霊幻道士

Mr. Vampire
2019年
香港
リッキー・ラウ監督
シートゥ・チャホン脚本
ラム・チェンイン、、、カオ道士
リッキー・ホイ、、、モンチョイ(カオ道士の弟子)
チン・シュウホウ、、、チュウサム(カオ道士の弟子)
ムーン・リー、、、ティンティン(ヤンの娘)
ウォン・ハー、、、ヤン(大富豪)
ビリー・ラウ、、、ウェイ(保安隊長、ヤンの甥)
アンソニー・チェン、、、カオ道士の弟弟子で道長
ユン・ワー、、、ヤンの父親の狂暴キョンシー
ポーリン・ウォン、、、シャンシー(20で死んだ女性の幽霊)
どうやら1985年から始まったシリーズものらしい。
この映画も2019年に日本での放映だが、元は1985年くらいのものではなかろうか、、、しっかり調べれば分かるものだろうが、脱力系のものを観た後で、そういう面倒なことする気にならない(笑。「幽玄道士」とは別物らしい。そのうちそちらとも見比べてみたい。
脱力してそこそこ楽しめる。特別大笑いするとか鮮やかアクションでスカッとするとかいうような強力な刺激はない。
独特のキョンシーと共存する文化の醸す雰囲気を堪能するには良い。
昨日のキョンシーものよりずっと渋く正統なキョンシー映画ではあるだろう。
役に立つのかダメなのか何とも微妙な弟子を持ち、そこに更に間の抜けた保安隊長が加わり、凶悪キョンシーと幽霊相手にカオ道士がとても忙しいという噺(笑。
幾種類もの法具があり、それらを直伝の作法で使いこなしキョンシーを管理または撃退する道士の仕事が重宝されていたようだ。
独特のカンフーアクションに加え、法具扱いの所作を観るだけで面白い。
この映画ならではの醍醐味?であろう。

法具の幾つか。
お札 鶏血で呪文を書いた護符。流石に道士ともなると書くのも速い。強力な呪文をキョンシーの額に張り付け動きを封じる。この札で火を放つ事もでき、扉や窓に貼り付け結界としても使える。
墨壺 これはわたしも持っているはず(どこかにしまってある)。デザインで直線引くときにとても役立つ。ここでは、壺の中身にキョンシーの嫌う鶏血と墨汁を混ぜた液体を入れておく。糸がこんがらがったりしていたが、キョンシーの行く手を阻んだり結界を張るのにも使われていた。大工さんなら誰でももっている。
八卦境 闇の力になる月の光を転換させ霊力として集約させる。これは邪気を反射させることにもなる。
鶏血 雄鶏の生き血である。多分映画で本当にしめていたと思う。キョンシー除けの効能があり、墨壺に混ぜたりやお札書きに使われる。
桃剣 邪気を追い払う桃の木から作られた剣。対キョンシーの有効な武器であるが銭剣と同様に儀式にも使われる。
ライチの葉 ライチの葉は、法力を籠めることで悪霊の幻覚を見抜く天眼通を発動する事が出来きる。カオ道士がシャンシーの正体を見破るのに使っている。ライチの木はキョンシーを火葬するのに最適だと言う。
餅米 邪気を追い払い、キョンシーに対する有効な武器となる。キョンシーに成りかけたモンチョイの治療にも使われた。しかし少しでも不純物が混ざっていると効果がない。
銭剣 銭を結び剣にした武器。霊力により桃剣を上回る破壊力を発揮していた。

ストーリーは、ヤンという富豪にカオ道士が父の墓の移転を頼まれる。
20年後に移転すると家の運気がアップすると言われたそうだ。
墓を調べると道士は色々と不審な点に気づく。
ヤンから相談を受けて墓を作った風水師が悪意からワザと悪い運気が来るように埋葬されていたのだ。
(父の埋葬後は運気は実際に下がり気味であったそうな)。
その父は、強欲で非情であった為、悪意を随分かっていたという。
何とその父は死後20年経過しているのに、腐敗していないのだった。
道士はキョンシーになることを恐れ火葬を勧めるがヤンはそれを酷く嫌う。それで遺体を新たな埋葬場所が決定するまで、道士のところで預かることとなる。
(ここで火葬を決めていれば、ヤン自身も父ともども、キョンシーとして焼かれることもなかった。運命とはそうしたものであろう)。
この時、周囲の墓全てに線香をあげてゆくが、20歳で死んだ女性の墓の前で思わず同情する言葉を漏らしたチュウサムに、その霊が好意をもち憑りつくこととなる。メンドクサイことが加わったものだ。
その女幽霊をチュウサムは恋人が出来たと思い喜ぶも彼自身が危険な状況になってゆく。同時に大変狂暴なヤンの父キョンシーが人々を次々襲って犠牲者が増えて行き、ついに自分の息子まで殺してキョンシーにしてしまう。
ウェイが道士に泣きついてくる(最初は道士を犯人だと決めつけ投獄と拷問までしようとしていた)が、余計にこじれる。更に父キョンシーとの闘いでモンチョイが傷つき、それによるキョンシー化の兆しが表れてくる。
それを防ぐために道士はチュウサムに餅米を買いに行かせるが、店主に騙され安い別の米を混ぜ合わされたものを持って帰ってしまう。おかげでモンチョイのキョンシー化に歯止めが掛からず更に様態が悪化してしまう、、、。

この流れである。カオ道士は、凶悪キョンシーと弟子に憑りついた女性幽霊とも闘い、キョンシーとの闘いで負傷しキョンシー化してゆく弟子モンチョイへの対策を講じ救わねばならない。おまけにウェイ保安隊長が足を引っ張る。弟子はへまはするし余計なこともする。
観ていてこの道士が気の毒に思えてくる。
そしてこの物語のヒロイン、ティンティンがこれと言って特に活躍をする訳でもなく、どちらかと言えば女性幽霊シャンシーの方が目立って出番が多い。
何だかんだと言ってもカンフーアクションの戦闘シーンが肝であろう。
やはりジャッキー・チェンみたいに闘いながら近くにある物を片っ端から武器に利用しながら繰り広げる手際は楽しませる。
そして弟子とのチームプレー~フォーメーションの妙である。
結局、大変手強い父キョンシーをたまたま起きた火を利用して丸焼きにして滅却するに及んだ。
最初から焼いていればこれ程に犠牲者と手間を取らずに解決していたが。
それでは、こういったドタバタ劇は生れない。
依頼者のヤンも運気が上がるどころか焼かれてしまうことになった。最初父の埋葬を担当した風水師は恐らくここまで繰り込んで20年後に墓を移転するように告げていたのだろう。
余程ヤン父は恨まれていたのだ。
そこで一人残ったヒロインのティンティンはどうするのか、と思ったがどうやら脚本家にも忘れ去られていたみたいだ。
特に何もなく終わったと思う。
わたしもはっきり覚えていないが、、、(笑。

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