アリータ

Alita: Battle Angel
2019
アメリカ
ロバート・ロドリゲス監督
ジェームズ・キャメロン、レータ・カログリディス脚本
木城ゆきと『銃夢』原作
ローサ・サラザール、、、アリータ(サイボーグの少女戦士)
クリストフ・ヴァルツ、、、ダイソン・イド(医師、ハンター・ウォリアー)
ジェニファー・コネリー、、、チレン(イドの元妻、科学者)
マハーシャラ・アリ、、、ベクター(モーターボールのオーナー、ノヴァの手先)
エド・スクライン、、、ザパン(ハンター・ウォリアー)
キーアン・ジョンソン、、、ヒューゴ(イドの手伝い、サイボーグのパーツ強盗、アリータの彼氏)
ジョージ・レンデボーグ・Jr、、、タンジ(ヒューゴの親友)
アイダラ・ヴィクター、、、ガーハード(イドの助手の黒人女性)
ミシェル・ロドリゲス、、、ゲルダ(アリータのパンツァークンストの師)
エドワード・ノートン、、、ノヴァ(ザレム人科学者)
これも原作は知らない。

アバター同様の「CGI アニメーション」である。もうCGIは来るところまで来ている。
この個性的な「絵」で(サイバーパンクな)世界観が成立し、アバター以上に見事なドラマ展開となっていた。
「ブレードランナー」の血筋を引いている。「ATOM」の雰囲気も漂う。
「絵」の迫力と説得力に圧倒される。ストーリーもしっかりしていてテンポも良い。
(ただしザレムという空中都市に人々が憧れる理由が今一つ分かりかねた)。
一目で分かるキャラ関係も観易くしている。悪者はホントに狂暴で悪そうで、ラスボスは如何にもそれらしい(笑。
顔のデフォルメが丁度、「アナと雪の女王」を連想させるフィギュアとなっており、この顔がアメリカ人の好みなのかと納得する。
見慣れるととても愛らしく豊かな表情と謂えよう。
それにしても凄まじいアクションには唖然とするばかり。武術が身についているのだ。敵の体が真っ二つに成ったり、粉々に成ったり、首がすっとんだり、グチャグチャに潰れて巻き込まれたり、、、
ストリートファイトもモーターボールシーンも壮絶。だが爽快。
最初から彼女の闘争本能は発動していたが、その理由が闘いながら記憶に蘇ってくる。
戦士としての過去生が彼女にはあったのだ。
(その思い出の中でいつも登場するのが彼女の上官?ゲルダである。続編には恐らく登場してくるのでは)。

彼女はどうやら上空に浮かぶザレムという空中都市から落ちてきたようだ。
そこは上流階級の人間だけが住める場所で、下からは登れない場所であるという。
下界はそこから落とされる鉄屑を囲むように形成されたクズ鉄町であり、下層階級の人間やサイボーグが暮らしていた。
どことなくラピュタ臭も匂わせるところ。でもファンタジーと謂うにはかなりブラックだ。
彼女は医者であるダイソン・イドに拾われ体を与えられる。
彼の元で手伝いをしているヒューゴに出逢い、やがて強く惹かれ合う関係となる。
人とサイボーグの恋愛である。
「ヒューゴの不思議な発明」をそれとなく思い起こしてしまった。
ヒューゴ少年も機械人形の修理を父から受け継ぎ、メカパーツの調達をして暮らしていたものだ。
可愛い少女の相棒もいたし。

面白いのは、火星連邦共和国(URM)という別種の文明が存在し、300年前の没落戦争で地上は屑鉄の町となりスクラップの売買などで人は生きながらえているみたいだが、このURMの文明は、地上の科学にとってブラックボックスであり、その文明のツール、アイテムを利用していても、それを修理、改造などは出来ないらしい。
アリータも途中からURMの宇宙船から彼女が持ち返ったスーツに適合し、無敵の身体を獲得する。
と謂うことは、彼女は300年前にURMにいたのだろう。URM製のソードにも適合し、強敵を次々に破ってゆく。
使えるが中身は分からない、というのは日常茶飯ではあるが、ここで新鮮に思えた。

最後の喪失~別れのシーンでアリータは何かが吹っ切れた。
覚悟が決まった、という雄姿である。
続編を待て!とばかりのエンディングであった(笑。
極めてよく出来たエンターテイメント・スーパー・ファンタジーであった。
