故なら、連続殺人犯が次々に少年たちを攫って殺してゆく事件が自分の住む町に発生していたからだ。
地元ケーブルTVでもその都度事件のニュースが流され住民は不安に慄いている。
家庭の難しくこんがらがった問題もあるのだが、恐ろしい事件の解決に街全体で取り組む必要も出てきた。
しかし家庭の矛盾~問題を外に逸らす程の吸引力まではない。
そんなことは、警察に任せておけ。主人公にすれば、お父さんを信頼して余計なことはするものじゃないと謂われるところだ。
だが、警官を父にもつデイヴィーは、これはぼくらで何とか解決しなければ、という気持ちになる。
自分の知っている少年も犠牲になっている。正義感もあろうが、このような緊急事態に友達との結束を強め居場所を更に固め、何らかの働きをして両親や町の知り合いに対する承認欲求を満たし自尊心を高めたいという気持ちも分かる。
少年期の仲間との冒険とは、そうしたものだろう。
勿論、子供同士でそんな危険なこと~遊びをされては親としては困る。
当然のこととして認めない。
だが、結束の固い少年グループ4人で、勝手に監視に、ゴミあさり、庭の土の掘り返し、家宅侵入までしてこいつがやはり臭いというところまで突き止める。そしてそれを得意になって両親の前で報告する。
その容疑者が同業の近所の警官なのだ。お父さんも呆れて端から相手にせず、息子たちを強引に連れて行き、先方に謝罪させ、外出禁止処分とする。
確かに証拠としては弱いモノであり、怪しい程度を超えるものではなかった。

この手の噺には必ずマドンナがおり、その少年たちと共に捜査や監視、潜入などかなり深入りしてくる美少女が必ずいる。
噺に花を添えねば、というところか(笑。とても健康的なチアリーダーのキャプテン風の美女である。
なるべくリアリティを崩さぬ範囲でやってもらいたいが、ここで彼らが家庭の事情もあって親密に打ち解けていくのは分かるが、4人グループだとイーツ少年が、所謂典型的なイケメンであり、他の少年たちは主人公も含め、とても良いやつなのだが、ほぼオタクと謂える。最初は意外性を覚えたが、人の好みはそれぞれ感が出ていて良いところで、観てゆくうちに馴染んだ。
そしてこともあろうに、犯人と睨んだ警官が連続殺人犯を逮捕するという手柄をたてる。
この放送を聞き、一時は仲間たちは気持ちが萎え、両親はほら見たことかと態度に見せ、もう少年事件対策班は解散かというところに来るが、デイヴィーの信念は揺るがなかった。確かに状況証拠などは、しっかり積んできている。後は決定打だ。
自宅謹慎を抜け出しデイヴィーとその義理堅い親友ウッディと彼女のニッキーの3人がどうしても犯人としか思えない警官マッキーの自宅地下に忍び込む。そこで父のビデオを回す。はっきり殺害を示す物証が撮れればこれ以上の証拠はない。
あちこち探しまくり、奥の扉を開いた瞬間、水酸化ナトリウムで溶かし始めている少年の死体を見つける。
そして普通に飾られている家族写真かと思っていたものは全てこれまでの被害者写真であった。
緞帳が上がったかのように真相が更新された~明かされたのだ(この展開は衝撃的で面白かった)。
まだ殺される前の衰弱した少年も見つけ担ぎ出す。
警察署長の前でビデオ上映する。

両親にも褒められ署長にも英雄だと労う言葉をかけられ、ほっとして眠りにつく。
ウッディもデイヴィー宅に泊まる。周りは監視され捜索を開始した犯人からは守られているはずであった。
ところが、、、という大どんでん返しである。二人は森の中、犯人の死体処理場に連れ浚われ、、、。
結局、デイヴィーはこのサイコ犯から激しい呪いの言葉を植え付けられ、PTSDに悩みつつその後もこの地で怯えながら暮らすことに、、、。この犯人はそのまま何処に逃走したのか分からない、、、。
「お前のお陰で俺は帰る家が無くなった~!」と意味不明な呪文をかけて消えたのだ。
彼女は越して行き、最後まで協力してくれたウッディはそのサイコに無残に殺害され、、、。
悪夢のただなかに放り込まれたまま、、、
、、、少年は今日も隣人の恐怖を反芻しながら自転車に独りで乗っている、、、
終わりのない悪夢。
AmazonPrimeにて。
- 関連記事
-
- サイド・エフェクト
- グッド・ネイバー
- サマー・オブ・84
- 式日
- エリザベス 狂気のオカルティズム-Ⅱ