プロフィール

GOMA28

Author:GOMA28
絵画や映画や音楽、写真、ITなどを入口に語ります。
基本的に、日々思うことを綴ってゆきます。悪しからず。
必ずパソコン画面(PCビュー)でご覧ください。


*当サイトはリンクフリーです。

PICKUP
パラサイト 半地下の家族 -2
パラサイト 半地下の家族 -1
ヘンリー・ムーア~彫刻に見る普遍性
911爆破の証拠―専門家は語る 前
9/11:爆破の証拠 - 専門家は語る 後
アポロ 11
シャチ~優しい殺し屋~
ハイヒール
お嬢さん
とうもろこしの島
セールスマン
トラピスト1に寄せて
「労働疎外より人間疎外」によせて
カッシーニ グランドフィナーレ
カッシーニ グランドフィナーレⅡ
シチズンフォー  スノーデンの暴露
スノーデン
レヴェナント: 蘇えりし者
透明な身体性
森羅万象を描く デューラーから柄澤齊へ
ヴィデオドローム2 ~イスラム国 ~アノニマス
見えない重力を描く Ⅱ
美の翳りに寄せて
写真についてーⅡ
午前零時の奇蹟(シュル・レアリスム覚醒の時間)
パーフェクト・デイ ~ルーリード ~ローリー・アンダーソン ~スーザン・ボイル
未来派の画家~ウンベルト・ボッチョーニ
Balthus ~ バルテュス展行ってまいりました。
「ゴールドベルグ変奏曲」 バッハ  ~グールド ~P・オトゥール ~ニーチェ
大昔のスケッチ(詩画集のための試作)
すでに世界は終わっていたのか ~ ヒエロニムス・ボスその1
スヌーズレン002
情報リテラシー  ~華氏911 ~不都合な真実
南伸坊「歴史上の本人」
プラトーン
カレンダー
08 | 2020/09 | 10
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -

アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち

Stonehearst Asylum001

Stonehearst Asylum
2014年
アメリカ

ブラッド・アンダーソン監督
ジョー・ガンジェミ脚本
エドガー・アラン・ポー「タール博士とフェザー教授の療法」原作
ジョン・デブニー音楽

ケイト・ベッキンセイル 、、、イライザ・グレイヴス(患者)
ジム・スタージェス 、、、エドワード・ニューゲート(精神科医)
マイケル・ケイン 、、、ベンジャミン・ソルト医師
ベン・キングスレー 、、、サイラス・ラム医師(院長)
デヴィッド・シューリス 、、、ミッキー・フィン(武装警備員)
ブレンダン・グリーソン 、、、精神鑑定医
シニード・キューザック 、、、ミセス・パイク
ソフィー・ケネディ・クラーク 、、、ミリー
クリストファー・フルフォード 、、、パクストン
ジェイソン・フレミング 、、、スワンウィック


狂人とは他者が特定の誰かを指して呼ぶ言葉だ。
多くは相対的に決まる。絶対的な狂人とは、果たしてどういう者を指すか。
誰が誰にとって狂人であるか、、、。
どの共同体~パラダイムがその個人を狂人としてカテゴライズするか。
時代、場所、共同体が異なれば、全く異なる人として価値づけられもする。
人は関係性のなかにその都度、現出する。
その関係性は重層的であり、或る関係の網毎にその人の価値は大きく異なりもする。
単一の共同体のみに属しているという人は少ないはず。一人が幾重もの関係性の内にいるのが通常だ。
相対的に決まるとは言ってみたが、個人レベルで考えれば、狂人などという強力な価値対象は絶対的な重みをもつ。
本当の狂人に他ならない。悪そのものである。

わたしも狂人と特定するモノは、はっきり存在する。
向うは大概、自分を狂人とは思っていない。そういうものだ。
自分に被害を及ぼす存在でなければ、どうでもよいが、そうでないモノについては狂人と謂わずとも何らかの名を与えて特定しておく必要がある。自分にとって理性的に整理が合理的につき健康的であるからだ。その上、相手にとり呪術的効果もある(笑。

まずは、おおかた、、、
この世のルールは全て心得ているような顔をした他罰主義者があちこちに妖怪のように跋扈しているだけで、その世界観の何と貧しいこと。貧しいだけならともかく、明らかに甚だしく狂ってもいる。単なる馬鹿であることも凄まじく多いが。
この映画でも結局、狂人って何だ~誰だ~である。
特に精神医学の世界は、歴史的に見ても相当酷いものであった。
明らかに甚だしく間違ったことをして来た。

