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GOMA28

Author:GOMA28
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タクシー運転手 ~約束は海を越えて~

Taxi Driver0001

Taxi Driver
2017年
韓国

チャン・フン監督
オム・ユナ脚本


ソン・ガンホ、、、キム・マンソプ(ソウルのタクシー運転手)
トーマス・クレッチマン、、、ピーター(ドイツ公共放送連盟(ARD)東京特派員)
ユ・ヘジン、、、ファン・テスル(光州のタクシー運転手)
リュ・ジュンヨル、、、ク・ジェシク(通訳担当の大学生)
パク・ヒョックォン、、、チェ記者

ソン・ガンホの演技が圧巻である。
ユ・ヘジンの熱演もこの実話にとてもフィットしていた。

韓国の光州広域市(当時、全羅南道光州市)で起こった民主化を求める民衆蜂起の光州事件を実話ベースで描く。
この事件を取材するドイツ人ジャーナリスト(実名はユルゲン・ヒンツペーター)と彼のソウル~光州の往復を請け負ったタクシー運転手を中心に展開する。
1980年5月のことであり、その時代の街や家屋、車がしっくり揃えられていた。
キム・マンソプはノックダウン生産モデルのマツダファミリアの年季の入った車を何とか走らせていた。

Taxi Driver0005

11歳の娘(うちと一緒ではないか)と二人暮らしの個人タクシー運転手のマンソプは、10万ウォンも家賃を滞納している状況でともかく金が欲しい。
そこへ日本からやって来たドイツ人ジャーナリストのピーターがソウル~光州の往復を10万ウォンで(他のタクシーに)依頼してきた。
それを自分は英語が出来ると言って横取りしてマンソプとピーターの二人で、すでに軍部が道路を閉鎖している光州にあえて向かう。
前半はマンソプの緊迫感のない呑気なノリでコミカルな雰囲気が醸された場面もある。
特に光州に入ってすぐにおにぎりをもらい、外国記者を検問を掻い潜って連れて来てくれたドライバーということで持て囃され良い気分になっている頃がピークであった。
突然の軍隊の攻撃を境にジェットコースターの天辺からまっしぐらの状態になってゆく。

Taxi Driver0004

マンソプは政治などに全く関心のない小市民である。
金に釣られて光州まではるばるやって来たが、そこがにわかに信じ難い危険地帯であることに驚き、来たことを後悔する。
彼には学生たちが何故デモをしているのか全く理解していなかった。
勉強もしないでデモなどしていて、道が混んで迷惑だ(確かに運転手にとってはそう感じよう)、、、と呆れていた程度の認識なのだ。
それも無理はなく、ソウルに住んでいる限り、TV・新聞メディアから流れるニュースは嘘ばかりであった。
弾圧・迫害に抵抗する市民や学生を平和を乱す暴徒として扱い、多くの死傷者を出しながらも、それを一切公表しなかったのだ。
無理もない。しかし昨今このような言論~情報の統制が日本にはないなどと高をくくっている状況ではない。
(特に政府の公表するデータ)。

ここでひとつ、何故光州が強い共同体意識によってこれだけ政府に対抗できたのか。
その他地域との関係が、恐らく歴史的・政治的にあると思われるが、ここではその辺を匂わすトピックは無かった。
その温度差は少し気になったが、この地域住民の学生を含め、非常時の団結はとても濃いものを感じた。
特に外国人記者やソウルのタクシー運転手を迎えた際の持て成し等で。

Taxi Driver0006

光州の街の様子は、メディアからの情報からは全くかけ離れた、戒厳司令部によって投入された空挺旅団が一般民衆を次々に射殺する無法地帯の様相を呈していた。
後の天安門事件でも民主化を求める学生たちに対し軍は武力行使によって鎮圧を図った。外国の報道機関を締め出し、自国の報道に対しては厳しい統制をかけた点も同様である。
どうしてもこのパタンに落ち着くのか。
最近もアメリカの人種差別~人権侵害から起きた警官の黒人殺害事件も抗議デモと機動隊の衝突のエスカレートがただ事ではない。トランプ大統領は州から要請があり次第、軍隊を出すと呼びかけている(アメリカの場合こうした騒ぎに乗じて商店を狙い派手な強奪も起き、暴徒化は確かに存在するが)。
基本、このパタンは変わらない。

マンソプは、目と鼻の先で繰り広げられる、軍部が怪我を負って逃げる学生を狙い撃ちして殺してゆく光景に目を疑う。
しかしそれが事実なのだ。
そしてずっと行動を共にして来て打ち解けていた気の良い通訳の学生もピーターのフィルムを守ろうとして軍部に捉えられ殺されてしまう。(今ならネットでデータを送れば済むことだが、フィルムを持って届けなければならない)。
衝撃が続く。
これをピーターは顔を顰めながらも撮り続ける。
必ず世界にこの事実を公表しなければならない。
死んでいった誰もがそれを願っていたのだ。

Taxi Driver0003

マンソプは、娘の事が気がかりでもあり、ピーターを光州に置いて、明け方ソウルに向け帰って行くが、途中で引き返す。
「お客さんを乗せて帰らなければならない」からだ。
それがタクシードライバーの使命である。無論、それだけではない。
無理に明るく歌を唄って帰路に就くが、どうにも自分を誤魔化せなくなる。
娘に電話をかけ、悲壮な覚悟であの銃声の轟く街に再び入って行く。
(どのような思想、信条を持っていようが、銃を一般市民に向け乱射するような土地から逃れて来たのにまたそこに戻るには相当な覚悟を要するはず。この人は身をもってその使命を内面化したのだ)。

最後は、タクシーと軍用ジープのカーチェイスである。
パワーの上で圧倒的に不利であるが、ここでずっと救援活動などを共に行ってきた光州のタクシーたちが加勢してマンソプのタクシーを逃がしてくれる。
だがその際、何度も窮地を助けてもらった光州タクシーのボスをはじめ、助っ人に来てくれたタクシーは全滅してしまう。
「必ずこの実態を世界に知らせてくれ」という誰もの願いを叶えることがマンソプの至上命令であった。
暫く車を停めてから、空港に向かって走って行く。

ピーターは予約した飛行機をキャンセルしてその前に出る飛行機にギリギリのタイミングで乗り換える。
無事に離陸したことをマンソプは確認し胸を撫でおろす。

光州事件ははっきりとメディアに載った。


2003年チョンアム言論文化財団とハンギョレ新聞社が授与する第2回ソン・ゴンホ言論賞を受賞したユルゲン・ヒンツペーター氏は「勇敢なタクシー運転手キム・サボク氏に感謝する。彼に会いたい」と切々と語っていた。
結局、二人は空港であの時に別れた後、一度も逢うことはなかった。

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