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GOMA28

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親知らず

oyashirazu002.jpg

2020年


宮嶋風花 監督

宮嶋 花奈、、、明日美(女子高生)
井上 悠介
上嶋 凜


監督の大学の卒業制作作品だそうだ。
AmazonPrimeのラインナップも最近、意欲的ではないか。

10代後半から20代にかけて生えてくる「親知らず」は親の知らぬ間に生えてくるため、全て自分のコントロール下に子供を置きたい親にとって想定外の異物であろうし、それを自分に許可もなく抜いてしまったらもう穏やかではない(許しがたい)そんな父と、二人暮らしの娘の物語~シリアスで滑稽なドキュメンタリーを見るような気分で噺は淡々と進行する。

これまでに見た大学卒業制作で最も凄い作品は、タルコフスキーの「ローラーとバイオリン」であった。
彼は最初から巨匠だったみたいだ。
不変の光の詩情がとても印象に残っている。

こちらの「親知らず」は、素人っぽくて清々しい。良い意味でフレッシュである。キャストのせいであるところが大きい。
(芸達者のキャストが演じたらとても重厚で息苦しいものになった気がする)。
そして、生々しいヒリツク感じは心地よい。
出だしから芸術作品を作ってしまう人もいるが、このような直截的な等身大の表現も好感が持てる。
デビューしたての尖った女子ロックバンドみたいで。
演奏力は基本はしっかり押さえてあり、今後も応援したくなる、みたいな、、、(笑。

透明人間みたいに目立たずに生きて来た自分とそう仕向けた周囲に対し強烈な怒りが静かに込上げる。
母を亡くした後、毒父との二人暮らし、、、凄まじく暗い意思疎通の無い家庭。
(この父親、自閉し我が子の幼年期のビデオばかり毎晩?見て過ごしている。典型的な完全憑依型の自立を阻む親か)。
貼り紙で一方的に用件だけを伝える父。それが偏執狂的にエスカレートする異様極まりない家庭環境において、健康な自分~主体がはっきりと頭をもたげたのだ。
「わたしは何も悪くない」「悪いのは周りの人間。この世界だ」という正しい認識を得る。
(こういう親や大人の作る環境にいる子は自分に罪悪感を持ってしまうパタンがとても多い)。
正直にニュートラルに生きる少女。
何にも囚われずにモノを見ようとする。

自分に見えるモノが見える人と見えない人がいる。
そのことを明瞭に知る。
この世には、自分を理解可能な人間と全く理解できない人間がいる。
自分を他者(独立した人格)と認めず、コントロールし支配しようとする全ての欲望に毅然と立ち向かう。

この映画、伝えたいものはぶっきら棒にしっかり届く。
ディテールの接写やパターンの組み合わせ、パタンの反復とその推移による構成など分かり易く説得力がある。
誤魔化しが無く率直・誠実であり、訳の分からぬ表現などは一切しない。
主演の宮嶋 花奈という女の子がとてもピッタリでよく役柄を理解していることが分かる。
エンディングでタップリ唄っているし。
これだけで終わっては勿体ない人だ。
今後も女優は続けて欲しいと思う。
キャストはこれで間違いない(妙に上手くない方が良い)。

ここで演じている人たちは、皆素人に見えるが、どうなのだろう。
どうみても素人にしか見えない。
素人ならではのぎこちなさがここでは潔い。
学校をサボって道端でギターの弾き語りをしてるクラスメイトの曲が彼女のこころを捕らえ解放した。
自分の想いが歌となって流れ出してゆくのを彼女は佇んで聴き入る。

皆、「変な人」を律義に演じているが、変にも色々あるから厄介だ。
まあ、変と謂えば皆変であり、単に色々と変な人でこの世が出来ているに過ぎない。
この終盤の道端ライブは、彼女の心に同調し彼女の目を外に向ける心優しい変な人が忽然と現れた父に刺殺されてゆくショッキングなシーンへと雪崩れ込む。
「もう大丈夫だよ明日美」と、お前とわたしは一心同体だみたいに立ちはだかる父を、今度は彼女が刺し殺して取り敢えず落着する。

その後、担任といつも弁当を作ってくれていた保険の先生と3人で和やかに会食していて、もっとしっかり食べなさいよとか言われている。
保健の先生が「いつでも私のところに来なさい。あなたの役にたちたいのよ」と向けるに対し、、、
「ありがとうございます。でもわたしは暫くは自分独りでやっていけますから、大丈夫です」と返す。
自立してゆく少女というのは気持ちよい。

oyashirazu001.png

最初と最後の白いカーテンたゆたうジムノペディがピュアな映画であった。
勢いもある。

最後の彼女のボーカルによるエンディングテーマ曲もよく分かる、、、。
(道端ライブでギター少年が唄っていた曲だ)。
粗削りで危なっかしいところが、味である。
気に入ってしまった。

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