Dr.STONE

2019年
Season1 1~24話(TVアニメ)、、、Season2は2021年1月より放送予定。
飯野慎也 監督
稲垣理一郎・Boichi 原作
加藤達也・堤 博明・YUKI KANESAKA 音楽
(声
千空 (天才科学者高校生)、、、小林裕介
大木大樹(体力自慢の千空の親友)、、、古川 慎
小川 杠(大樹が思いを寄せる高校生のクラスメイト、手芸部)、、、市ノ瀬加那
獅子王 司(霊長類最強の高校生)、、、中村悠一
コハク(大変な戦闘力の少女戦士)、、、沼倉愛美
クロム(千空と同じ歳ごろの石器時代の科学者)、、、佐藤 元
金狼(腕の立つ門番)、、、前野智昭
銀狼(金狼の弟)、、、村瀬 歩
ルリ(巫女、村の物語の伝承者、コハクの姉)、、、上田麗奈
スイカ(村の近視の少女)、、、高橋花林
あさぎりゲン(メンタリスト、司を裏切り科学の国につく)、、、河西健吾
カセキ(超絶的な腕を持つ職人)、、、麦人
マグマ(全身筋肉の武闘派)、、、間宮康弘
百夜(千空の父、宇宙飛行士、石神村の始祖)、、、藤原啓治
リリアン・ワインバーグ(宇宙飛行士、石神村の始祖)、、、Lynn
シャミール・ヴォルコフ(宇宙飛行士、、石神村の始祖)、、、森久保祥太郎
コニー・リー(宇宙飛行士、石神村の始祖)、、、金元寿子
ヤコフ・ニキーチン(宇宙飛行士、石神村の始祖)、、、山本兼平
ダリヤ・ニキーチナ(宇宙飛行士、石神村の始祖)、、、田中理恵
大変な問題作だ。
科学をここまでワクワクする物語に落とし込めた作品はないのでは、、、。
SF映画でもここまで壮大なものは少ない。
そしてストーリーが緻密で練り込まれており、多彩な伏線が後に見事な形で回収されてゆく。
人間(と燕)が石化して、3700年後に主人公が目覚めると地上は既に文明以前の状態に戻っていた。
周囲は石像だらけの森である。
その時点から、彼の科学の知識を総動員して、目覚めている人たち(石神村)のマンパワーの助けを借りながら文明を取り戻してゆく過程を壮大なスケールで描く。それぞれの立場の人間模様も複雑に絡みつつ。
やはりアニメ連載~TV連続放映のかたちであることから、かなりの内容~情報が詰め込める利点はある。
これが二時間尺の劇場版などになったら、少なくとも4回に分けて映画化することになろう。

兎も角、面白い。
何が面白いのかと思うと、その都度設定した科学的な課題をテンポよくクリアして問題解決してしまうところだ。
われわれの生理リズムにきっと合っているはず。
妨害も敵対者もスパイも入って来る中、困難の解決を短いスパンでスカッと攻略してしまうところが小気味よく、この物語の魅力となっている。
これといって人も死なずにスリリングで緊張感も途切れない。
更に各キャラに魅力がある。
平板で特徴のない(不自然な)キャラがいない。
どの登場人物にも共感できるものがある。これは大きい。
あまり妙で無理な設定のキャラが動き回るとそれだけで観る気が失せる場合もあるが。

