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GOMA28

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グッド・ライ 〜いちばん優しい嘘〜

The Good Lie001

The Good Lie
2014年
アメリカ、インド

フィリップ・ファラルドー監督
マーガレット・ネイグル脚本

リース・ウィザースプーン、、、キャリー・デイヴィス(支援センター職員)
アーノルド・オーチェン、、、マメール(スーダン難民)
ゲール・ドゥエイニー、、、ジェレマイア(スーダン難民)
エマニュエル・ジャル、、、ポール(スーダン難民)
クース・ウイール、、、アビタル(スーダン難民)
コリー・ストール、、、ジャック(牧場主、支援者)



スーダンのロストボーイズの噺。
9.11以降であれば、暫くはこのような受け入れも無かった。
最近、トランプ政権下でも受け容れ基準を厳正化した上で再開している。

まず前半は極めて過酷なスーダン内戦の様子が描かれる。
突然軍隊に村を急襲され逃げ惑う人々。
目の前で親・兄弟を殺される。子供は叫び声をあげ物陰に隠れ機を見て逃げる。
途中、これから行こうとしていた方角から武装兵から逃げて来た集団に出逢い目的地を変える。
数千キロを年端も行かぬ子供たちだけでケニア国境まで歩く。
この途上、水が無く病に倒れ兄弟(必ずしも血縁ばかりではない)がひとりまたひとりと亡くなって逝く。
そして漸く水が飲める河にやって来る。そこで何とか渇きを癒すが、我らが主人公一行の長兄がその先の危険を察知し集団の後に付かず独自に河を横断して叢に逃げることに決める。
その川沿いに歩いて行った先から銃声が次々に聴こえ、やがて河に沢山の死体が流れてくる。
長兄の判断は正しかった。だが、叢の中の移動で何気なく兄弟が立ってしまった時に兵士に見つかる。
絶体絶命となった時、長兄の機転で彼が立ち上がり「仲間から逸れた」と言って囮となって敵に捕まり、その隙に年下の兄弟たちはその場から逃げ去る。兄弟たちは長兄の「優しい嘘」によって命を救われる。
長い時を経てケニアの難民キャンプに付いた時は、彼ら兄弟の残った4人だけであった。
それから10年以上、病の蔓延する酷く環境の悪い、必要最低限のものにも困る場所で耐え忍ぶ生活が続く。
国連が漸く衣服や食料を届けてくれるようになった矢先、審査に通ればアメリカに受け入れられることとなる。
彼らは4人ともアメリカ移住が叶う。

The Good Lie005

彼らの時は、スーダンから3600人の受け入れがなされた。
慣れない飛行機の旅で、空港まで着くがここで姉のアビタルは制度上の理由で兄弟から引き離され一般家庭に預けられ、他の兄弟はカンザスシティーのアパートに一緒に住む事となる。
ここは法に従う他はなく彼らは納得しないが、ここでの生活は協力者にも恵まれ決して悪くはない。
しかし当然、食事、冬、学校、会話、、、カルチャー(ネイチャー)ショックも大きかった。
アメリカである。水道をひねると水とお湯が出る。シャワーもいつでも浴びれる。
この水がない為に、ここに来るまでに兄弟が死んだ。
歩かなくても車でどこまでも行ける。公共交通機関も充実している。
しかしそれでも最低限の意思疎通ができないと極めて厳しいものだろう。
電話もマクドナルドもコカ・コーラもピザも知らないのだ。
彼らは英語を学んでからアメリカに来た。そこは良かったと思う。

The Good Lie004

アフリカの事など何も関心のない支援センター職員キャリー・デイヴィスが彼らの就職サポートを担当することになる。
素っ気なく事務的に彼らに接して行く。効率的に仕事を熟そうとする。
まずは彼らに合った職を探さなければならない。
同時に彼らとしては徐々に環境に慣れること、周囲の人に馴染む事である。
そして、習慣や常識さらに共通感覚を取り込んでゆくこと。
手先の器用なポール仕事を効率的にまじめにやり過ぎて、同僚から薬を勧められ体験してトラブルを起こしたり、、、
穏やかなジェレマイアはスーパーに勤めしっかり仕事は熟すが、ホームレスに賞味期限切れの食品を与え厳重注意を受け「間違った仕事は出来ない」と仕事を辞めてしまう。極端な食糧難の国からやって来てまだまだ食べられるものを毎日大量に廃棄している現実に納得できない。

The Good Lie003

しかし何より目的である。全くの異文化においてブレずに生きるには、、、。
強力な目的が無ければ、価値観の違いや偏見、差別から非行や暴力、犯罪に押し流されるところは大きくなると思われる。
マメールは難民キャンプにいたころから医療に従事しており、ここアメリカで医者になることが目標であった。
仕事を二つ掛け持ち、彼一人学校に通っていた(学費が高く彼しか学校には行けない)。
しかしその目的意識を強く持たない場合、やはり揺らぎは大きく現れる。
実存的な葛藤に悩むポールと信念に生きるジェレマイアは、それぞれ日常的なズレによって問題も生じる。
兄の犠牲についてしこりをもっているマメールもこの機に心がざわつき始める。兄弟同士の衝突も起きる。新たな文脈のなかで必然的に生じる自らの対象化。その内省において様々なことが問題化され立ち上がって来る。そうしたものだ。何故かつて長兄が犠牲にならなければならなかったのか。何故姉が離れ離れに暮らさなければならないのか、、、。

The Good Lie006

ただでさえ就職の困難な状況で彼らに新たな仕事の斡旋をするなど対応に苦慮しながらもキャリーは彼らに対する理解と認識を深めてゆく。自らスーダンの現状に関して調べるようにもなる。彼らにとっての姉の重要性にも気づき、自宅の部屋を片付けて開け、彼女を引き取る為に奔走する。これが州をまたがると面倒な問題であった。
しかしクリスマスの日にそれを実現させる。
彼らと関りキャリーたちも随分変わった。こうして多様性が連動して行けばよいのだ。
皆でスケートを愉しむ。兄弟で初めて氷の上を経験するのだ。
これでハッピーエンドとなれば良いのだが、もう一つ驚くべき情報が舞い込んでくる。
何と彼らの長兄がケニアのキャンプで彼ら兄弟を探していたという。生きていたのだ。
マメールはキャリーたちの協力のもと、ケニアに戻り10万人の中からやっとのこと兄を探す。
再会を喜ぶも兄は病に犯されていた。しかも背中には痛々しい傷があり。
兄を早速アメリカに連れて戻ろうとするが、すでにアメリカの受け入れは閉鎖しておりどうにもならない。
マメールは兄に自分に成りすましてアメリカに行くように仕向ける。
戸惑う兄に、これはついても良い嘘なんだと言い聞かせ、、、(かつて兄がしてくれたように)。
自分はケニアのキャンプに残ることをマメールはキャリーに伝える。
長兄はそのまま無事アメリカに向い、空港で兄弟たちとの再会を喜ぶ。

The Good Lie002


スーダンから来た兄弟は皆、元難民であったり少年兵であった素人が演じていた。
説得力充分な演技であった。










出来れば、マメールのような優秀で冷静な人が、アメリカにいて、今後の難民の受け入れ支援にも当たれればベストであろうに。
彼はアメリカで医者になる夢も潰えてしまった。
とても残念である。

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