プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
基本的に、日々思うことを綴ってゆきます。悪しからず。
必ずパソコン画面(PCビュー)でご覧ください。


*当サイトはリンクフリーです。

PICKUP
パラサイト 半地下の家族 -2
パラサイト 半地下の家族 -1
ヘンリー・ムーア~彫刻に見る普遍性
911爆破の証拠―専門家は語る 前
9/11:爆破の証拠 - 専門家は語る 後
アポロ 11
シャチ~優しい殺し屋~
ハイヒール
お嬢さん
とうもろこしの島
セールスマン
トラピスト1に寄せて
「労働疎外より人間疎外」によせて
カッシーニ グランドフィナーレ
カッシーニ グランドフィナーレⅡ
シチズンフォー  スノーデンの暴露
スノーデン
レヴェナント: 蘇えりし者
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
見えない重力を描く Ⅱ
美の翳りに寄せて
写真についてーⅡ
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
「ゴールドベルグ変奏曲」 バッハ  ~グールド ~P・オトゥール ~ニーチェ
大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
すでに世界は終わっていたのか ~ ヒエロニムス・ボスその1
スヌーズレン002
情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実
南伸坊「歴史上の本人」
プラトーン
カレンダー
09 | 2020/10 | 11
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

民族の祭典

FEST DER VOLKER-OLYMPIA TEIL I006

FEST DER VOLKER-OLYMPIA TEIL I
1938年
ドイツ

レニ・リーフェンシュタール監督
ヘルベルト・ヴィント音楽


「民族の祭典」はベルリン・オリンピック陸上編である。
これと「美の祭典」の2部作で構成される。

FEST DER VOLKER-OLYMPIA TEIL I002

所謂、実況中継などからは遠い、映画作品となっている。
しっかり、ワクワクしながら競技にのめり込む臨場感は充分にあるのだが、作り上げた物語性もある。
40台のカメラを動員して編集作業で作り上げた労作であるだけでなく、スポーツ競技の記録フィルムとしては過剰な演出も行っていた。撮影機器の性能から来る要請でもあるが、光の関係で撮れなかった部分の撮り直しを加えて編集していた部分がそれに当たる。お陰でより映画としての完成度は高まったものであるが。
撮影のための様々な工夫も凝らされ芸術性はとても高いものとなっており、その美しさに惹きこまれてゆく。
最初の部分のギリシャ時代の競技を想わせるイメージ画像から、このドキュメンタリーの格調の高さが感じられるが、、、
スローモーションもあり選手の動きの美しさが際立つ。
特にフィールドの溝からのカメラによる跳躍系の宙を舞う映像は、殊の外優美である。
アフレコも行っているという。
競技するライバルを見詰める他国の選手の表情のアップなども重ねられ、彼らの心理や疲労も感じられるシーンも挟まれて進行する。音楽も荘厳さがありピタリとフィットし効果的に使われていた。

FEST DER VOLKER-OLYMPIA TEIL I005

後のドキュメンタリーにどれだけの影響を与えたものか。
ヒトラーがやきもきしながら観戦している姿も楽しいものであった。
映画のスポンサーはヒトラーのナチス党であるが、競技の捉え方は全く平等でその点における問題はない。
日本が三段跳びとマラソンで優勝し、棒高跳びで2,3位とかなり活躍したが、しっかり競り合う姿が映されていた。日の丸が君が代の演奏と共に掲揚されてゆく様は何とも感慨深い。5,000mで4位(10000mでも4位)の村社は、フィンランド勢(3人)相手に孤軍奮闘する姿がかなり好意的に捉えられていた。ちょっと英雄的な扱いであった。
ジェシー・オーエンスというカール・ルイスばりのスターがいたことを知った。短距離と跳躍で優勝し4冠達成である。
ただ競技をする姿だけでなく表情もよく捉えられており、こちらもまたあの選手が勝ったという驚きをアナウンサーが語るまでもなく知ることが出来る。競技にのめり込んでしまう魅力があることは確かだ。
ジェシー・オーエンスは表情の柔らかいスター性溢れる黒人アスリートであるが、こうした黒人の活躍がふんだんに収められたフィルムである。ここにヒトラーの思想は微塵も感じられないのだが。ヒトラーも一観客としてお茶目な応援の姿を撮られているに過ぎない。

FEST DER VOLKER-OLYMPIA TEIL I003

単に記録として見ても信頼性あるフィルムであるが、やはりドラマチックな映画作品としての価値は高い。
カメラなどの撮影機材の性能を上げれば、今の時代の映像と区別がつかなくなるところは多いだろう。
ただ、撮影機器だけでない、時代を感じることが強烈にあった。
走り高跳びである。
これには驚く。
背面飛びやベリーロールではなく(アメリカ選手にそれに近い飛び方も見られたのだが)、ほとんどは、正面跳び、はさみ跳びであんなに高いバーを越えているのだ。女子の飛び方が余りに危ういのでちょっと笑ってしまった。
飛ぶときに、「あれ~っ」とか声をあげているのでは、と思ってしまう程、危うい飛び方でどの選手も飛んでいるのだ。
競技の技術も格段に磨かれて来ていることが分かるところだ(当たり前だが)。
競技によっては、今でもほとんど変わらない形で行われているものと、随分変わり記録も伸びているものとの差を感じた。
その歴史的な視点から観るのも興味深いところだ。そこも充分愉しめる。

FEST DER VOLKER-OLYMPIA TEIL I004


この映画は、1938年のヴェネツィア国際映画祭で金賞を獲得しその完成度、芸術性が絶賛を浴びるが、戦後はヒトラーのナチズムとの絡みで大排斥される運命であり、レニ・リーフェンシュタールは優れた監督でありながら以降、映画の製作が不可能となる。
「ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海」を48年ぶりに監督し、これが最後の彼女の作品となった。

オリンピック第二部は「美の祭典」となる。
近いうちに観てみたい。








選手団の入場行進の際に、観客が盛り上がるところで、興味深いシーンがあり調べてみると、こうあった、、、
「ドイツと政治的に緊張状態であったフランスの選手団が、行進の際「右手を斜め横に掲げるオリンピック式」の挨拶をし、これをナチス式の敬礼と勘違いしたドイツ人の観衆の熱狂的な拍手を浴びた。」(Wikiより)
当時、ドイツ国民のほとんどは、ヒトラー~ナチスに肩入れしており、これなどにその一端が窺える。
レニがヒトラーの頼みもあって、オリンピック記録映画を製作したことで、後に弾圧されるのなら意識の上で彼女と同等の一般市民がどれほどいたことか。その影響力が取りざたされるにせよ、彼女は格調高い映画を完成させようと労を尽くしただけであり、ヒトラーの危険度をどれ程の人がこの時点で認識していたかである。



関連記事

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

SF PickUp