フルートの想い出

今日は、ジェスロタル、ムーディーブルース、フォーカスのフルートの入った曲をウェブ上で拾ったMVでご紹介。
ブロ友の”ST Rocker”さんとたまたま話題に出たフルートの入ってくるロックグループである。
本当はしっかり原曲を聴いて選びたかったのだが、全てソースは、LP版であり今現在ターンテーブルの針がちょっと不安な状態なので、レコードを探し出してもかけられない(かけたくない)。その為、ユーチューブなどで当たってみるが、これだ!というものがない。
しかもほとんど曲について記憶が定かではない、、、これはもう無理もないが。
フルートの入るグループは思いの他多いものだが、これらは1960年代~70年代に活躍したロックグループで、、、明らかにムーディーブルースは、60年代(笑。こんな風なMVがよくテレビに映っていたもの、、、懐かしい。これと同様の撮り方のプロコルハルムの「青い影」があったものだ、、、。
フォーカスは70年代初頭のものと思われ、ジェスロタルのこのライブに関しては2015のものだという。イアン・アンダーソンもおじいちゃんでまだまだ頑張っている(ずっと昔「ロックンロールには歳だけど死ぬにはまだ早すぎる」というアルバムをかなり元気なころに出していたが)。その世界を実際に演じている。たいしたものだ。

このジェスロタルほど、全面的にフルートのフューチャーされたグループはないのでは。
ライブビデオで見るイアン・アンダーソンのフルートの吹き方はカッコよかった。
絶妙なアンサンブルでハッとさせられることも多かった。
トータルアルバム制作が得意でとても文学的で哲学的な世界が覗かれる。
アルバムAB面で一曲の緊張感溢れる大作が魅力的。
「ジェラルドの穢れなき世界」(天才少年詩人の詩を元にしたもの)や「パッションプレイ」(受難と情熱を併せ持つ世界観)など特に。
とても懐かしくなった。ターンテーブルが大丈夫ならレコードを取り出して来てかけてみたい、、、。
(昔、よく耳コピして真似して吹いてみたものだ、、、今はとても出来ない)。
この頃よくあった、クラシックやジャズの要素を取って付けたようなサウンドではなく、それを血肉として取り込み昇華した、洗練されたサウンドであった。
ライブはアグレッシブに、アルバム(スタジオ制作)は、極めて緻密に構築された音楽になっていた。

ムーディーブルースも全アルバムがコンセプトアルバムの形で統一されており、そのファーストアルバムの完成度には度肝を抜かれた。1967年。オーケストラアレンジが最も上手く融合した例の一つに数えられよう。
彼らのアルバムは、どれも独立した曲が絶妙に繋がっていて全体でひとつの組曲のように構成されている。
アルバムごとにテーマがはっきりとあり、その世界観の説得力も確かなものであった。
これは、晦渋な音ではなく優しく美しい旋律を基本に置いていることが大きい。
無駄な音が一音もないところが凄い。
中国で100年ぶりに洋楽が流された時、選ばれたアルバムが確か彼らのサード・アルバム”On The Threshold Of A Dream”であったはず。中国国民はこぞって「革命的だ!」と称賛したらしい。
彼らはどのアルバムも傑作揃いで、出すアルバムの帯にいつも最高傑作と書かれていた。他にはプロコルハルムがそうであったが、、、。
レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが唯一のプログレッシブ・バンドとして彼らを評価していた。
特にキーボード~メロトロン奏者のマイク・ペンダーを気に入り、必死に自分のバンドに引き抜こうとしていた(笑。
マイクはメロトロンについては第一人者だが、ボーカルも天から降りてくるような荘厳な気分にさせられる有難い声である。
顔も聖ペテロみたいな顔をしてるし、、、見た目はそうだが、ツアーのライブやりたくないとか、結構我儘を言ってメンバーを困らせていたという噺もある、、、その点でもペテロっぽいか(笑。
彼らは全員がコンポーザーで、自分の作曲した曲のボーカルをとる。ボーカルが皆、個性的で上手い。
レイ・トーマスのフルートについてはこの曲よりずっと良いチューンが沢山あるが、取り敢えず単品で見つけたのがこのファーストからのカットであった。
彼は2018年に他界。この時期活躍していたわたしのヒーローは、もうかなり亡くなってしまっている(残。

オランダのフォーカスは、タイス・ファン・レール(キーボード、フルート)とヤン・アッカーマン(ギター)を中心としたインストロメンタルバンドである。恐らくオランダ出身で世界的に最も成功したバンドではないか。
(わたしはジョイ・ディヴィジョンのDNAを汲む「メカノ」が一番であるが)。
タイス・ファン・レールは人によっては、フルートやキーボードよりボーカリゼーション(ヨーデル)のインパクトが大きいかも知れない。
はじめて聴く人はそのパフォーマンスに、決まって呆気にとられる。
そして病みつきになる。彼らの人気の重要な要素の一つだ(笑。
ギターのヤン・アッカーマンはエリック・クラプトンを人気投票で抜いたことがあるテクニシャンである。
悪魔的な”Hocus Pocus”が余りに有名だが、他に「シルヴィア」が大ヒットを記録し、ポップな面もアピールしていた。
どちらかというと牧歌的で寓話的な雰囲気もかなり醸したバンドなのだが、、、。
わたしは、彼らの抒情的で伸びやかな美しい曲が特にお気に入りであった。
もう随分聞いていないが「フォーカス2」や「フォーカス3」とか~これはギターとキーボード(オルガン)の絡みが甘やかで心地良い~そして「ハンバーガーコンチェルト」ではそれに加えフルートの旋律もボーカリゼーションもとても美しく溶け込んでいる。
このチューンが、ちょっとYouTubeのライブでこれといったものが探せなかった。
出来ればCDかLPで聴いてもらいたい。輸入盤などであるかどうか、、、。
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