Stonehearst Asylum002

そこでの立場~患者と医者つまり奴隷と支配者の逆転がとても面白い結果を生んでいた。
これまでのパラダイムで見れば狂った連中が暴動を起こして医者やスタッフたちを退け、病院に出鱈目な統治をしいたということであるが、それによってこれまで不治の異常者と見做されていた者たちが、自らの人間性を回復し尊厳を見出して来ているのだ。
どちらが間違っていたのかは、相対的なものではなく絶対的なものだ。

イライザはヒステリー患者とされ、多くの講義を受けに来た関係者の前で、治療法という名の下、人の尊厳を踏み躙る行為をモルモットのように受けて来た。
その上病院では日常的に、患者たちに鎮静剤投与や拷問めいた苦痛を機械で与える人体実験を繰り返し精神崩壊へと向かわせるばかりであった。
患者のなかの元軍医であるサイラスらが医療チームと入れ替わったことで、重篤な患者を強い薬や一切の責め苦から解き、自然な人間関係のなかにおいて治療を進めることで、彼らがゆっくりと自分を見出してゆく過程がみられるようになった。口のきけない少女が人の世話をする看護婦の役目を果たすようになっている(ロールプレイ効果も効いている)。
ニューゲートはオクスフォードで精神医学を学び現場での研修をこの病院に受けに来た。

Stonehearst Asylum003

患者の治療の先進性には共感するが、院長の取り巻きには感心できない。
ピアノを弾きこなし作曲にも秀でている美しいイライザがここにいる事にも疑問を持つ。
更に地下の独房に、何とこの病院の院長その他の医者や看護婦、スタッフたちが閉じ込められていたことを知り、ニューゲートは驚愕する。囚われの元院長からそれまでの経緯を聞く。何人もの医療関係者が毒殺などにあっていることを知る。街に助けを呼びに行くか、鍵を探して彼らを解放するか。
しかし守りも固い。脱走者は殺される。そうした恐怖と暴力の関係性のもとにあったのだ。

そして、サイラスも凶器とも謂える電気ショックの機械を開発し、元院長の脳を破壊してしまう。
両者ともにほぼ同レベルの闘いとなってくる。
イライザは酷いトラウマを持っている為、彼女を解放したサイラスへの依存と信頼は消え難い。
しかしニューゲートはイライザは勿論、囚われの者たちをここから何とか解放しようとする。

Stonehearst Asylum004

そこで院長室からサイラスのトラウマに関する資料を見つける。
まさに戦争で受けた残酷なトラウマであった。
それを彼に突き付けることで、彼は深く抑圧していた罪の意識に苛まれ戻らなくなってしまう。本当の患者となる。
そしてイライザに関しては、自分は以前の講義の受講者の一人であったが、その時は無力で何も出来なかった為、こうして医者として改めて君を個人的に助けに来たことを告げる。
一緒に良い環境に住み移ろうと。
そのまま2人は、気候も穏やかな長閑なリゾート地のような場所で暮らすことに。
(まあ、何と良いムードではないか)。

その後、例の病院にイライザを引き取りに来た夫とその付き添いの医者ニューゲートが、もう2か月前にイライザがニューゲートという医者に引取られて退院したことを告げられる。
実は、ニューゲートと名乗り乗り込んで来た若い精神医は、そのニューゲートの患者であり、例の講演会にもう一人の患者として彼女を知った男であったのだ。主治医であるニューゲートに成りすまし、彼の身分証や服や眼鏡などを盗みイライザに接近を図ったのだと、、、どんでん返しにも程がある。
彼は嘘が上手く狡猾でもっとも油断ならぬ患者であったとそのニューゲートは語る。
だが、彼はその時、悲嘆に暮れて助けを叫んでいたイライザにある種の直観を覚えたに違いない。
この人とならこの泥沼の世界から抜けだせると。彼の自由な発想と解放への不屈の意志が決断させたのだ。
(一体彼はどういった種類の狂人とレッテルが貼られていたのか)。
ここを出さえすれば、2人して自立した幸せな世界がきっと掴めると。
こうした個人レベルのレジスタンスは何処においてもなされるべきである。

この2人の方がずっとまともな人間であった、ことは間違いない。











関連記事

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

SF PickUp