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GOMA28

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ジャック・ドゥミの少年期

Jacquot de Nantes001

Jacquot de Nantes
1992年
フランス

アニエス・バルダ監督・脚本
ジャック・ドゥミ原作
ジョアンナ・ブルズドビチュ音楽


フィリップ・マロン、、、8歳のジャコ(ジャックの愛称)
エドゥアール・ジョボー、、、思春期前くらいのジャコ
ローラン・モニエ、、、青年のジャコ
ブリジット・ド・ヴィルポワ、、、母
ダニエル・デュブレ、、、父
ジャック・ドゥミ、、、本人


浜辺から始まる、まさに「少年期」と謂うに相応しい映画であった。
モノクロとカラーを織り交ぜた複雑な伝記ものだが、とても観易く優しい流れを感じる。
アニエス・バルダとジャック・ドゥミなのだから、、、凄い夫婦だ、ではなく良い映画になって当然か(笑。

Jacquot de Nantes002

何においても幼年期~少年期というものは人の形成に重大な影響を及ぼすが、ジャック・ドゥミの場合、母に恵まれていた。
彼を信頼しあくまでもやりたいことを後押ししてくれる。父も彼のやることに注目し趣味に付き合うことは充分してくれた。
この土壌はとても肝心なものである。
その上、アニエス・バルダという妻である。
良いものが作れて当たり前にも思える(笑。

この人は恵まれている。
自分のやりたいことを早くから知ることが出来、それを暖かく見守られながらやることが出来た。
こんなにも頻繁に家族皆で映画館通いをするのも(他の愉しみはこれといってなかったのかも知れぬが)素敵なことだ。
そして親子で息子の作った幼い手作り映画を鑑賞し愉しむ。毎回「面白かった」とお父さんが言う。
少年時代の何とキラキラしていることか、、、。この家族は誰もが対等なのだ。
映画の話が語り合える同年代の友達にも恵まれており、隣人も段ボールを分けてくれたりと何かと協力的であり、親和的な外界との関係が取り結べていたことがよく分かる。
これでは将来映画を作って多くの人を喜ばせたいと、ごく自然に思うことだろう。
彼の作る人形劇から「シェルブールの雨傘」や「 ロシュフォールの恋人たち」が一直線に繋がって行くのが分かる。

Jacquot de Nantes003

自動車修理工場をフランスの港町ナントで営む父親と髪結いの母親に大切に育てられていた8歳の少年が長じるに従い映画にのめり込んでゆく過程を描いた巨編。
大戦でドイツ軍の侵攻により一時疎開するが、何処にあってもどんな経験も後の映画の大切な一コマとなって昇華してゆく。
彼独特の感性のフィルターを通して、、、ほんの些細な出来事が傑作映画の一シーンに蘇るマジック。
この関係~変換を見事に映像に描いてしまう奥さんアニエス・バルダの手腕も凄い。
ジャック・ドゥミへの深い理解と共感の成せる技でもあろう。
流れに全く違和感などなく、次々と興味惹かれるエピソードで綴られるビビットな愛情溢れる映画である。
晩年のジャック・ドゥミ本人へのインタビュー映像も実に効果的に絡められていた。
かなり複雑で難しいことをしていても、ただ優しい映画にしか感じられない。

Jacquot de Nantes004

父と将来の仕事を巡ってはっきりと対立したが、これも実に健全な自立への儀式でもある。
父は工場を持っていることから、長男にそこを継がせたい。だが、彼は自分の意志を通す。通すだけの自立性と精神が健全に育てられた結果であろう。これで良いのだ。父子とはそうしたものだ。母は一貫して息子を応援し続けた。素晴らしい。彼女が日常の何をするにも歌を唄っていた。これが後の大傑作ミュージカルへと繋がることも納得した(笑。
当然、あの時代を生きた少年の一人として戦争の地獄は経験し(特にナントの空爆)、暴力を憎むこころは本人の謂うように根深く巣食ったにせよ、段ボールから切り出して一心不乱に作るバレリーナや指揮者や舞台は、確固たる幾何学を少年の精神に齎したと思う。
宝物のような「少年期」である。

少年から突然、深く皺の刻まれた夫の顔のアップに繋がるシーンが何やらとても印象的であった、、、。
、、、浜辺で終わる。


この映画には、何とも言えない憧れを感じる。



AmazonPrimeで是非、、、。







劇毒親に育てられたわたしの少年期と対極にある、愛に包まれた何とも羨ましい映画であった。
こういった映画を観て、解毒を通し何の因果性からも解かれた自分独自の世界を構築して行きたい。
さて、何をしようか、、、そこから始めなくては。

ジャック・ドゥミにとって幸運であったのは、あのような戦時中であっても玩具まがいとは言え、映画を撮る機器が手に入り毎日制作に明け暮れることが出来た環境があったことだ。勿論それを邪魔する者もおらず、頼めば必ず誰かが助けてくれる。物にも人にも恵まれた人生であった。
わたしもこちらの時間系に乗り換えようと思う。

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