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GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
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シェルター 狂気の秘密

Harms Way002

Harm's Way
2008年
カナダ

メラニー・オア監督

キャスリーン・クインラン、、、ビー(DVシェルターの主人)
イングリッド・カヴェラルス、、、ダーリーン(夫のDvから逃れた母)
ハンナ・ロックナー、、、ビクトリア(ダーリーンの娘)


AmazonPrimeでないと、観れそうもない作品。Primeがなければ、まず出逢うことはない。
こじんまりとした大変まともなサイコ映画。
基本全てが謎のまま終わって行くが、現実も何もかも不透明であり、誰にも分る透明な関係性など存在しない。
何もかもが明瞭に説明出来たら、それこそフィクションだ。

夫のDVから逃れて母娘で遠く離れた農場~DVシェルターにやって来る。
そこを独りで管理しているビーという婦人は、彼女らの名前も素性も聞かないでただ受け容れてくれる。
煙草、酒、薬などの依存性のあるものをやらない。
敷地の外に出ない(逃げて来たのだからわざわざ見つかる真似はしないはずだが)。
農業の手伝いをする。納屋には近づかない。
この条件を守れば、食費、宿泊料タダで居たいだけ居てよし、ということである。
いる間は、しっかり外部から守ってくれるという。これは助かるではないか。
普通なら、暫く身を隠しながらもここを足掛かりにして、親子二人で自立に向けた生活を図るのだろうが、、、。

滅茶苦茶になった家庭生活も、この長閑な農村の隠れ家で母娘で農業などを手伝うことを通し関係の修復にも当てられよう。
酒、煙草も断ち、健康的な充実した時間が過ごせるはずだが。

どうもこのダーリーンという母親キリっとしない、と言うかだらしない。
元々規範に対する感覚も薄く(自制心も無く)、ビーに謂われた条件も迷うことなく破っている。DVも呼び込みやすい性格などだと分かる。とりあえずは、ビーに言われた仕事は手伝うが、常に気は散っており、持ち込んだ習慣は止められないし自制もしない。
娘のビクトリアもこの母には信頼がおけなくなっていることは、車でこの駆け込み寺に来る冒頭から分かる。
見限ってはいないが、つくづく頼りないとは感じているようだ。その分、大人の女性のビーに惹かれる。

Harms Way001

ビーという存在は謎に包まれたままである。
何故、優しく避難を求めて来た女性を匿うというボランティアの仕事をしながら、納屋にはここにこれまでに逃げて来たはずの女性のトランクが山積みにされており、つい先ごろ来た女性が血まみれで息も絶え絶えの状態で鎖で繋がれているのか。
動機も趣向もよく分からない。大きな闇を抱え持ちながらも「家族」を持ちたがっているようにも窺えた。
しかしこれまでは、全て失敗し~約束を守れなかったのか~、その結果かなりの殺害を行ってきたらしい。

ダーリーンは煙草を吹かし酒を呑みつつ、禁止された納屋に近づくと謂うよりさっさと鎖を解いて中を物色している時に、それを知って驚愕する。ここはやばい所だわ、と気づく。あの女はサイコだと。
そして娘と逃げようとするが、警察に見つかっては困るのだ。実は夫からではなく、2人は警察から逃げているのだ。
警察はこの周辺を失踪女性の情報を求めパトロールしている。
このシェルターにも訪ねて来ており、ビーもその仕事柄マークしていた。

Harms Way003

ビートとビクトリアは、基本的に噺も合う。
お互いにビーのアトリエで絵を描き合って、会話を楽しんでいる。
ビーは賢いビクトリアを気に入っている。
事が無ければ、結構上手くいっていたかも知れない。

だが、母親のダーリーンが悉く約束を破っていたことを知り彼女は激しく憤る。
納屋の秘密がバレてはもう後はない。
しかしこれを知らなければ、(防衛上)ビクトリアでもどうなっていたか分からない。

ビクトリアは、常に包丁を身の回りに隠す習慣が身についている。
これは、途切れることの無い激しいDV環境にあって幼いながら自らの命を守る為に身に付けた習慣であろう。
終盤の急展開で事態が加速する。

母娘のここに来る切っ掛けは、母に暴力を振るう父を包丁で娘が刺し殺してしまい逃亡場所として紹介されたのだった。
そしてここでもビーを裏切って捕まり前の女性のように斧で処分されそうになった母を前にして、ビクトリアはビーを背後から刺して救う。ビーは死ぬとき、あなたはオオカミだったのね、と呟く。
ビクトリアは、また母がこうした事態を招いた~反復させたことに憤る。
だが母は、こうなったのもあなたのせいよ、と自分が元々蒔いた種を娘の責任のように詰る。

ビクトリアは、この限りない反復構造から抜けるために、縛られたままの母を放置して一人で納屋を出て敷地から外へと去って行く。
ビーとの会話で、赤ずきんが自らオオカミを倒して進まなくてはならないと諭された通りビクトリアは実行したと謂えるか。
オオカミではなく逞しい赤ずきんである。
全てから解放されたこの娘なら一人で逞しくやって行けると思う。


清々しい小品であった。


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COMMENT

おはようございます

この映画を数日前に観ました。
短いし、わかりやすくて、得る物がありました。
それにしても、このビーという人の容姿というか、髪型やメーキャップも含めた見た感じがなんとも印象的でした。

GOMAさんは最近よく、「AMAZONプライムだから出会えたであろう映画」と書かれています。
その意味するところの一つはこういうことでしょうか?
メガヒットを狙う大作映画は、どうしても民衆の最大公約数が納得する映画作りをするが、プライムに出てくるような映画は、その呪縛からフリーだと。

この映画も、そうした観点から見ると、ラストシーンではもっと母娘が合一して「シャンシャン」と行きそうなところ、敢えて見解の相違を主張したのは、この映画らしいところのように僕には感じました。

この映画以外も最近いくつか観ました。
結構難しいのが多かったです。
そんな中で、「ガザの美容室」はわかりやすかったです。でも衝撃でした。
「万引き家族」も独特でした。

フルートの記事は、後ほどじっくり読み、聴かせていただきます。

ありがとうございます☆彡

>このビーという人の容姿というか、髪型やメーキャップも含めた見た感じがなんとも印象的でした。
わたしもそう感じました。何かを隠しているというような。この辺は、はっきりと映画ならではのメッセージですね。
凄く真面目そうに見えて狂気を孕んでいるという、、、。

AmazonPrimeの映画は、まず日本の映画館には来ない、ソフトすら出そうもないものもありますね。
カルトにもならない(どういうつもりで作られたのか分からない)映画が観れてしまう、希少価値もあります。
売れる事の「呪縛からフリー」の為、凄くつまらないものもありますので(苦。
でも製作するとなると、かなりの予算と労力を要します。
そこに何とも言えない眩暈を感じることもあります。

この娘はどうしようもなく母親には愛想をつかしていたけど、最後に見切りをつけた感じに思えました。
縁を切るといったところでしょうか。
確かに普通ならこういう場面で、ごめんなさいとか言い合って、手を繋いでここを出てゆく、ところでしょう。
わたしは、それは嘘だ、と感じます(爆。少なくとも白けます。

「ガザの美容室」も「万引き家族」もこれと同様に極限状態ですね。
そこでどれだけ自分を持って逞しく生きるか。その部分で共感できるところはあります。

「フルート、、、」に関しては、たまたまあの3つを話題にのせましたが、キング・クリムゾンもフルートはきかせます。
お暇な時にでもお聴きください。
またご感想、楽しみにしております。

暑い日が続きますが、お身体にはお気をつけください。

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