恐怖の報酬 オリジナル完全版

SORCERER
1977年
ウィリアム・フリードキン監督
ジョルジュ・アルノー原作
ウォロン・グリーン脚本
タンジェリン・ドリーム音楽
ロイ・シャイダー、、、ジャッキー・スキャンロン偽名:ジャン・ドミンゲス(強盗犯)
ブリュノ・クレメール、、、ビクトル・マンソン偽名セラーノ(不正融資詐欺犯)
フランシスコ・ラバル、、、ニーロ(暗殺犯)
アミドウ、、、カッセム偽名マルティネス(パレスチナ過激派爆破テロ犯)
ラモン・ビエリ、、、コーレット(石油会社の支配人)
1953年のフランス映画『恐怖の報酬』のリメイク。旧作はまだ観ていない。
「魔術 師」か。邦題の「恐怖の報酬」の方が分かり易い。
ベラクルスでの暗殺犯。エルサレムでの爆破テロ犯。パリでの詐欺犯。ニュージャージー州での強盗犯の4人が南米に逃げのびてきた。このポルベニールというところ自体が何やらきな臭い土地だ。
その四人で、何の因果か石油採掘場での大火災の鎮火に向かうことに。
深い緑の中の禍々しい真っ赤な火炎が人を舐めるように燃やしてゆく光景も描かれ実にリアルであった。
現地の労働者たちの怒りも頂点に達する。

どうやらアメリカ資本に対するテロによる爆破らしいが、そのいつまでも真っ赤に燃え盛る火災をニトログリセリンで吹き飛ばすため、ボロボロのダンプに、振動が加われば大爆発を引き起こす爆薬を積み込み、4人のドライバーで二台に分かれて出かけるという命がけの仕事を引き受ける。一台は保険扱いのようだ。そのくらい危険な仕事である。
8000ペソが会社から支給されるからだ。彼らには逃げのびる為の金が必要なのだ。
(ヘリによる搬送も検討されたが、振動がどうしても大きい。吊るして運んでも乱気流による爆発は免れない)。
ボロダンプもスクラップ同然のものから自分たちで整備して動くようにしてしまう。
作業光景がかなり詳しく描かれるところがリアル感と重苦しさが伝わってくる。
運転技術や火器の扱いだけでなく、かなりのメカニックたちである。

出かけたは良いが、道なき道であり、悪路なんてものではない。
このダンプが道なき道をゆっくり走る姿は、あたかもジョーズのような不気味さである。
大雨は降るし、ダンプのトレッドギリギリの道幅でしかも道が端から断崖へと崩れ落ちてゆくではないか。
極め付きは、朽ちた木材で組まれた吊り橋を渡ってゆくところだ、、、
こちらとしても相当な緊張を強いられた。
一瞬たりとも目を離せられない。
スリリングと一言で謂うには軽すぎる。途中で今の動きで荷は大丈夫か?と心配するところはかなりあった。
そしてそこを何とか抜けたと思ったら、今度は巨大な倒木の障害物だ。

ここで、他の3人の落胆を尻目に目を輝かせたのは、かつての爆発テロ犯である。
皆に指示を与えながら、荷の中の一箱を使って吹き飛ばす仕組みを手慣れた仕草で作ってゆく。
このような作業工程がかなりリアルに入って来るところで臨場感がいや増しに増す。
見事、巨木の障害物を取り除き、先頭車両(それまでは後続車)は絶え間ない緊張から解かれた油断からか、路肩を踏み外して荷が動き大爆発。漸く打ち解けて世間話を始めた詐欺犯と爆破テロ犯が呆気なく絶命する。
真っ赤な強烈な炎。そして白く伸びる虚しい煙、、、
CGでないことが、かえって迫力と生々しさを呼ぶ。

後続車は、その為慎重に走って行ったが、盗賊に襲われる。
食料品狙いだ。だが荷の爆薬を観て色めき立ったところで、暗殺犯の男にスキを突かれて彼らは射殺される。だが暗殺犯も一発を食らいそれが元で死んでしまう。
結局、強盗犯が最後に独り残り、その爆薬を何とか火災の続く 油井まで運んで行く。
そこまでの夜の道のりもまるで地獄のように恐ろしい上に、これまで彼の味わった修羅場の恐怖がフラッシュバックしてパニックに陥れる。
仕事を果たした彼は会社から40000ペソを支払われることになるが、現金でないことがひとつ厄介であった。
そして次に逃げる場所を思案しながらバーで現地女性とダンスをしている最中に、彼を追ってきた殺し屋がタクシーで到着する。
そこで、エンドロールへ、、、。もうちょっと成り行きを観たかった。
報酬も何もあったものではない。
因果応報である。
BGMにほとんど耳が行かなかった。
タンジェリン・ドリームに気づかなかった。
もう一度、聞き直すか、、、。

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