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GOMA28

Author:GOMA28
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アス

US003.jpg

US
2019年
アメリカ

ジョーダン・ピール監督・脚本・製作
マイケル・エイブルズ音楽


ルピタ・ニョンゴ、、、アデレード・ウィルソン/レッド
ウィンストン・デューク、、、ゲイブ・ウィルソン(夫) / アブラハム
エリザベス・モス、、、キティー・タイラー(ジョシュの妻)
ティム・ハイデッカー、、、ジョシュ・タイラー(友人、別荘も隣)
シャハディ・ライト・ジョセフ、、、ゾーラ・ウィルソン(長女) / アンブラ
エヴァン・アレックス、、、ジェイソン・ウィルソン (長男)/ プルートー
カリ・シェルドン、、、ベッカ・タイラー(タイラー家の双子の娘)
ノエル・シェルドン、、、リンジー・タイラー(タイラー家の双子の娘)


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アメリカの地下に張り巡らされた広大なトンネルの中でかつて実験的に作られ打ち捨てられたクローン~テザードたちが生き残り増殖して地上の世界の支配を狙う、という発想はとても刺激的で面白い。そして怖い。わたしがこれまでに観たホラーの中で一番緊張感があり怖かったかも知れない。
確かに知らない「わたしたちがやって来る」のだ。「外に家族がいる!?」しかも手を繋いでいるのだ。ぞっとする。
演出~(構図上の)見せ方も上手い。
しかし何故、彼らは敢えて赤を着るのか、、、。普通の服を着ていた方が目立たずに効率よく入れ替わり易いはず。
(「赤狩り」にでも掛けているのか)。彼らが武器として使うハサミもそうだが、象徴的な意味合いや暗示を感じるシーンも多い。
(フリスビーの小さなシーンひとつとっても)。

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幼い頃、海辺に近い遊園地で「自分探しのお化け屋敷」に入ったら、迷路の中で鏡に映った像かと思ったら、何と自分そっくりのドッペルゲンガーに出逢ってしまう。
その後、アデレードは暫くPTSDで喋れなくなるが、無事に成長し言葉を取り戻して大人になる。
そして、幼少期の怖い想い出の残るサンタクルーズの海辺の街に家族(夫と長女と長男)でバカンスにやって来た。
最初から不穏な空気が充満し緊張が走る。音楽が更に演出効果を上げていた。
音楽そのものにも魅力を覚える(音楽だけ聴き返したい部分もある)。

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いきなり真夜中に自分たちと瓜二つの家族が眼前に現れたら、悪夢以外の何であろうか。
レッド~母以外は誰も喋れないようだ。
皆、異様な敵意と害意いや殺意に漲っている。
これは怖い。

「エレミヤ書11章11節」~11:11が度々出て来るが、これについては、内容的にどう絡んでいるのか良く分からなかった。
これについては、それ程の意味も感じられないが。
神がこれより地上に禍を下すであろう、、、。
(いずれにせよ神の逆鱗に触れたという徴であろうか)。
内容的に特に引っ掛かってくるようなところもない。

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監督がデビュー作でいきなりアカデミー脚本賞を取りこれが2作目となるが、確かにこなれてはいる。
監督をする前は黒人コメディアンであったそうだが、このゲイブという夫はかなりのコメディアン気質で、彼がタイトな流れの内に絶妙な間を作っている。受け狙いのジョークが見事に滑り言い訳を真面目にしてみたり、頼れそうで頼れない微妙な夫キャラである。
(監督の言では、コメディとホラーは構造的に同様のものであるそうだ、、、今後気にして観てみようと思う)。

この家族は何故か「わたしたち」には殺されない。散々怖くてひどい目に逢わされ逃げ惑うが、結局それぞれが「自分」をやっつけてしまう。見た目はひ弱そうな家族で、他の家庭も皆殺しの惨劇に見舞われているのに、しっかり生き延びている。
何故だろう。主役だからの他に、要因としたら、、、やはりアデレードのせいか、、、。