そして何より、科学が中心でありこれほどそれを活かした内容のアニメ(映画)があっただろうか、という面白さである。
敵に対しても全て科学的な方法や武装によって撃退を図る。
まずは人の生活、健康を最優先に科学によって守る。
千空の驚異的な頭脳は、自分が石化していた時、唯一自由であった意識~脳で秒数をカウントし続けて居たことからもその一端が窺える。目覚めてからというもの急速に石器による道具製作、火の管理、衣食住環境を整備してしまう。だがどうにも労働力が足りなかった。そこで他に人間を探す。自分と異なり石化を免れていた一団を発見し、彼らのマンパワーでいよいよ科学文明の再生に手を付ける。
柔軟な思考と鋭い観察眼とトライ&エラーを繰り返し実験を重ねる姿勢も記録を残すことも一流の科学者のそれだ。
まずは、洞窟で石化から解けたことからその中の環境を探り「ナイタール」(エッチングに使う腐食液)によるものと突き止め天井から滴る硝酸を元にそれを生成する。だが、その環境を思想的に敵対する獅子王 司に押さえられ、以降人の蘇りは司が進めることとなり千空は既に目覚めている人々と科学を興すことに執念を燃やす。一方司は、老人を間引きしつつ若い人々を増やしてゆき武力を基本にした一代帝国を形成しようとする。彼は既得権益などを主張する大人に絶望しており以前の世界の再生を望まないのだ。
それ以降両者の対立は深刻化し、決定的な決戦は免れないであろう情勢となる。
(千空は一度、司に殺されるが、石化の蘇生修復作用を利用し蘇る。それも組み込んだうえで司の手にかかったのだ)。
闘い~防衛には火薬が必要であり、千空は硫黄の確保に向かう。大木大樹と小川 杠には、自分は死んだという前提で、司帝国のスパイとして潜り込ませる。司のスパイとして逆に潜り込んできたあさぎりゲンは逆に千空の科学知識と底知れぬバイタリティに魅惑され科学王国に寝返り、二重スパイの役目も果たす。メンタリストとしてのスキルも活かし千空の仕事に貢献してゆく。

千空は石神村の人々との邂逅で、科学的成果を次々にあげてゆく。
巫女のルリが肺炎に罹っていることを知り、抗生物質を生成するが、そのために多くのハードルを乗り越える。
その過程で幾つもの有用なモノが副産物として生産されてゆく。コーラや日本刀、眼鏡もである。
まず村人の労働力を得る為に料理~猫じゃらしラーメンで釣る。
これが当たり、人手が入ったことで、人力を使い1500度の火力を生んで鉄の生成を成功し、雷の落雷を利用して発電用の強力な磁石を製作。発電システムを作る。これによって人力から電力による動力が生まれ村人は大いに喜ぶ。そして発電により村に明かりが灯ったことで村人誰もが驚き、科学によるモノづくりへのモチベーションが一気に上がる。
ガラス器の生成によりフラスコ等の実験器具も作ってゆく。これらの複雑で精巧な道具作りには、カセキという天才職人によるところが大きい。そして村の妖術使い(改めて科学使い)クロムの理論の吸収、応用の速さも特筆ものだ。
硫酸をガスマスクを作成してそれが発生する沼地に収集に行き、危うい目に遭いながらそれを手に入れる。
硫酸ゲットで全てのものの生成、合成において拍車がかかり科学製品製造プラントが出来てゆく。
最終的にサルファ剤の生成によりルリの肺炎が快癒する。
これにより現村長の絶対的信頼を得て、御前試合の結果も踏まえ、千空が新たな村長に就任することとなる。
この結果、彼はより科学実験や製作が自由にしやすい境遇を得た。

そしてこれまた大変な科学的ハードルを次々にクリアして行き、携帯電話~トランシーバーか?まで作り上げる。武力では到底かなわぬ相手に対し情報戦で打ち勝つ計略だ。幸い親友を2人内通者として忍び込ませてある千空であった。
これまで敵対していた村人も、スピーカーから発せられる遠く離れたクロムの声に驚愕し、千空の命を狙っていたマグマたちも本当に仲間となる(一緒に命がけで鉱石採掘に行き、険悪な関係は解けて来ていたが)。
この過程でレコードプレイヤーも作り、ルリのような巫女が代々受け継いできた物語を作ったこの村の始祖であり、千空の父である石神百夜の肉声を、彼の墓標から取り出したガラスのレコード盤により、村人たちに聞かせる。
(この村は3700年前にISSから帰還した宇宙飛行士の末裔の共同体なのだ。それで彼らは石化を免れた)。
歌手でもあったコニー・リーの歌声も聴き、村人たち誰もがこころから感動し、石神千空を村長として認める。
そして科学王国の建設も加速し、いよいよ冬が明けて司帝国との全面戦争を迎えようとする。
(省略は多いが、大まかな流れである)。
Season2へ。
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