東京喰種 トーキョーグール【S】

2019年
川崎拓也 平牧和彦 監督
石田スイ 原作
御笠ノ忠次 脚本
小田朋美 菊地成孔 音楽
窪田正孝、、、カネキ(大学生半喰種)
山本舞香、、、トーカ(女子高生喰種)
松田翔太、、、月山習(美食家喰種)
森七菜、、、小坂依子(トーカのクラスメイト、人間)
白石隼也、、、西尾錦(カネキの先輩喰種)
桜田 ひより、、、笛口雛実(文学好き喰種)
知英、、、イトリ(バー「Helter Skelter」経営者喰種)
村井國夫、、、芳村(「あんていく」喰種店長)
坂東巳之助、、、ウタ(イトリの幼なじみ喰種)
木竜麻生、、、西野貴未(西尾の恋人、人間)
「東京喰種 トーキョーグール」の続編なのか、、、
前作の方がスケールは明らかに大きい。本作は小さくまとまった感がある。
それからカネキが少し弱くなった感じ。
肝心のヒロインが宗教に行ってしまったため、山本舞香にチェンジしたが、こちらもカッコよかった。
その為か親友の小坂依子も古畑星夏から森七菜に交代になっていた。これは残念だがバランスの問題でもあろう。
兎も角、トーカは相変わらず強い。
知英さんが思わせぶりタップリに出ていたが、次回作で恐らく大活躍となるのだろう、、。
生態系のなかの頂点捕食者はというと、ワニとかシャチとかライオンなどか、、、。
人は生態系に内属すると言ってよいのかどうかと思う要素はあるが、食べられないという点からいえば、人も少なくとも高次捕食者には違いない(かつては共食いしていた部族はいたが)。
だがその人を食って生きている種がいるならば、彼らが頂点捕食者として君臨することになるか。
それがグールで、もう人類一般にもその存在は知られている。
だが、実際に個々の個体はひっそりと身を隠して暮らしているようだ。
上手く偽装して、レストランなどをやっている。かなりの地下で「グールレストラン」を派手に開いたりしてもいた。

カネキたちも喫茶店「あんていく」に身を寄せて日々を過ごしている。
美食家グールは充分退廃的で良かった。
しかしカネキは何であんなにひ弱になってしまったのか、、、。
グールとしての能力も一瞬しか見せない。
トーカが助太刀してやっと勝ったが、そんなものではないだろうに。

美食家グールの耽美的で只管純粋に欲望を追求する姿はそれでよいと思ったが、彼だけで物語全般を引っ張るのは難しい。
人をそんなに簡単に殺してもよいのか~人はたくさんの生き物を殺している~グールは人しか殺さない。
確かに慎ましい。それに命より趣味(美食)の為に生きるみたいな芸術至上主義的姿勢には共感できる。
そこにグールと人間女子との純愛ストーリーも対比的に絡め、その辺で厚みが出るかと思いきや、葛藤と愛は表現されてはいるも、とても平板で単純な流れであった。
そう、スケール(広がりや深まり)がなく、単純なままアクション~血で滑って行ってしまった感である。

前作の方がグールと人間との共存における苦悩や葛藤や思考が描かれていたように思うが、その辺の揺らぎ~揺れ幅は大事な部分であろうに。
もう少しやれると思うのだが、、、。
知英さんも次回作への繋ぎとして思わせぶりな雰囲気だけ残していたが、この程度では期待を膨らませるところまでは行かない。
もう少し具体的に何かをやって繋いだ方が良かったような、、、。
どこのシーンにしても食い足りない感じである。
気づくと、松田翔太の怪演の印象だけ残った。

次作に期待したい。
原作は全く見ていないが、この流れだと次作を予告したようなエンディングであるが、大丈夫か。