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タイラー一家の別荘にも「わたしたち」~影は同様に現れていた。一斉蜂起したのだ。赤いつなぎがその意志?を示す。
相手に対し唖然とした隙にタイラー家は植木バサミで皆、惨殺される。
「アレクサ」に呼びかけて家の中の全てを管理するスマートハウスに住んでいるタイラー夫妻たちの脆さも興味深い。
IoT化が万全とは言え、”Call the Police”と断末魔のタイラー夫人が呼びかけたのに"Fuck the Police"をガンガン流してしまうのだ。
家族全員が血みどろで息絶えている空間がやたらとご機嫌な雰囲気となる。

テザード(というクローン)も地上の”オリジナル”に同調して動いている点で、云った通りに作動するIoTみたいなものか。
魂も無いと謂うことだし(レッドの言によれば)。対比的に設置された場面だと思う。
そして何よりオリジナルの機械的な同調を示す部分がジェイソンのテザード版であるプルートーが燃え盛る炎の中にオリジナルの真似をして身を投じる様である。あそこまで鏡像関係では、魂は感じられない。その辺は、何とも言えないところだ。

いずれにせよテザードはオリジナルの動きを知っている為、置き鍵などは何処にあるかも分かっており、それを使いセキュリティなど気にせず入って来れる。

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政府は秘密裏にクローンを地下トンネルの中で作っていた。
廃棄された数千キロに及ぶ地下壕は、何かが密かに陰謀を張り巡らすに極めて適した地下世界となろう。
いつ作っていたのか定かではないが、どうやら、国民一人に一つの影という形で作ってしまったみたいだ。
赤ん坊も恐らくオリジナルに合わせて産んでいったのだろう。

地下の広くて綺麗な通路には、ウサギがどこにもたくさんいる。かつて実験用であったものか。
つまりウサギと共に捨てられた「わたしたち」という情景がその荒涼とした空間なのだ。
そして地上のオリジナルの動きに同調して地下でも動きはしていたが、彼らには果たして魂がなかったのか。
魂~こころが生じなかった為、失敗作として捨てられたのだが(何故政府は廃棄処理をしなかったのか。それ以前に生産目的は何であったのか)。
地上のオリジナルを倒そうと地上に上がって来たと謂うことは、魂が生じた為ではないのか。
ことばを発せられなくとも。
レッドの怒りの形相は心無くして現れるものではないが、他のメンバーについては確かに微妙な様相ではある。

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そして終盤にはっきり、実はアデレードが例の幼少期のお化け屋敷でテザードと入れ替わっていたことが分かる。
それまでに彼女の本性が徐々に表れる演技をルピタ・ニョンゴ(アカデミー賞女優)が上手にしてくれており、自然に納得できるような運びだ。
息子のジェイソンは、きっとレッドに攫われた際にそのことを告げられたのか。
難を逃れた家族で車に乗って出発した際、彼はアデレードとアイコンタクトをして、それを暗黙の裡に了解した素振りでお面を被る。
これで幼少時に、お化け屋敷から還って来た彼女が暫くの間、喋れなかったことも分かる。
レッドは、テザードでありながら言語~発話も含めすべてを習得したのだ。
恐らく魂も獲得したのだろう、、、。

最後に、夥しい数のテザードたちがみんなで手を繋いでいる光景からエンドロールへと向かう。
(何かで観た覚えがあり、調べてみたら「ハンズ・アクロス・アメリカ」という貧困問題を訴え西海岸と東海岸を多くの人で手を繋ぐ運動があった。この映画の最初の部分である1986年のイヴェントでもある。この映画、多重な解釈を呼び込もうとするところが少なくないが、必ずしもそれが必要であるかどうか微妙に思うところもある。ちょっと才気走った監督かも)。


随分怖い映画に仕上がっている。
この監督の作品はデビュー作も含め今後も観てゆきたい。
とても興味を持った。





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